狛江市議会に若者の声を反映する一私案について(その1)
再挑戦;「世代別選挙制度の提案、そしてシルバー民主主義の克服を」
(狛江市に住むアメンボの再挑戦です)
○投稿主旨;
・最近「総務省;地方議会・議員のあり方に関する研究会(資料1)」を
読んで、幾つかの啓発される内容があったのですが、同時に大きな不満を
感じたので、考察を加えた後、筆者の提案内容を本会報に投稿することに
致しました。
・本稿は、筆者が2015年に「狛江財政研究会」の会報に掲載した
「狛江市議会に世代別選挙制度を(シルバー民主主義を超えて)」
シリーズを基にデータの更新、および再編集し、且つ「資料1」にて
啓発された内容を加えたものです。
(参照;資料1)総務省「地方議会・議員のあり方に関する研究会」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chihogikai_giin/dai01kai_00001.html
○「過去・現在・未来」
・・戦後から現在、未来へ至る若者世代の政治への影響力について
[過去]若者の投票率は低かったが、絶対数が多かったため得票数は
相対的に多く、結果として「若者の意見」が国や地方の施策に
反映されやすかった。
⇒ 政治に活気があった。
[現在]少子高齢化が進展したが、人口数でみると世代間でそれほどの
大差無しです、しかし投票率の差で、若者の意見は通らず!
⇒ シルバー民主主義の蔓延
[未来]今の選挙制度のままでは、超高齢化社会の中で、若者・壮年世代に
とって絶望的な政治が出現する。
⇒ 民主主義への懐疑と危機の到来
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◆記載順(目次)・・以下、次の順番で解説を進めます。
1.提案(主張)の最大ポイント;
(再提案)「世代別選挙制度」を狛江市へ
※「地方議会・議員のあり方に関する研究会」への大いなる不満!
と、その解決策。
2.現状を放置した時に訪れる明日; 狛江市の「未来」予測
※繰り返す「政治の不作為」により、どの様な未来が訪れるかを
考察します。
3.「世代別選挙制度」以外の若返り提案
※「資料1」の中から、特筆したい若者を政治参加に導く幾つかの
施策を抜き出しました。
4.補足、参考データなど
※「本稿」考察の根拠、および深堀に役にたつデータ等、若干の補足
をします。
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1.提案(主張)の最大ポイント;
(再提案)「世代別選挙制度」を狛江市へ
(出典)狛江市(令和3年)人口と世帯数;年齢別人口;
「年齢別(1月1日現在)」より抜粋
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/46,113301,363,3152,html
<大いなる不満>
※総務省の「地方議会・議員のあり方に関する研究会」資料がWEB上に
公開されている事に最近気が付き、精緻に議論されていることに感心する
と同時に、がっかりしました。
多様性議論の中で「女性の参加」は詳しく語られていて、かつ
「性別や年齢構成の面で多様性 が不足」とも記載しているのですが、
選挙の度にあれほど強調される「若者の政治離れ」への対応について、
効果が殆ど無かった過去の方策以外には、議論や考察が全く無いのです!
⇒ 以下[概要1]を参照
[概要1];若者の政治参加を促す具体的「施策」への言及が全く無い!
(出典)総務省「地方議会・議員のあり方に関する研究会」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chihogikai_giin/dai01kai_00001.html
※振り返ると、若者世代「20~39歳」の投票率が相対的に低い状況が、
40~50年間続いています、若者世代「20~39歳」の低投票率に対して
「行政、教育機関、選挙管理委員会そしてマスコミ」は決して
手をこまねいていたわけではありません。(「概要1」の施策は継続中)
⇒ しかし、事態は改善されず現在に至っています
◆筆者は若者の低投票率は継続する「構造的な問題」と捉え、制度設計で
対応すべきと考えます。
この様な状況の打開策として、筆者は、「20~39歳」の世代に、その人口
に比例した「議員定数」を配分する選挙制度(下記)を提案します。
(1)世代別選挙制度(筆者の私案)
世代別選挙制度の概要;・・18歳以上には選挙権があるものとして計算
※1;立候補者の要件;
・枠世代の利益を代表し、そのための施策を競い実行する。
・立候補する世代枠(年齢)に属さなくとも良い。
(例;60歳の候補者がA枠で立候補)
補足;年齢制限を掛けることは、憲法の精神に反すると判断しました。
初期の段階では、競えるだけの政策と経験を身に着けている若者が
いない可能性があり、経験豊かな40歳以上の候補者も必要と考えて
います。
予測;本制度が根付けば、この枠での立候補者の年齢は「39歳以下」に
収斂していくものと密かに予想(期待)しています。
※2;有権者の投票;
有権者は以下に示す「2票の投票権」を有する
・1票⇒ 所属する世代枠「〇印」へ、 ・1票⇒ 全世代枠「□印」へ
投票例;世代枠「A;20歳~39歳」に属する有権者の場合
①所属世代枠へ「1票」投票 ;世代枠Aの立候補者「7名」が対象
②全世代枠へ「1票」投票 ;全ての世代枠の立候補者「22名」が対象
2.現状を放置した時に訪れる明日; 狛江市の「未来」予測
※狛江市の「世代別人口と投票数」推移(含、予測)を観ると、
やや絶望的になります。
3.「世代別選挙制度」以外の若返り提案 ・・特筆したい施策について
(1)「被選挙権年齢」と「供託金」の引き下げ
「被選挙権年齢」の引き下げ;
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・「被選挙権年齢」を下記の様に引き下げる。(世代枠を問わない)
市議会議員; 現状「25歳」 ⇒ 改定後「20歳」
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<提案理由>
2015年6月から選挙権は「18歳から」に引き下げられています、
選挙権と被選挙権の年齢差は余り大きくない方が良い事、
および昨今の社会変革と科学技術進歩の激しい時代にあっては、
時代を体現している若者世代が地方議会に参加する必要があると
考えます。(施策を時代に対応したものとするため!)
