彼らの世界に恋焦がれて【レミオロメン】
「レミオロメンの世界で生きていけたらどれほど素晴らしいだろうか」
彼らの楽曲を聞いているときに、ふとそんなことが頭をよぎった。
以前にも少しレミオロメンのことについて書いたことがあるが、私にとって、彼らが作り出す音楽が、ロックバンドとの出会いだった。
といっても、私が出会った頃の彼らは既にポップを片手にしたロックバンドだった。
あの時は漠然と、彼らの代表曲である、『粉雪』や『3月9日』が好きで、彼らの音楽をもっと聴いてみたいなぁなんて気持ちで、アルバム【ether[エーテル]】を手にした。
『南風』や『ドッグイヤー』、『アカシア』
どれも聴きやすいメロディですんなりとわたしの中へと入ってきた。
そこからもっといろんな曲を聴きたくなった。
皆さんは、彼らの1stアルバム【朝顔】を聞いたことがあるだろうか?
あのアルバムには紛れもなくスリーピースロックバンドのレミオロメンの真髄が詰まっている。
このアルバムを初めて手にした当時小学生だった私は、このアルバムを聴いて正直全くハマらなかった。
なんというか、メロディや歌詞、曲の進行どことなく古臭い。一昔前の曲っぽい。そんな印象を受けた。
それは、いわゆるわかりやすい曲の盛り上がりがないからだ。
ローテンポの曲が多くて、歌もそれに合わせてどこか間伸びするような歌い方で、パッとしない、そんな印象を当時は持った。
初めてあのアルバムを聴いた時から10年くらい経った今、
"日本のロックバンド"という言葉がこんなにもしっくりとくる、ぴったりと当てはまるバンドは他にいないんじゃないか、と思ってしまうほどの素晴らしいアルバムであることを思い知った。
どういうことかというと、
日本の四季。
季節によって移り変わる景色や温度。
人と触れ合うときのほっとするあたたかさ。
親しい人と話す時の空気感。
目を合わせて笑い合う時の満ち溢れる気持ち。
言葉を紡ぎ出す時の0.1秒の沈黙。
そんな、”形にできないけどたしかにそこにあって、私たちが当たり前に受け取っているもの。それらを言葉にして音に乗せる天才"であると、このアルバムを聴き直して思い知ったのだ。
ガシャガシャかき鳴らす煩いギターでもなく、目立った派手な演奏があるわけでもなく、伸ばし音が多いからかどこか気だるそうにすら聞こえてしまう歌だけれども、
彼らが作り出す、着飾っていない音楽こそが、日本の誇れるロックンロールなんじゃないのか、とすら思う次第である。
さて、どうして急に今更そんな話をし出したのかというと、
小学生の頃になんとなくハマっていたレミオロメンというバンドに、
私はあの当時知り得なかった魅力を知って、あの当時よりも今どっぷりとハマっているからである。
レミオロメンは、今活動休止中ではあるが、
毎年卒業シーズンには『3月9日』を聞くし、梅雨時期には『雨上がり』を聞く。
照りつけるような真夏日には『日曜日』が聴きたくなるし、夏の夜には花火に恋焦がれながら『蛍』を聞くし、秋風を感じたら『コスモス』『蒼の世界』を聞く。
冬になれば街中で『粉雪』が流れ、私のイヤホンからは『ビールとプリン』が流れる。
年末には『大晦日の歌』を流しながら年越しそばを食べる。
真冬の夜は『Wonderful &Beautiful』 が聴きたくなるし、朝露がみえる頃には『No Border』が聴きたくなる。
レミオロメンと出会ってから、
私が感じる季節は彼らの音楽と共にあるようになったのだ。
“目で見て肌で感じた季節や温度に、ぐっと色を付け足してくれる音楽”
そんな魔法のような音楽が、彼らの創り出す世界なのだ。
大学以降、いろんな人から多種多様なバンドやアーティストを教えてもらって、自分の音楽の幅もそれなりに広がったと思うけど、やっぱり"日本のロックバンド"という点に置いては、彼らに敵うバンドはいない。
彼らのような、ありのままで当たり前を歌って、それでいて特別な景色を創り出すバンドはいなかった。少なくともまだ出会えていない。
いろんな音楽を知ったからこそ思う、彼らのオリジナリティ。
そして、スリーピースでそれらを作り上げる演奏力。
レミオロメンの"今"を聞くことはできないけれど、彼らが創り上げた今までの曲たちを何度も味わって、改めて思い知った。
音楽的知識が皆無で、なんとなく好きになった初めてのロックバンドがレミオロメンだったわけなのだが、なんというか、すごく感性的に惹かれたところがあるんだなぁと思ってしまう。
言葉にできない感情をつくりあげることができる人たちだからこそ、私が無意識的に惹かれたのかもしれないなぁ、と。
小学生の頃から私の音楽を見る目がちゃんと間違っていなかった、という証明が今になってできてしまった…。
自分のことながら、本当によくやった…!という謎の感情になる。小学生の頃の私を褒めてあげたい。よくやった!!笑
好きなものは何度だって声を大にして伝えたいし、
何より彼らの魅力を知らないまま日本の四季を過ごしてしまうのはあまりにももったいない。
そして2000年代のシンプルでまっすぐな音楽が私にはどこか新しくも懐かしく感じて琴線に触れるのだ……。(最近の私のSpotify履歴は平成初期のアーティストが軒並みなのである…笑)
日本人ならではの感性が詰まっているレミオロメンの楽曲たち。
季節の移ろいを美しいと感じたことのある人ならば、きっと彼らの楽曲も響くだろう。
あなたの見る景色が、彼らの楽曲によってより深く色付きますように。
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以前のnoteでも書きましたが、死ぬまでにレミオロメン(できればスリーピースの彼ら)をこの目で見たいなぁ、とずっと思っています。
と言っても、彼らがそれぞれ今の境遇で頑張っているのを知っているので、
活動再開は急かさずゆっくり気長に待ってます。
いつか実際にこの目で見て聞けるその日まで。
多分ずーっと私はレミオロメンの世界に恋い焦がれることでしょう…
きいろ。