ホワイト・ペインティング
今の気持ちに、色は無い。そんなふうに思う時があります。
今日、私がご紹介するのは、サムフランシスのホワイト・ペインティングという作品です。
サム・フランシス《ホワイト・ペインティング》1950年、油彩・カンヴァス、国立西洋美術館
私は、中学生の頃、美術館でこの作品を見て、白一色の画面がとても印象に残りました。そして、よく見ると、ただ単に白いだけではないこと(絵の具の跡や、薄いグレーの部分もあること)から、いろいろな思考や想像を巡らすことができました。
何もないという「無」のイメージ。
そして、この白の奥には、他のいろいろな色や、喜びも悲しみも、安心も恐怖も、もしかしたら全てがあるのかもしれない、という「混沌」のイメージ。
相反するような二つのイメージが感じられるこの作品を、とても面白いと感じます。
そして、何かをぼんやりと隠しながらも見せている霧のような、光のような、うすくてはかない「白」が、作品を包んでいるような感じがして、なんとなく「自然」を感じられるような気もします。
「白」と「黒」、「光」と「影」、「ある」と「ない」、どちらも同等で、つながっていて、奥深い世界があるということを、この作品は、改めて感じさせてくれました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?