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夏のイギリス旅 2024 (2) グラスゴーからダンケルドへ

グラスゴーに長く住んでいた友人から、スターリングStirlingの街に、最高のフィッシュ&チップスを食べさせる店があるから、是非行くべし!と言われて、訪れたのがTHE ALLAN WATER CAFE。

メニューにはest1902とあるから、122年もやっているのか。フィッシュ&チップス店が出現したのは1870年代以降らしいから、もしこのアランウォーターカフェが創業当時からフィッシュ&チップスをメニューとして出していたとすると、かなり早い。
メニューには、フィッシュ&チップスが2種類、BatteredとBreadedがある。Batteredはあのバターbutterではなくて、トロッとしたゆるい小麦粉生地でタラを揚げたもの。Breadedは文字通りパン粉をまぶして揚げたもの。
どちらも、衣と白身のタラがはがれてしまうこともなく、サクッとした衣から、フワッとしたタラの白身があらわれる様子は素晴らしかった。
好みとしては、Batteredですね。

手前がBreaded, 奥がBattered

グラスゴーから車を借りて、スコットランドのハイランド地方を南北に横断する9号線を北上する。スターリングからさらに1時間ほど行くと、ダンケルドDunkeldという古い街があり、このあたりからベン・マクドゥイ山の麓を回るように9号線は走っていく。ダンケルドはハイランドの入り口だ。

トーマス・テルフォード設計のダンケルド橋 1810年

ダンケルドの街は、お店があるのはひとつの通りという小さな街だけど、避暑に来ている様子の人、また登山姿の人たちで賑わっている。この街に、Aran Bakeryというパン屋がある。
先のフィッシュ&チップス店もアランAllanだが、こちらのアランはAran。ゲール語でパンを意味するとのこと。

Aran Bakery

川べりはちょっとした公園になっていて、さっそくパンをちぎってパクリ。クロワッサンはちょっと生地が甘いかな、、Spinach &Feta Roll(ほうれん草とフェタチーズ)はスパイスが効いて独特の味。持ち帰って宿で食べたサワードゥのシード入りはシンプルな味わいで美味しい。

ダンケルドには、もうひとつが訪ねてみたい場所があった。
街にはティ川が流れているが、対岸はシェークスピアのマクベスに登場するバーナムの森があったとのこと、そしてバーナム・オークという森の名残の老木がまだ立っているということなので、訪れたかったのだ。

バーナム・オーク


幻影「マクベスは滅びることはない。
   あのバーナムの森がダンシネンの丘に攻めて来ない限りは。」

マクベス「そんなことがあるはずがない。
     誰が森を動かすのだ。木に対して根を抜けと言えるものか。」

バーナムの森が動いた!とマクベスを滅ぼしてしまった森だけど、オークの木はまだしっかりと根を張って立っていた。
スコットランドの古くはカレドニアと呼ばれ、その古い言葉ではカレドニアは「森の国」という意味もあったという。そのスコットランドの豊かな森は、ナポレオンとの戦争で軍艦を作ったり燃料にしたりと、すっかり失われてしまったそうだ。いま、ダンケルドの街を取り囲んでいる豊かな緑も、19世紀はじめに植林した西洋カラマツだ。

銅版画
ストラット「ダンケルドの母なる西洋カラマツ」1830年
『樹木のスコットランド』服部昭郎著




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