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小3の初夏、祖父が亡くなった。初めての葬式だった。

生まれて二十余年、火葬場で食べたサンドイッチほど味がしなかったものはない。

祖父の体から血肉が消えた姿を見た時の光景は今でもはっきり覚えている。
実物を初めて見た衝撃と虚無の美。
理科室にある人体模型なんか可愛いもんだった。
でも不思議と怖くはなかった。

立派な喉仏だね~なんて言いながら簡単に崩されていく。
骨ってこんなに脆かったっけ。
いつの間にか自分は手に箸を持ち、その箸で祖父の骨を誰かに渡していた。


今日もまた、誰かの訃報に触れる。

その度にあの光景を思い出す。

どんな人も最後にはあの姿になる。

無常とはいえ、覆せない摂理とはいえ、むごいことだと思ってしまう。

その骸の上に立って生きている心地になりながら。

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榛
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