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映画のすゝめ:『太陽がいっぱい』(1960)122分


始めに


フランスの名俳優アラン・ドロンが亡くなった。
映画好きでも、あまり映画を見ない人でも、名前だけは知ってる人は多いのではないだろうか。
恥ずかしい話、かく言う私も、映画好きを名乗っていながら観たことがあるのは『パリは燃えているか』のみ。
しかし、観る前から名前だけは知っていた。
他にも『太陽がいっぱい』『若者のすべて』など、いつか観ようとマイリストに入れたままになっていた。
そんな誰にでも知られているような彼が亡くなった。
追悼の意も込めて、今日は出演作を観よう。
そう思い立ち昨夜『太陽がいっぱい』を観た。

噂に違わぬ名作だった。

そんな名作を今日は紹介しようと思う。

あらすじ

定職につかずフラフラと暮らすトムは、"金持ちの放蕩息子フィリップをサンフランシスコに連れ戻してくれ"との依頼をフィリップの父親から受ける。
報酬は5000ドル。
イタリアで遊び暮らしをしているフィリップのもとに向かったトムは彼を説得するが、どうやら彼は帰る気が毛頭ない。
これでは5000ドルが手に入らない。
そんなある日、ローマで豪遊するためにフィリップと彼の婚約者マルジュと共に船に乗り込んだトム。
途中マルジュを船から降ろすことに成功したトムは、フィリップに成り代わり彼の生活諸共自分のものにしようと画策する。
海の上にはたった1船、2人きり。
トムの犯行を知るのは、痛いほど照りつける太陽だけのはずだった。

感想※ネタバレ有


とにかく美しい!
景色も美しければ、アラン・ドロンのご尊顔も美しい!!
作中に出てくる「モンジベロ(Mongibello)」という場所は架空の地で、撮影場所は主にイスキア島とのこと。
ナポリの西部に浮かぶ島。
燦々と降り注ぐ太陽。地平線まで広がる海。
まさに地上の楽園。
いつか行ってみたい場所に追加しておいた。

勿論物語も文句なしに面白い。
トムはフィリップの心臓をナイフで一刺しする。
一切の迷いがない。
まるでこの世ではないどこかとも思えるほど、澄み渡った空とどこまでも広がる海の上。
そんな浮世離れした場所で、トムの見せる人間の欲深さ。
彼の醜ささえもどこか美しいものに感じられてしまうほどだ。

パソコンや防犯カメラなどがない時代だからこそ(途中まで)成功した成り代わり作戦。
サインを習得する姿には、"絶対に金を手に入れてやる"という執念を感じた。
どこか爪が甘いように感じるが、作中何度も念押しされる、トムは要領がいいと言うセリフ。
その通り。
問題が起きるとトムはすぐに機転を利かせて対処する。
あの頭の回転の速さは見習いたい。
ただその才能他にも使い方があったのでは……?

しかし、太陽だけが知っているはずだった完全犯罪が最後の最後に全て明るみに出てしまう。
このまま金も女も手に入れて逃げ切るか…?!と思いきや、やはりそうは問屋が卸さない。
最初っから彼はミスを犯していた。
犬並みの嗅覚の持ち主の警官が正しかった訳だ。

どんな犯罪も、例え太陽以外に目撃者がいなくとも、神は見ている。

マット・デイモン主演で、本作の主人公トム・リプリーの心情の変化に焦点を当てて描いた作品があるらしいので、次はそれを観てみたい。

以上、拙い文章にも関わらず、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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