あめつちメルマガ創刊号【vol.01】インバウンド市場における“多言語対応”は供給過多にある!?必要最低限抑えておきたい、基本3原則とは
さて、本日のメルマガは
1)インバウンド市場における“多言語対応”は供給過多にある!?
必要最低限抑えておきたい、基本3原則
についてお伝えしてまいります。
どうぞ最後までお付き合いください。
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こんにちは。
あめつちデザイン代表の霜竹です。
今回は記念すべきメルマガ創刊号ということで、今、私が昨今注目しているニュースについて、考察してみたいと思います。
先般、観光経済新聞さんのニュースで、
「訪日消費 年間5兆円視野に7~9月期 19年比18%増の1.4兆円」
という見出しが、目に留まりました。
インバウンド消費が四半期として初めてコロナ前の実績を上回り、2023年の消費額は過去最高の5兆円が視野に入ってきた。
というのです。
新型コロナウイルスの影響で、旅行業界は大打撃を受けましたが、それが今順調に回復傾向にあること。
ことインバウンド市場においては、コロナ前の実績を上回る勢いという現状を、如実に伝えていると感じました。
私たちは今、全国各地にある宿泊施設のご担当者様とお話しさせていただく機会が多くありますが、その中で多いのが、
インバウンドのお客様が増えていますが、どのように対応したら良いでしょうか?
というご相談です。
それを踏まえて今回は、インバウンド対応をスムーズに行うための解決策の一つとして議題に上がることの多い「多言語対応」について、私なりの見解をお伝えしてみたいと思います。
インバウンド市場が順調に回復している今、国内の受け入れ体制として、
「外国人旅行者が感じている不便や非効率を解消して、スムーズにストレスのない旅を提供できるようにしよう」
という声が多く聞こえてきます。
またそれに伴い、公式HP、交通機関、館内インフォメーションなど、多言語対応を可能にするシステムや各種サービスも続々と増えており、
業界全体では
「外国語対応で完璧に揃えれば、インバウンド対応ができる」
といったムードも高まっています。
しかし、多言語対応をおこなうことが彼らが本当に求めていることなのか?
という視点で考えてみると、また違った別の側面が見えてくるように思います。
私は、
多くの人が良かれと思っていることと彼らが求めていることとの間には、ギャップがある
と考えています。
具体的にいうと、
外国人のお客様は旅先の日本で、流暢な日本語で対応してくれることを望んではいない
というのが、私が率直に感じているところです。
ではなせ、私がこのように感じるのでしょうか?
理由をお話ししますね。
例えばこんなシーンがあるとしましょう。
私たちは「いただきます」と言って手を合わせてから食事を始めますが、これが彼らにとってはとても新鮮で、神秘的な光景なんですね。
私たちは天地の恵み、その命をいただくということで、食べ物への感謝の気持ちを込めて手を合わせ、お辞儀をしますが、彼らからしてみれば、なぜ日本人はそのような行動をごく自然にできるのか?が、不思議でならないのです。
それから、「いただきます」の意味やその所作に込められた意味も含めて、
非常に強い興味をもっています。
また、宿坊での宿泊体験では、彼らが普段はなじみのない精進料理を食べたり、早朝に座禅を組んで和尚さんに背中を叩かれたりすることもあるわけですが、
そこで言葉が思うように通じなかったとしても、そんな新しい体験ができたことをとても嬉しそうにしているんですね。
記憶に残っている例を2つ挙げてみましたが、この時接客していた方の英語はカタコトでたどたどしく、決して流暢な英語を話せるわけではありませんでした。
それでも、外国人旅行者はとても嬉しそうな様子で、むしろ「うまく通じない」状況を楽しんでいるように見えたんです。
これらはあくまでも一例ですが、私はこんな光景に出会うたびに、
これこそが、おもてなしの本質なのではないか?
という思うのです。
さて、大事なことで繰り返しとなりますが、
今、業界内では
多言語対応ができれば、インバウンド対策がスムーズにできる
といった考え方が主流になっています。
これこそがインバウンド対策にとって善であり、人材不足を抱えている今の旅行業界の課題解決の意味でも有効であると。
そしてそういう中で多言語対応のシステムを導入したり、バイリンガル人材を採用するなどして、課題解決をしようとされています。
しかし、本当に大切なこと、彼らが真に求めていることは
流暢な言葉で、スムーズに対応してくれること
ではないと思うのです。
彼らが深く心を動かされるのは、自国では体験することのできない、異国の地・日本という場所だからこそできるレアな文化体験で、
そこで交わされる、あたたかい心の交流にこそ価値を感じているからです。
だから、カタコトだっていいんです。
ここで念のため誤解のないようにお伝えしておきますが、
私は多言語対応は必要ない
と言っているのではありません。
むしろ、最低限これだけは抑えておかなければというポイントがあると思っていて、そこはぜひ抑えておいていただきいので、最後にお伝えしますね。
それは、
・身に危険性が及ぶ可能性のあること
・健康を害する可能性のあること
・犯罪に巻き込まれる可能性のあること
の3つです。
たとえば、温泉があるお宿で高温のお湯なのにそれを事前に伝えていなかったとしたら、身に危険が及んでしまいますよね。
日本人だったら温泉はかなり高温のところも多い、ということがわかりますが、外国人の方は何の予備知識もないまま入られる可能性もあるからです。
オンセーーーーン!!!Yeah!
となって、ザッバーンと入って大火傷、なんてことになったら大変ですから。ちょっと笑えないですよね…。
交通面で、電車の乗り降りでも「ここは待つべき」というところもあると思うので、安心して移動できるよう、事前にお伝えする配慮も必要だと思います。
この3つのポイントは最低限しっかり抑えて多言語対応をして、サポートして差し上げるべきだと思います。
それさえできれば、あとはいかようにもなると思います。
とにかく、
一生懸命伝えようとする気持ちコミュニケーションを楽しもうとする気持ち
こそが大事だと思います。
必ず、真心は伝わりますから。
私たちはもっと胸を張り、自信をもって「日本らしさ」を伝えていけばいいんです。
逆に旅先で、自分の国で話している母国語が流暢に話されていたら、異国情緒を感じられなくなりますし、ちょっと冷めてしまうことさえあると思うんです。
(私たちが海外に行って、過度に観光地化されたところに行って、ちょっと残念…旅をしている気分が薄れてしまう、という気持ちと近いものがあると思います)
旅に出かける意味、そして旅の醍醐味をあらためて考えてみた時に、自ずと答えは見えてくると思います。
彼らが日本で出会いたい「おもてなしの心」は、利便性や快適さというよりも、一生懸命な姿勢の中にこそ、自然と滲み出てくるものだと思います。
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