どんな石を背負って生まれてきたか
あやちゃん(小澤綾子さん)は、筋ジストロフィーという難病を抱えながら、全国で歌と講演活動をしている、わたしと同世代の女の子。
病気が診断されたときの絶望を乗り越え、人と違うということを受け容れて、自分らしく生きるその姿は、たくさんの人たちを勇気づけています。
この演劇プロジェクトでは、そんな彼女の人生物語がひとつの柱となり、あやちゃん自身もキャストとして出演します。
わたしは、あやちゃんと稽古場でご一緒することはあったけれど、彼女とじっくり時間を過ごせたのは、今回のこの合宿が初めて。
あやちゃんと、合宿の部屋が同室になり、隣のベッドで、たわいもない話をしながら、その人柄に触れ。
難病を抱えていることを、すっかり忘れてしまうほど、自然体で、そのまんまで、誰に対してもジャッジがなく、清々しく、心地よく。
あやちゃんのことが、大好きになりました。
忘れられないのは、合宿の日の夜、キャンプファイヤーを囲んで、あやちゃんが歌ってくれたこと。
そのなかでも「勇者の石」という歌は、いま思い出しても、心が震えます。
この歌は、AKIRAさんという方の曲のカバーで、アメリカンインディアンの思想を歌ったもの。
「人はこの世に生まれるまえに自分で背負う石を決める」
運命を受け入れ、歩むひとの、強さと優しさを、ハートで感じながら。
自分はどんな石を背負って生まれてきたのだろうかと想いを馳せて。静かに涙して。
力強く歩んでいこうと、心にあかりを灯した、そんな合宿の日の夜。
あやちゃんと、これから一緒に舞台をつくっていけることが、ますます楽しみになりました。
ありがとう。
一緒にいられるこの奇跡に感謝をして。
・
<「勇者の石」 by AKIRA>
人はこの世に生まれるまえに
自分で背負う石を決める
生まれ変わるたび挫折を重ね
きみの魂は強くなる
亀の子ほどの重さの石は
苦労を知らぬ子供の石
美と健康と富に恵まれ
なにも恐れず遊びつづけろ
アライグマほどの重さの石は
目ざめはじめた若者の石
挑み倒されまた立ちあがり
本当のきみを探しつづけろ
赤鹿ほどの重さの石は
悲しみを知る大人の石
津波のごとき困難に耐え
愛するものを守りつづけろ
バッファローほどの重さの石は
神が讃えし勇者の石
重い病や障害を越え
みなに勇気を与えつづけろ
だいじょうぶだよ
きみならできるから
運ぶ命を運命と呼ぶ
2022年5月19日
(文責:キャストゆうき)