「供託金」の引き下げ;
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・「世代別選挙制度」の導入時に、「世代枠A(若者有権者投票枠)」
での立候補者の「供託金」を下記の様に引き下げる。
市議会議員; 現状「30万円」 ⇒ 改定後「5万円」
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<提案理由>
収入の少ない『非正規雇用の若者』でも、立候補を可能とするため
です。
・・但し、制度の濫用を防ぐための補助的な施策が必要かも
しれません。
(2)厚生年金への議員加入
市議会議員の「厚生年金」加入;
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・重要なポイントは、自治体の負担を増やすことなく、
市議会議員に在籍(在職)中の「厚生年金」加入を可能とすること
です。
市議会議員; 現状、議員中は「国民年金のみ」
⇒ 改定後「国民年金+厚生年金」
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<提案理由>
○若者・会社員が、議員へ転身する場合に「厚生年金」払い込みが
途切れぬようにする。
若者が「一生の職業」として選択を、或いは「キャリアパス」と
しての議員職の選択を、老後の心配をすることなく(安心して)
立候補できるためには必須事項と考えます。
・・もはや、議員職を「片手間で行う名誉職」との捉える若者は
いませんし。
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○繰り返しますが、議会の予算はこれを理由に増やさないことが
大前提です。
過去の過度に優遇されていた(お手盛り)議員年金に戻っては
なりません。
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※考え方としては、ヨーロッパやアメリカの基礎自治体のように、
「議員は無報酬」として、実費のみを支給する方法もありますが、
日本(狛江市など)での現状を観ると、「職業としての政治」と、
捉える方が若者の参加を促せるのでは、と考えています。
※本件は市町村議会議員に限るべき課題ではないのは承知していますが、
本稿では狛江市を含めた地方議会を対象として提案しています。
※本稿では過去の「地方議会議員の年金制度」については議論しません。
過去の制度に関する詳細・沿革等については、下記等を参照ください。
(参考)市議会議員共済会 「地方議会議員年金制度の沿革」
https://www.si-gichokai.jp/kyousai/nenkin_gaiyo/1187508_1536.html
4.補足、参考データなど
(1)投票率の時代(時間)推移を観る;
・・若者の投票率は昔から低い(年々の減少率も大きい)
※時の政府や自治体、そして教育機関は様々な施策を繰り出したにも
係らず、40年間以上、「20歳代、30歳代」の投票率は低いままです。
もはや発想を変えて、この状況は今後も続く「構造的問題」と捉えて
選挙制度での対応を考えるべき、です。
・・制度や法は、人のため、社会のために在るのであって、
必要に応じて適宜変えるべきものです。
(この原理・原則が、なかなか日本では通らない!のです)
(出典)総務省
衆議院議員総選挙における年代別投票率(抽出)の推移
https://www.soumu.go.jp/main_content/000255967.pdf
から抜粋
(2)シルバー民主主義の蔓延;
(例)「社会支出」と「社会保障給付費」
※例えば狛江市では、「60歳以上」の投票数は「20~39歳」の投票数の
約「2~3倍」に達します。
(本稿、「5-(5);世代別選挙制度の提案理由(その2)」を参照)
市議会議員立候補者は、意識する・しないに係らず、
「高齢者に優しい施策」を優先し、「若者・次世代向けの施策」は後回し
にする、のが人情というものでしょう。
その結果何が起こるかを、誤解を恐れずに言うならば、
「シルバー民主主義(高齢者の、高齢者による、高齢者のための政治)」の 蔓延です。
・狛江市のレベルでは調査不足なので、国政レベルの「社会支出の割合」で
状況を観ます。
(出典)国立社会保障・人口問題研究所 平成30年度
社会保障費用統計、表6
http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h30/fsss_h30.asp
例;「社会支出」と「社会保障給付費」
○上表から、日本は「高齢:年金、早期退職年金、高齢者向けホームヘルプ
や在宅サービス 」支出比率が他国に比較して突出して高いことが明確。
(3)「1970年代」までは、選挙は若者に有利だった;
・・若者投票数の推移
昔(1970年代以前)は若者の人数(絶対数)が多く、投票率に係らず
若者からの「投票数」が大であった。
⇒ 選挙結果(政策)には若者の意見が反映されやすかった!、
そして国も成長できた!
