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『倉橋惣三物語 上皇さまの教育係』

初めての記事は、私が大好きな作家さん・倉橋燿子さんの作品について書こうと思います。

『倉橋惣三物語  上皇さまの教育係」(講談社刊)
倉橋燿子さんの最新作です。
とっても感動しました! 面白いし、泣ける。
明治~昭和の時代観もリアルで、読み終えた時には、
惣三さんと一緒に駆け抜け、バトンを受け取った感じがありました。

決定倉橋惣三物語_帯付き800

倉橋惣三って誰? 
私も初めはそう思いました。
近代幼児教育の父とか、日本のフレーベルと呼ばれている人のようです。
倉橋さんは、惣三さんのお孫さんと結婚され、今回ひ孫である娘の麻生さんと、この本を書かれたそうです。
私にとって幼児教育は縁遠い業界ですが、物語を読んだら、近いか遠いかなんて関係ない!と思いました。
かつて自分自身も子どもだったわけですから。

自分が子どもの頃、惣三さんのような人が近くにいたら、どんなに良かっただろう。
こんなふうに、自分のことを見てくれる人、可能性を信じてくれる人がいたら、自分のことをこんなに否定したりせず、もっと人を信じられるようになった気がします。

それは、倉橋燿子さんの作品を読むといつも感じる気持ちです。
倉橋さんの作品に登場する主人公達は、試練があっても乗りこえて、自分の人生を見つけたり、家族や友人との絆を結び直したりしながら成長していきます。
主人公と環境や境遇が違っても、自分と重なる部分やヒントになるシーンが必ずあるのが倉橋作品です。
それは、この惣三さんのお話も同じでした。

引っ込み思案でいじめられっ子だった惣三さん。
恋愛にもオクテだし、不器用で運動音痴。
ですが、どこまでも正直で一途な惣三さんなんです。
自分とおんなじなんだって、人間くさくて大好きになりました。
そして、人間関係の難しさや、親子の問題、自分の人生の目的…。
誰もが悩んだり、不安になったりすることに対して、惣三さんも向かい合っていきます。
そして数々の珠玉の言葉を残しています。

 自ら育つものを育たせようとする心。
 それが育ての心である。
 世にこんな楽しい心があろうか。
 それは明るい世界である。温かい世界である。
 育つものと育てるものとが、
 互いの結びつきにおいて相楽しんでいる心である。

                    (育ての心)


 子供を偉大なものにこしらえ上げようというのではない。
 この子供が偉大なるものになることを信じて教育するのである。
 この子が日蓮になるかもしれない。
 この子がベートーベンになるかもしれない。
 私は驚き、後ずさりしてその子供を見る。

                   (人間の偉大さを)

読んだ人一人ひとりの人生に響く物語だと思います。
ぜひ、オススメです!

倉橋惣三協会 作品紹介ページ

倉橋燿子先生  公式サイト






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