気まぐれ夜の散歩
「ヘェックション!…もうこんな季節だもん、夜は寒みいな。しかしまあ、お前も飽きねえよな。なんでそんなにゲーム出来るんだよ」
「なんでだろ、好きだからかな」
「まだヒロキでやってんのか?」
「当たり前だろ。自分の名前でやってもいいだろ?」
「そうかよ。莉奈はそれでいいのか?」
「アイツは大丈夫だよ」
「息子は?」
「健太も大丈夫だよ、莉奈が面倒見てくれてるし、莉奈がキツいって言ってる時は俺も手伝うし」
「ゲームなんかせんで面倒見てくれとか言われんのか?」
「あんまり言われんね。仕事辛いでしょって言われるから時間くれるよ」
「あー、クソ上司の下で二人とも頑張ってたんだっけ」
「そうだね、今でもダルいのは変わってないから、莉奈も分かってくれてる。最近アイツ、彼女と別れたからそこそこイラついてるし尚更だるいんだよな笑」
「うーわだるくね?笑 てかお前の上司ってならそこそこいい歳だろ。俺ら28なんだから、アイツは30ちょいか?」
「そうだね、確か34とか?」
「うわー、その歳で彼女と別れるとか将来独身だろ笑 デキ婚とかしない限りは無理だろうな笑」
「だろうね笑 まあ、俺らには関係無いから別にいいんだけどさ。んで、タクトはどうなんだよ。お前んち三人子供いたべ?」
「そうだな。俺は忙しいぞ〜、なんせ家で作業できっからしょっちゅう怒られる。まだパンツ変えるのも抵抗あるしな」
「それは辛そうだな。俺まだ一回も健太のパンツ変えたことねーよ?」
「いいなそれ」
「ゲロの掃除はしたけどね」
「俺もゲロ掃除させられっからなー。社長として家にずっと居ても仕事より家庭の事が多かったりすっからなー」
「夜泣きとかは?」
「流石に恵がしてくれてるな。俺は朝ちょっと早いから自分の部屋で寝てるし」
「そっかー。工場で寝たりとかはしてないの?」
「工場では寝てないな。忙しい時とかは机で寝ちゃったりする事もあるけど、基本的には家で寝てるな」
「成程なー。てかよ、もうそろハロウィンじゃん。お前どうすんの?なんかやんの?」
「やらされるなー。恵にやってくれって言われたわ」
「何やるか決まってる?うちまだ決めてなくてさー、どっか行こっかなって」
「休み貰えてんの?」
「うん。丁度31に休み貰ってるから、そん時にどっか連れてく位しか考えれんなー」
「あー、こっからなら旭川とかでいんじゃねーの?あんま時間かかんねーし」
「それいいな。そうするわ。お前は?三人いるし一人まだ小さいんじゃなかったっけ」
「そうだな、もうすぐ一歳になる位だからどっか連れてくってのはなー。仕事もあるし」
「じゃあ家でなんかするしかねーんだ。とりあえずハロウィンっぽいお菓子の詰め合わせみたいなの買ったらいんじゃね?スーパー行けば売ってるべ」
「まあな。明日仕事帰りにでも買ってくっかなー」
「そうだな…」
「…それにしても、俺らももうこんな歳になっちまったぜ?30とか40とか想像できねーんだけど」
「ほんとよな。俺らまだDSでギャーギャーチャリでギャーギャー言ってたばっかなのにな。仕事から子供から、はえーもんだな」
「ゲームもドットからキャラになったしな。進歩早すぎだわ」
「そう考えたらそうだよなー。でも気付かず楽しんでんの、もしかしたらやべーのかもな」
「やだな、急に怖い事言うなよー」
「でもお前も楽しんでんだろ?飽きねーんだろうし」
「まあね。でも最近は課金だなんだって金ばっか搾り取ってくんのやべーよ。強いやつに勝てんし」
「クソゲーか?」
「神ゲーだわ」
「そうかよ」
「お前もいっぺんやってみたら?」
「なんかゲーム疲れちゃったしなー、対戦か?」
「いや、冒険かな?戦いもするけど人とはせんよ」
「そうなん?プレステで出来る?」
「出来るよ。無料だしどうよ」
「そりゃいいな、やってみようかな」
「分からんことあったら聞いてくれ、教えるわ」
「おうよ。まあいい時間だし、もーそろ帰るべ。…ヘェックション!…あー、寒いな」
「鼻水垂れてる!汚ったなお前」