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1Q84 BOOK3 前編/村上春樹

◾︎あらすじ
青豆は「さきがけ」のリーダーが最後に口にした言葉を覚えている。「君は重い試練をくぐり抜けなくてはならない。それをくぐり抜けたとき、ものごとのあるべき姿を目にするはずだ。」彼は何かを知っていた。とても大事なことを。--暗闇の中でうごめく追跡者牛河、天吾が迷いこんだ海辺の「猫の町」、青豆が宿した小さき命⋯⋯1Q84年、混沌の世界を貫く謎は、はたして解かれるのか。

◾︎感想
BOOK2の後編まで青豆、天吾パートで話が進んでいたが、ここにきて牛河パートが登場。3人の視点が交互に物語が語られていく。牛河パートが追加されることで「さきがけ」の視点からもより詳しい詳細が語られ、物語がより立体的に感じられるようになる。ファンタジー要素が含まれる作品ではあるが、淡々と状況を描写していく語り口調は継続しているため、現実では起こるはずのない事象も自然と受け入れられてしまう不思議な納得感がこの本にはあると感じられる。

◾︎心に残った一行
P80 「でも誰もがみんな、できることをするわけじゃない」

P82 「でも実際には時間は直線じゃない。どんなかっこうもしていない。それはあらゆる意味においてかたちを持たないものだ。でも僕らはかたちのないものを頭に思い浮かべられないから、便宜的にそれを直線として認識する。そういう観念の置き換えができるのは、今のところ人間だけだ」

P357 「人は受け取ったものの代価を支払わなくてはなりません。」

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