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占いへの誘い

ムーンストーンを受け取ってから毎日それを身につけて過ごしていた
身につけられない時はポーチに入れ手の届くすぐそばに置くことにしていた

アレックスは
「表情が明るくなったね」
と言ってくれたし  自分でもそう思う

なぜかわからないけど いろんなことが楽に感じ
何もなくても自然と笑顔が出てくるようにもなった

不思議だ

その不思議な石との絆を意識し感じるようになってから
それまで以上にMoonchildでそこにある石たちと触れ合うようになった
気にかけるようになり、時には話しかけるようにもなった

だからと言って何かがわかるわけでもないし
わたしのムーンストーンのような反応や感覚を得ることもなかった

やっぱりわたしにとってこのムーンストーンは特別だったんだ
そう思うとさらに愛おしく感じる


その日アレックスは会いにくる女性がいることを
珍しく前もって教えてくれた

前もって言われるとなぜかドキドキする
だから今まで言われなかったんだ
わたしがこの石をつけてるからもう大丈夫だと思ったのかな


彼はラップトップを準備し始めた
ということは今日は星占いの日か、、、


女性が来た時、わたしはなぜか自然と声をかけテラスへ案内していた
これには自分でもびっくりした

やがてセッションが始まり
わたしは反対側のテーブルでまたスケッチブックを広げた

あの時のように綺麗な絵を描いてみたいって思ってるけど
描けるかな、、

いざこうやって描こうとすると つい色んなこと考えてしまう
この色とこの色なら合うかなとか
ここはもうちょっと大胆にとか

きっと上手く描ける人は
そういうの考えないで ひらめきとかで描くんだろうな
そんなふうに思った


あの時どうだったっけ、、と思い出そうとすると
オニキスがどこからかわたしの隣に静かにやってきて
大きな欠伸をした後 丸くなった


「瞑想してたの?」


あの時アレックスはそうわたしに聞いてきた
瞑想にヒントがあるのかも

でも瞑想のやり方なんて知らないよ
なんでそうなったんだろう

考えていても仕方ない
ひとまず覚えていることだけでもいいから
もう一度やってみよう


目を閉じて、、、、、
その後 どうしたんだっけ

波の音を聴いていた気がするな

あ、色鉛筆持たなきゃ
何色にしようか、、、
えーっと波波、、




だめだ
波の音が全然入ってこない
ちゃんとBGM、かかってるのに

まあ、、いっか

わたしはオニキスの背中を軽く撫で気を紛らした
気持ちよさそうだないつも



セッションは終わったようだった
女性が立ちあがろうとして腰を浮かした時
気が変わったのかもう一度座り直してアレックスに話しかけた

アレックスは頷いてから席を外し
あのペイルグリーンの布の包みを持って戻ってきた

ラップトップを横に退けて準備をし
あの時と同じように丁寧で流れるようにカードを並べ
そこからカードを一枚引かせた


女性は笑顔になり
少しの間また二人は話をした

女性は満足そうだった


カードが、、あの人の何かを変えたの!?


星占いの時はとても真剣だった
この人に限らず
星占いを受けている相手は誰もが真剣な表情をしていた


そしてカードを引いた時は
誰もがみんな
何かが変わったように見えた


なぜ?
なぜ?


何が違うの?
わたしにはそれがわからなかった

そもそも占いを受けただけで
何が変わるの?

星占いって、なんであんなに真剣になれるの?
何のために受けるの?
何がわかるの?

カードを引いただけで
何でそんなにその人を変えることが出来るの?


瞑想と描きたかった絵のことはもうすでに頭の中から消えて
わたしの中にクエスチョンマークがどんどん増えていった

そして気になって仕方がなくなってきた


わたしがMoonchild にくるようになってからまだ日は浅い
でも毎日じゃないけどアレックスのところへくる女性は一定数いるのを知っている

占いをする人がそんなに多いなんて知らなかった

彼女たちは一体何を受け取って帰るのだろう


星占い
カード占い

あとアレックスがやっているのは
エネルギー、、ワーク? って言ってたっけ

何かがどんどん膨らんでいった


話は終わったようだ
女性はアレックスに丁寧にお礼を言って席を立った

そのまま出ていこうとしたのを急に立ち止まり
わたしのところへやってきて話しかけようとした

わたしは反射的に立ち上がって
ありがとうございました
って言った

言ったあと 少し照れ臭かったけど
彼女はにっこり笑ってくれた


その後に彼女がくれた言葉で
わたしの鼓動は早くなった


「あなたはやらないの? 占星術」




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