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1Q84 BOOK3 後編/村上春樹
▫️あらすじ
その誰かは、そこにあるものが本当にあることを確認するために、彼の幅広い手をいっそう強く握りしめた。長く滑らかな指、そして強い芯を持っている。青豆、と天吾は思った。しかし声には出さなかった。彼はその手を記憶していた。ーー青豆と天吾、二人は「物語」の深い森を抜けてめぐり逢い、その手を結び合わせることができるのか。ひとつきりの月が浮かぶ夜空に向かって……。
▫️感想
文庫6巻の大長編。まずはそれを読み切ったということに大きな達成感を覚えた。村上作品を通じて共感を覚えるという体験は少ないけれども、ファンタジー要素の中にもしっかりと現実世界を描いているため読者は置いてきぼりにならずに読み進めていけるのだろう。この不思議な唯一無二の読書体験を成功させているのは村上春樹に秘められた文才の力なのかもしれない。ただ、なぜこの作品が発売当時から売れに売れ、大ベストセラーになっているのかは純粋に疑問を感じた。(作品が面白くないというわけではなく、多くの人に刺さる作品よりかは読者を選ぶ物語のように感じたから)なので、多くの人に刺さる作品の特徴は一見して分からないものである。
▫️心に残った一行
P352 「それはむしろ一瞬のうちに過ぎ去った歳月であり、だからこそ一瞬のうちに埋めることのできる歳月なのだ。」
▫️こんな人におすすめ
・読み切った後に達成感を味わえるような大長編に挑戦したい方
・ファンタジー要素と現実感、両方体感したい方
・物語を通じて不思議の体感を得たい方