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近況報告-ガムは飲みものではありません②

 父は、僕の言葉を聞いて笑った。その手には、先ほどスーパーで買ったばかりのフーセンガムが握られていた。
 暫くたち、漸く笑いの冷めた父が言うに、「ガムは飲みものではありません」。それはそうだろう。荒川弘の「銀の匙」に登場する先輩のように、食物を噛むことなく飲み込むことができる口(そしてそれを消化できる胃)は持っていない。笑われたことに若干の憤りを感じながら、そう父に言い返した。するとまた、父の笑い声が一段と大きくなる。
 いい加減にしろと詰め寄ったとき、急にその声を収めた父は至極真面目な顔で僕に説いてきた。
 「ガムは飲んだら胃に張り付く」「ガムは有害だから、普通は飲み込まずに棄てるものだ」と。
 ガムが胃に張り付くと消化が遅れたり、人体に有害。そうきかされた僕は、急いで記憶を反芻した。たしかに、ガム4つを胃に送り込んだ日の夜は、食後2時間ほどが経っても腹が重かった。今から考えれば、それは消化が殆ど出来てはいなかったからではないか。
 深刻に過去を顧みる僕を見て、父が笑い、そうして家に帰ったとき。僕に、ガムを渡してきた。
 ガムは飲み込まなければ大丈夫だろう。そう考え、今後Χαοσらからガムを渡されたとき飲み込むことがないように、無意識のうちに飲み込まないように、練習をすることにした。のだが……
 まずどうやってこのガムを膨らませる?父は普通に出来るし、龍角散やΧαοσもできる。僕は、出来ない。
 一体どうやったら上手くなるのだろう。今後も彼らにガムを渡された時のため、持ち帰って膨らませる練習をしよう。

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