本を爆買いする


赤子が朝五時に起きてしまったりなどすると、もうどうしようもなくて、Youtubeで動画を見ながら赤子をあやすしかなくなる。
その中で、本屋で一万円渡されて買い物をする、という企画があった。
(誰か私に一万円ぽんっと渡して本屋に解き放ってくれないかなあ!)

私はポインティが大分好きなので、結構真剣に見てしまって、もうどうしようもなく本屋で爆買いしたくなってしまった。
普通の爆買い動画では全く反応しない購買意欲が、どうして本の爆買い動画ではこうもたやすく煽られてしまうのか。まあポインティや池澤春奈さんのプレゼン力が高いのが悪いとも言えるが。

それで、眠い目をこすって赤子と共に電車に飛び乗り、本屋開店と同時に店へなだれ込んだ。
爆買いだ、爆買いだ。目についたもの片っ端から買ってやる。
そう意気込んだものの、寝不足の赤子がぐずって、早速ベビーカーからびちびちとはみだし始める。本屋には可愛い小物や面白そうな仕掛け絵本があって、赤子が手を伸ばしたがるものがたくさんあるし。
ええい今ばかりは大人しくしていてくれ、と抱っこ紐に赤子をねじこみ、本を物色する。
だが自分に関心が向いていないと分かった時の赤子は、恐るべき力で反り返り、抱っこ紐からの脱出を試みる。
静謐な本屋に響き渡る赤子の泣き声。それを半ばあやし半ば無視しながら、新刊を血走った目で物色する母親。ちょっと異様な光景だっただろう。

結局滞在時間は十五分程度だったのだが、あっという間に二万円分本を買っていた。びちびちの赤子を抱くので疲弊しきっており、持ち帰りは諦めて家まで発送してもらうことにした。

五時起きの赤子はそれからエレベーターに乗っている間に眠ってしまった。
「寝るんならさっき買った本一冊でも持って帰れば良かった!」とショックを受けながらも、本屋の近くにあった喫茶店でモーニングを食べた時の朝日の輝きときたら、何とも充実感に満ちたものだった。

そういうわけで、今ばかほど眠いです。


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