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フリースクール活動日記 2024/06/14-八王子
この日、滝山公園へ向けて足を進める。ほかにも「滝山城跡」などという名称があるそうだが、ここは遠目から見ても丘に過ぎない。先週行った東久留米の竹林公園などと同じ高さしかないのだ。よって、このフリースクールでは代々滝山城という武張った名前ではなく滝山公園という名前、下手をすると蔑称ともとらえられかねない滝公園などという名前(しかも滝はどこにもない)で呼んでいた。しかしながら、僕たちはこの日味わうことになる。なぜ滝山公園と呼ばれながらも雨の日に行くことを激しく皆が拒んだのか、またイマンモが決して道を外れようとしない理由までをも。もっとも、次に機会があるのであれば、滝山城程度雨中登山はして見せる(同行者がいなければ絶対にやらないが)。
そんなわけで八王子駅に10時15分集合。とはいえ、乗る電車を逃したこともあって到着は25分ごろ、乗る予定だったバスに乗れずじまいとなってしまった。もっとも、遅れたのは僕だけではない。京王八王子駅から来るメンバーも柴崎駅での人身事故によって到着時間は僕とほぼ同じくらいであったし、とあるメンバーに至っては途中まで自転車でやって来るも、乗り換え予定の駅で財布を家に忘れたことに気が付き再び取りに戻るという悲劇のせいでこの1本後のバス、45分発にも間に合わないだろうという予想がなされていた。そのため僕たちが合流したしばらく後、ソースを置いてゆくことに話は決まり、さっそくバス停へと向かう。しかしながらこの判断が響いたか、バスの扉が閉まるギリギリでソースは滑りこんでくることに成功したのであった。
このときの僕たちの人数は、新メンバーを含めても20名には届かない。また、小学生メンバーが5割ほどを占め、小学校高学年・中学生メンバーの全員が自由奔放な動きをしたため、メンバーが広範囲に散らばることとなってしまった。
もちろん、イマンモにはわかっていたのだろう。だから、昨年とは入山場所を変えたのだ。昨年下山した「滝山城入り口」より入山し、最短経路を通ることで迷うことがないようにしようとした。すでにこのとき龍角散・カッパくんはいない。昨年あの木めがけて堀切へと降りたメンバーはもはやほとんど残っていない。
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なお、そのスマホは鞄の中に存在していた
昨年のことである
しかし。いまいるのはあのころのままのメンバーではない。僕も、ソースも、皆少し前までは虫や泥など苦手であったのだ(僕はいまでも苦手である)。しかし、今ではもう違う。僕、χαοσ、ヨッシー、ソース。この4人組は、昨年スマホを落としかけるという事件のあった場所へと到着するなり荷物を置き捨て斜面を駆け下って行くことができるのだ。なぜならば僕を含むこの4人は既に御嶽山の急斜面を駆けのぼり、わずか7分にて鉄道博物館から大宮駅までの公道を制覇したこともある。
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むかしここには二の丸が存在した
そんな僕たちであるのだから、ここを制覇するなど容易いこと。そう思っていた。しかし、現実は非情である。χαοσの成功を目にした僕とソースは堀切へと駆け下りていった。しかしながら、思った以上にそこの土は柔らかい。おまけに僕たちは体重もあり体幹もそれほど良くはない。なんとかしてそこに降りることに成功しても、その後が大変だ。放物線のような形をしており、最期にはほぼ直角にもなっている斜面を登らなければならない。加えて足場などどこにもない。万が一の時にはヨッシーが細身のロープを投げてくれるというので安心してはいたが、これではロープを掴んだ途端に転落してしまうかもしれない。
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僕にだって、プライドはある。そのなけなしを振り絞って登り切ったとき、僕に残されたのは自信のみだった。登りきることに成功したという自信は後々にまで響く。その後中の丸に行くまでに堀切を上り、達成感と優越感に浸った僕達はとんでもないことを実行することになる。
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ここでひとまず話を戻す。僕たちが意地を張って斜面を登っている間、他のメンバーとあっという間に登り終えたχαοσ・ヨッシーたちは荷物を回収し、さっそく見晴らしの良い場所へと移動していった。昨年はスズメバチの巣があった場所も、今ではただの樹。見晴らしの良い場所にブルーシートを敷き、そこで食事の支度をする。
