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旅行記録 2024/08/25-京都

 7時ごろに起床した。昨日の夜は寝入るころになってぽつりぽつりと雨が降り出したが、朝にはその痕跡すら見いだせなくなっていた。そんななか目を開けて、困惑する。ここはどこだ。そうか、祖父母の家だ。一度顔を洗い、朝食の時間までどうするか考えていたときに、本棚の一つが目に入った。そこはぎっしりと漫画で埋まっているのだが、その最下段にある一冊を手に取る。それは、京都に来れば毎年手を伸ばすものである。「陰陽師」という漫画だ。著者は岡野玲子、原作は夢枕獏。ここに登場する源博雅が気に入っていて、毎度毎度と来るたびに読む。そのうちに8時となったため下に降りて朝食をとる。朝の天気予報にて台風の襲来を避けることはほぼほぼ不可能なことだろうと思われ、遺憾ながらも旅館にキャンセルの電話を入れる。先方もそれが賢明でしょうと語り、旅行のメインイベントは空中分解、台風襲来の最中の2日間がぽっかりとあいてしまった。幸い原稿用紙は大量に持ってきてはいるものの、それ以外にやることがないというのは辛い。おそらく28日には台風は通り過ぎているだろうとの予想をたてて、二条、三条、四条付近を散策するとの旅程に変更した。この時点での旅程は以下の通り
初日 終了
二日 祖父母の喜寿・古希祝い
三日 山科行き
四日 台風来襲、家に閉じこもる
五日 三条付近散策
六日 大原へ
七日 帰宅
このことを念頭に置いて、4日目に退屈せぬよう京都のジュンク堂へと行って本を大量に入手、一日中本を読んで台風の通過を待つということで意見が一致、祖父母の祝いを終えた後、寺町商店街から四条へ繰り出すことに決定した。
 京都にいた親戚が集まって、喜寿・古希祝いを終えた後、従兄に案内されて寺町通りを歩いた。二軒ほど楽器店を巡り、新しい篠笛袋と譜面を入手する。従兄と別れた後は森見登美彦の小説「ぽんぽこ仮面」に登場する八兵衛明神などを巡り、四条通へと出た。ここで、ジュンク堂へと向かう予定であったのだが、後に閉店したことがわかり、落胆した僕たちは一時休息のためイノダコーヒーの本店へと駆け込む。

ぽんぽこ仮面に登場、八兵衛明神

 そうしてしばらくして重い腰を上げ、さて帰るかと歩き出したとき。雨がぽつりぽつりと降り出した。即座に傘を取り出す。しかしながらそれはほとんど役に立たない。なるほど、台風接近の影響はもう出ているのか。たしかに、明日には本土へ来襲するはず。前もほとんど見えない豪雨の中、購入した書籍類の入ったカバンを抱きかかえるようにして走っていると、しばらく先になにやら地下鉄の入り口のようなものが見えた。
 もしも違っていれば目も当てられない。ひょっとすると地下の駐輪場なのかもしれない。似たようなものを幾度か見かけたこともある。しかし、近づいてみると看板に「烏丸御池」と書かれているのがかすかに見えた。善は急げとばかりに駆け込み傘を畳む。本こそ無事であるが、それ以外はひどいものだ。
 さて、どうして帰ろうと途方に暮れるが、幸いこの駅には地下鉄が二本、烏丸線と東西線が通っている。これらの路線は京都の主要な駅へと接続しており、非常に使いやすい。
 が、電車を何本か乗り継いで最寄りの駅に到着するも、そこで待っていたのは10m先も見えないような豪雨。そして雷。それでも帰るしかないのだ。信号待ちの間にずぶぬれとなり、20分ほど経ってからようやく帰宅。まだ2日目だというのにもかかわらずとても疲れた。たしかに、旅館をキャンセルして正解であったとこの時は思った。しかし、この考えは翌日には変わってしまう。

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