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観光は進化している!〜アフター・コロナの今、外国人旅行者が「Wonder!」と日本に魅了されるワケ

こんばんは。

あめつちデザイン代表の霜竹が、「観光の進化論」と題して、
ビフォー・コロナとアフター・コロナで感じた、旅行者のニーズの変化や
旅に求める価値の変化・変容について、旅行者目線で語るシリーズ。

今回は、前回のビフォー・コロナの状況を踏まえて、アフター・コロナはどのように変化したのか?ということについて、お伝えします。

なぜ、外国人観光客は、ディープな体験旅に惹かれるのか?

彼らから見た「日本」の魅力の本質について紐解く内容になっていますので、ぜひお楽しみください。


前回はビフォー・コロナの旅について、インバウンドの動向に焦点を当ててお話ししました。

そこで今回はアフター・コロナの旅について、今感じていることをお伝えしたいと思います。

まず一つ目の変化として、外国人観光客の国籍が以前に比べて多様化したことが挙げられると思います。

ビフォー・コロナでは中華圏の方、中でもとくに富裕層の方が多かったのですが、昨今は、近隣諸国に限らず、ヨーロッパやアメリカ、ラテンアメリカ、インドと、世界各国の人たちが日本にやってきているイメージです。

この背景には、もちろん円安の影響もありますが、やはり、コロナ禍に醸成された「旅に対する人々の価値観、意識の変化」が大きいでしょうね。

「モノ消費」から「コト消費」へと言われていますが、それが顕著になったのがコロナ以降で、この流れは今後ますます加速していくと考えています。

ちなみに、ここでいう「コト」とは、体験のこと。

それは、「和」を感じられるような文化体験であったり、都市ではできない地方、田舎でのレアな体験などが含まれます。

たとえば、茶道、華道のような「道」のつくものであったり、お寺で座禅を組んだり宿坊に泊まってみたり。ちょっと珍しいものだと、山伏体験、お田植え体験などにも注目が集まっています。

あくまで一例ですが、なかなかマニアックですよね(笑)。

ディープでマニアックな旅という意味では、今日ちょうどyahooニュースにアップされていた記事「福島県鮫川村に外国人観光客が集まるワケ」は、まさに今の日本で起きていることだと感じました。

地元の人も「外国人観光客がそんなにたくさん来ていることは知らなかった」とびっくりしているようですが、そんな「まさか!」の現象が、各地でじわじわと、でも確実に起こっているんですね。

そしてこのような現象は、今後、網の目のように広がっていくでしょう。

インバウンド旅行者の嗜好性と進化(深化)の本質を突いている記事だと思うので、よろしければご覧になってみてください。

このように、一見、私たちの日常に溢れているような当たり前の風景や生活習慣が、彼らの目にはとてつもなく魅力的に映るんですね。

では、なぜ彼らはそのような体験に興味関心を持つのでしょうか?

私は、ここに外国人が、日本に惹きつけられる、重要なヒントが隠れているように思います。

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そして、その心を読み解くカギは、

ミステリアス

にあると思っています。

これまで私は、さまざまなオリジナツアーや、オーダーメイドの旅を企画してきましたが、世界各国さまざまな国の方と交流していくと、共通して見えてくることがあります。

外国人旅行者たちが日本のどこに惹かれ、心を揺さぶられるかということを深堀りしていくと必ず、ミステリアスという彼らの深い欲求にたどり着くんですね。

まず日本には、諸外国と比べてみても圧倒的に長い歴史があります。
しかもそれは、古代を除いて、基本的には単一民族で、国家が続いてきたわけで、そんな国は世界広しといえども、日本をおいて他にありません。

ですから、彼らはまずそのことに驚嘆し、リスペクトしながら、同時に非常にミステリアスな魅力を感じ取っているわけです。

ではなぜそこに「ミステリアス」を感じるか?ですが、これは日本の精神文化、宗教観というところにも深く関わる部分だと思っています。

たとえば、彼らが日本に初めて旅行した時にまず驚くのが、街がきれいだということです。(もちろんエリアによってそうではない場所もありますが)、全国を見渡してみれば、総じてクリーンできれいに保たれています。

これは私たちにとっては日常風景の一部で当たり前のことですが、外国人にとっては驚きの対象です。


スポーツを例に挙げると、たとえばサッカーの試合後に、会場に「ありがとう」と挨拶をして、ちゃんと掃除をしてから試合場を後にする、ということがあると思います。

ごはんを食べる時も、「いただきます」と、手を合わせてから食事が始まりますね。

こういった日本人の日常のちょっとした所作や行動が、彼らにとっては不思議でならないし、ミステリアスに感じられる部分で、「もっと深く知りたい」となるのでしょう。

そしてその日本人の精神、心に触れたいというという思いが、彼らをディープな「体験旅」へと駆り立てるのですね。

私たちが、ものに対して感謝をしたり、ありがたいという気持ちをもって物事に接するのは、ごく自然に選択している行動だと思います。

その奥には、日本人が古来大切にしてきた自然崇拝、すべてのものに神が宿るという、八百万の神信仰があるのだと思いますが、そこには「〇〇しなければならない」という明文化されたルールがあるわけではありません。

つまり、強要されたり特定のルールがない中にあっても、無意識の行動規範、行動様式があって、それに基づいて動くことができるということです。

自分を含めたまわりのものごとを大切にして敬う。礼儀正しく、いつもキレイが保たれているのは、彼らにとっては驚き以外の何ものでもないわけです。

そのような観点で外国人観光客が日本に求めるものを深く探っていくと、毎回いろいろと新鮮な発見があって、いつも面白いなと考えせられます。

それは日本人にはない視点で、彼らの目を通してこそ発掘される「Wonder!」だからです。

最近、インバウンド観光でマニアックな体験旅が選ばれるようになってきている背景には、単純に、モノ消費からコト消費という表面的なトレンドを追っていくだけでは、実は見えてこないインサイトが隠れているように思います。

そして、そうした彼らのインサイトを私自身が知ろうと努力することが、観光の未来を考える上でも重要なことだと思っています。

前回の記事、ビフォー・コロナの旅についてはこちらをチェック↓



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