スルメな関係

幼馴染の定義はよくわからないが、この人はそうだろうと思える友人が一人いる。
幼稚園から中学校まで同じで、小学生の時は毎日のように遊んでいた。
中学生からはお互い別のコミュニティができて会う機会は減ったけれど、大学生になった今でも定期的に遊んでいる。

彼女は偏食がすごい。
記憶の中の彼女はいつもポテチ(うすしお)かポップコーン(塩)を食べている。
それでもスタイルはモデル並みだし、肌も髪も私よりつやつやなので、人間ってすごいよなと思う。
もし自分の子どもの好き嫌いが激しくても、心配しないぞと心に決めている。
大学生が友だちと遊びに行くとなると、すぐ目的地をカフェに設定してしまう節があるので、まず食事処が候補から外れる彼女の存在はすごく貴重だ。

もちろんこの偏食は何も最近始まったものではなく、幼稚園の時から健在である。
そんな彼女のポテチと並ぶ昔からの大好物はスルメイカだ。
においに人一倍敏感なのに何故、と今でも不思議だが、二人で家で遊ぶときはとにかくいつもスルメをしゃぶっていた。

リカちゃんとスルメ、アニメ観ながらスルメ、Switchをしながらスルメ…。
私たちはイカと一緒に成長していった。
たしかに、少し臭いことを除けば、手が汚れないし、長く楽しめるし、夜ご飯にも響かないし、放課後のお供にはピッタリである。

彼女とは成人式へ一緒に行く約束をした。
もしかしたら、私のことを友だちが多いと思っているかもしれないが、本当のところ、スルメを食べながらゲームできるような友だちは、彼女を除けば一人だっていないのだ。





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