1990年代は各世代での人口にそれほど開きはなかったが、若者の投票率の
低さが原因で、若者による投票数は相対的に減少し、若者の意見が政策に
反映されにくくなった。(国や自治体の施策も老化した)
(4)世代別選挙制度の提案理由(その1);
・・狛江市「市議会議員と有権者」の世代間乖離
※多様性の観点から言うと、狛江市議会議員の場合は「年齢構成」に
大問題があります。
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男女構成比;・男性=12名、・女性=9名(42.9%)
年齢構成; 「下図」参照、25歳から被選挙権はあるのですが、
「25歳~39歳」の市議会議員がいないのは寂しい限りです。
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◇狛江市の有権者と選出議員の年齢分布を比較すると;
(出典)狛江市;人口と世帯数
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/46,0,363,3152,html
・有権者と選出された議員の年齢分布が可成りずれていて、
有権者の民意(総量)が本当に反映されるのか、大いに疑問があります。
(無理と考える方が素直では!)
(5)世代別選挙制度の提案理由(その2); 若者の低投票率
最大要因は若者の低投票率です、ただこれは構造的問題と捉えるべきと
考えます。
(出典)狛江市 選挙管理委員会 選挙の記録
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/46,100198,360,2164,html
◇狛江市の「年代別投票率」(2021年3月31日時点)
・・入手可能な最新データ
<結果として>
若者世代の投票数が、高齢世代の投票数の半分以下になり、議員立候補者の年齢は高齢側にシフトし、かつ掲げる施策も常に高齢者側の関心を得るような内容となるでしょう。
※;H27年の投票率データは、「第5投票区(東野川1、2、3、4丁目)」
のみ。
※1=(**歳代の有権者数)/(20歳代の有権者数)
※2=(**歳代の投票者数)/(20歳代の投票者数)
○例えば、
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「H27市議選」の場合で述べると、
・70歳代の有権者数は、20歳代の有権者数の「1.84倍」である一方、
投票数で観ると「3.60倍」となっていました。
・つまり市議会議員選挙においては、年代ごとの投票率の差により、
70歳代の有権者は、20歳代の有権者に比較して、本来の人口比の
「1.96倍=(3.60/1.84)」(約2倍)の影響力を持ったことに
なります。
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(6)地方議会議員の位置づけ(概要);
・・法的には可成り曖昧な部分があるようです
※本稿では、詳細な検討では無く、基本(概要)のみを掲載いたします。
身分(位置づけ);
・その身分は、地方公務員法又は地方自治法上、「特別職の非常勤職員」に 位置付けられていて、その給与は生活給を全く意味しない「報酬」と
され、「期末手当」については受給権としての位置付けがなされて
いません。
又、地方議会の議員活動は片手間で行う名誉職であるとの考え方が
依然として根強く残っており、実際に議員に求められる資質や能力、
あるいは議員活動の実態と大きくかい離しています。
兼職の禁止;
・市議会議員は、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員
並びに常勤の職員及び短時間勤務職員と兼職できないことが、
地方自治法第92条に規定されています。
・つまり、上記以外の職種で、かつ、該当自治体と直接的な金銭的利害関係
の無い「兼業・兼職」であれば問題ありません。
戦後直ぐの日本では、農業従事者が国民の50%超いた訳で、
特に地方では、議員と農業の兼業は当たりまえだった様です。
・・農繁期を上手く避けた議会開催日程が、現在に至るまで結構残って
います.
(7)厚生年金の提案理由;
※提案理由は大きく分けて「2つ」あります。
① 一つは、若者が政治参加、特に「議員」を目指すことを促すため、
② もう一つは、「現状を追認」した上での「議員」の待遇改善です。
① 若者の政治参加を促すため;
※議員を、若者にとって魅力的に、少なくとも「職業としての選択肢」
に、或いは「キャリアパスとしての選択肢」に入る様にする必要が
あります。
議員在任期間中、「厚生年金に入れない」ことは老後(リタイア後)の
不安に繋がり、若者は避けるでしょう。
② 現状の追認;
※下図に示すように、現状は戦後直後の自治が始まって暫く続いたの
状況とは大きく異なり市議会議員の専業率が非常に高くなっています。
もはや、「専業」を前提とした制度設計のやり直しをするべきであり、
その場合の喫緊の課題の一つが「厚生年金への加入」ではないで
しょうか。
◇市議会議員の兼業;・・圧倒的に「議員専業」が多い
(出典)総務省 「地方議会・議員のあり方に関する研究会(第2回)」
資料2-1、15頁
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chihogikai_giin/dai01kai_00001.html
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