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そうして僕と、2㎏の荷物を背負っていたために斜面を登りきることのできなかったソースとが皆に合流する。よって僕とソースが弁当を食べ終えたときには皆あらかた食事を終えていたわけだが、ここでヨッシーがとんでもないことを口にした。
この時食事をしていた二の丸には橋がある。その橋を渡っていくと本丸へと入るわけだが、その橋を渡らずに堀を下りてしまってはどうかというのである。ここは、イマンモ達に言わせると4階建ての家ほどは。深い。そんなところを下って大丈夫なのかと思ったが、既に彼らは下って試してみたのだという。ならば、僕が試さない道理はない。
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しかし、ここは意外に深かった。下るのは簡単でも、本丸側へと向かうことはかなりの試練。他のメンバー―ボートさんに同行していたgirls―に見下ろされる中、ついに力尽き斜面を登りきったところで動きは止まってしまった。このまま本丸側に抜けたいのだが、目の前には蜘蛛の巣が幾重にも張られている。できればここを通りたくない。しかたがないので、来た坂を下っていくことにした。かなりの急斜面であり、土が柔らかいため歩いていくとなるとかなりの危険地帯である。しかしながら、滑っていけばどうだろう。χαοσは先ほどやっていた。ならば危険性はあるまい。彼に倣い、斜面を駆け下りていくのは実に気分爽快であった。
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そんな経験を積んだ僕たちは、新メンバーとemmanmoによって提案された遊びに参加することになる。当初決まっていたのは2チームに分かれて争うドロケイのような遊びということだけであったが、次第に細部まで取り決めがされて行き最終的には本丸チームと中の丸チームとに分かれて争うフラッグ争奪戦ということに決定した。
ルールは簡単。レイセン率いる中の丸チームとボートさん率いる本丸チームとに分かれて、相手のフラッグを自分のチームの陣地へと持ち込むことで勝利となる。橋、堀を境界線として陣地は分けられ、相手をタッチすることで「捕虜」とすることができる。もしも同時に相手へと接触した場合はじゃんけんで勝者を決める。
こういったルールを取り決めていざチームを分けたところ、ボートさんチームにリクトン、ことりんご、χαοσ、ヨッシーが。レイセンチームには僕、ソース、emmanmo、新メンバーが入ることになった。これから先は敵チームで何が語られていたかはわからないのだが、味方内でどのようなことが話されていたか、それならばここに記述することができる。
リーダーは最年長のemmanmoに決まり、その「お前は特攻してこい」との言葉に従った僕はさっそく堀切を駆け下り無謀にも対岸へ取り付こうと動き出した。そのまま行動していれば、おそらくは体力を消耗してemmanmoらの目論見通りに無力化されてしまっていただろう。しかし、そうはならなかった。χαοσ、ヨッシーが大きな体を丸めながら、一応隠れようとはしているのだろうか、石段を一段一段と降りてくるのを目撃したからである。そのことを後方にいるemmanmoたちに大声で伝えた後、僕はヨッシー達を押しとどめるため、橋の麓にてヨッシーに加えてボートさんとも睨み合いをすることとなる(俗にへっぴり腰ともいうが)。
その後何があったか詳細の記述は避けるが、ルールの穴を縫うような行動によってこちらのチームは敗北(一部確実にルール違反であると取れる行動もあり、皆の怒りが盛り上がった)、橋桁につる性植物が結び付けられ罠のようにされているものを呆れたように眺めながら下山することになった(もちろん、道行く誰かがかからないよう対処済み)。本拠地になっていた中の丸から本丸へと橋を渡り、そこからは早い。
その速度に対して歯止めをかけようと僕・χαοσ・ソース・ヨッシーのお馴染みメンバーで道を少し外れていこうと提案するも、無視されこの4人のみで進むことに。しばらく経って、鬱蒼と茂った森の中に獣道を発見、更にその奥に白くひかる公道を見つけたためそちらへ向かおうと思ったが、レイセンやイマンモには制止されるのみ。それでも行くことはできるのだが、何となく不気味になって地図を取り出したヨッシーの行動に注目していると、顔を上げた彼は一声「うん、無理」と呟き、それによって引き返すことに話が決まった。しかしながら、これまでに来たみちのりはかなり長い。よって、はるか頭上の道めがけて木の生い茂る斜面を突破して行くことに決まった。そうして下山して、今日は終わり。あの堀切を含めるのであらば、ここを滝山城と呼んでもいいかもしれない。だからといって、真昼間であるのであればいつでも堀切下りをやろうとするのだろう。これからも。