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フリースクール活動日記 2024/02/15-警察博物館+α
この日、若干遅れて日本橋駅へと集合。先週のこともあり置いていかれても文句は言えない、いや言うつもりなどもなかったのだが、僕以上に遅れてくるメンバーなどもいたために置いていかれるといったことは幸いなかった。もっとも、その遅れていたメンバーの最後の一人は龍角散。彼は、集合予定時刻に未だ東京・埼玉県境付近をうろついていたために皆から見放され、置いていかれることに。
ひとまず日本橋を見ることになり、高層ビル群が立ち並び前後左右全く同じ光景に見えてしまう街中をしばし進む。ところで、「日本橋というのは江戸のローマ」とレイセンが言っていたが、それはようするに「全ての道はローマに通ず」といったような意味、つまりはここに通っている東海道などをアッピア街道として見立てればよいのだろうか。
しばし日本橋を眺め、その中心部の塔の奇形に眼を剥きながら方向転換、今日の目的地であるポリスミュージアムへと向かう。
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何故ここへ行くことになったのか。それは、ほかでもない龍角散のこれまでの奇行が関係していた。あいつは果たして自分が逮捕されるかもしれない状況でも、これまで通りふるまうことができるのだろうか。奴はまだ自分は少年法が適用される体の四の五の言っているが、あと1年たたないうちに奴は15歳。もう言い逃れできない年になってしまうのだから、いまのうちにそういった感覚をつかんでおいたほうがいい。
そんなわけで龍角散に隠れて密かに計画は実行されていたのだが、その計画の全貌がついに明るみに出る日が来た!今週火曜日、一斉にその全貌がさらけ出されることとなった。
まずあらかじめχαοσらによってそれとなくその存在を皆に伝え、思考誘導(うまくいったかどうかは不明)。「全員無料」、「7階建ての建物で見るところが多い」点などを前面に押し出して、レイセン達とも共同戦線を張る。そうしてその会議の一切に、龍角散は参加していない。
これで龍角散も震え上がるであろうと予測されていたのだが、意外にもそれが明らかになったとき、彼が見せた態度は平静そのもの。動揺をおくびにも出さずに彼は「それ、いいね」と一言つぶやいて同意したのだ。
どこか不完全燃焼であるという感が抜けきれない中、幸いにも龍角散がその日は遅刻。ようやくあいつの困り顔が拝めると喜んでいた人もちらほらいたような。けれども忘れてはいけない。あいつはそういったぬか喜びはさせるが本当に遅刻したことは一度もないのだ。しいて言うならば葛西臨海水族館の時ぐらいだが、あのときはχαοσやemmanmo、ソースなども遅れていたため指をさして笑うわけにはいかなかったのだ。
ほかに龍角散が遅れた事例は数多くあれども、例えば戦艦三笠に行った時だって。彼はいつも先回りして、みんなを悔しがらせているのだ。もっともヴェルニー公園に行けなかったことを彼は悔やんでいたようだが。
そんなふうに毎日を過ごしている彼が、今日にあってその在り方を急激に変えたりするはずがない。当然のように道半ばにして追いつかれてしまった。
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そうして傷心のうちにポリスミュージアムへと入館する。ここで白バイ、赤バイなど見学し、上階へとどんどん進んでいく。同じ日にここに来た親子連れの方には本当に申し訳なかったのだが……
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その後は5階にある殉職者についての部屋など見て退出する。詳しくは実際に現地を訪ねてみてほしい。1個人についてあまり詳しく書くことはできないし、なんてったって入場料は無料!23区に住んでいたりするならば一度は行ってみたらよいかも(?)しれない。
まちがって立ち入り禁止の6階へと運ばれてしまったパイセン。また、ことりんご曰く「わざと」7階へ行こうとして屈強な警察官を目の当たりにして逃走した龍角散、そして彼に全責任を押し付けられたことりんごなどが建物から出てきて、全員が集合。この日の第二目的地である皇居へと足を向ける。
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当初、僕はあることを狙っていた。警視庁ポリスミュージアムと皇居はすぐ近く。そしてその間には大手門の他に「外桜田門」があった。吉村昭の「桜田門外ノ変」でお馴染みの井伊大老が暗殺された場所だが、ここに来るということが僕の中では決まりかけていた。ポリスミュージアムに連れてこられた龍角散が、ここに来た時果たして何をするのか。いずれにせよなんらかの「変」が起きることは確実であり、僕はそれを楽しみにしていた。
なのに、なぜだ。なぜ桜田門は駄目なのだ。どこかで情報が漏れていたのか、主隊のイマンモ達は大手門へと向かっていく。一方僕は別隊のほう。翻意を促すこともできやしない。
なぜだ?「桜田門外ハ、変」とでも誰かが言ったのか?「第二次桜田門外ノ変」は成らず、久々に表れたドクロ仮面が大手門へと向かうのを黙って眺めるほかなかった。
大手門での手荷物検査を見事に突破したドクロ仮面。彼が桜田門の方へ回っていれば変もあり得たかもしれないと一人嘆く。
コンビニを探しに行ったソースやパイセンが行方不明になっていることに誰かが気が付いたが、もうあとの祭り。彼らとはすでに旧GHQ前で離別しているのだ。途中まで一緒にいたからと言って、僕たちが彼らの行き先を知っているはずがない。
皇居の壁にてクライミングを敢行しようとする龍角散に、それを生暖かい目で見つめる皆。東御苑に到着すると、さっそく荷物を広げて弁当を食べ始めた。
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距離としてはそこまで歩いていないが、意外に空腹になっており早々と弁当を食べ終わる。そうしてその後、イマンモ曰く「仁義なき」松ぼっくり合戦が開催され東御苑の一角はたちまちにして松ぼっくりが雨あられと飛び交う危険地帯と化した。最初の一投を当ててきたカッパくんに対して可能な限りの復讐を試みたのだが、残念ながら挑戦は大失敗。明日は確実に筋肉痛が待っているだろうと少し憂鬱な気分になりながら、竹橋駅で解散となった。なお、電車賃を浮かせるために龍角散は新宿まで徒歩で進行。それに付き合ったχαοσは四谷三丁目付近で弱音を口にしながらも、龍角散にうまいこと言いくるめられてついに歩ききったのだという。
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