「赤ちゃんのために」というパワーワード【33週目~36週目】
里帰り出産のため、夫の実家に挨拶に行ってから名古屋に帰ってきました。 赤ちゃんはクリスマス前に産まれる予定です。
ベビーカー、チャイルドシート、抱っこ紐など、大型ベビーグッズに備品類を準備し、購入した新生児の肌着や洋服を洗濯・日干しが完了。赤ちゃんが過ごす部屋を整えるべく遮光カーテンに。
度重なる大きな出費。半年しか使わないかもしれないグッズでも「赤ちゃんのために」というパワーワードで購買意欲が増し、金銭感覚は麻痺している気がします。それはわたしたち夫婦だけでなく、孫の誕生を楽しみにしているわたしたちの親も同じのようです。お腹に向かって「キミは、生まれる前から家族に愛されてますね」と話しかけると、胎児はうねうねと動いてました。喜んでいらっしゃる!
こうして出産前のできうることはほぼ終えたものの、誰かを育てることへの不安と楽しみは、なかなか言葉にできません。「もうすぐだね。楽しみでしょう?」と人に聞かれると、素直に喜べない。「これから、自分以外の誰かの心配をずっとしていくのだろう」と思うと、眉間にしわが寄ります。でも逃げる気持ちにはならず、「元気でいてほしい」と願い続けるのでしょうね。
出産先は、わたしの幼なじみもお世話になった、実家から車で数分のところにあるマタニティクリニック。近隣に大病院もあるため、「万が一のことがあった場合に、早急に搬送してもらえるはず」と、妊娠がわかってから早々に予約をしました。
里帰りした翌日、同クリニックにて検診へ。妊娠初期から通っていた奈良県のクリニックからの紹介状を持参して診察を受けました。わたしと赤ちゃんの心電図、胎動の回数を調べてもらい、ベテラン院長いわく「順調に成長しているね。予定日くらいに生まれると思うよ」とのこと。未熟児だったわたしの出生体重を軽く超えてて、ホッとしました。
いわゆる臨月と呼ばれる時期の今、お腹の急成長とともに身体の不調を実感するようになりました。手指の痺れで、パソコンのキーボードを打つのもしんどくなってきましたが、「書く力」が弱まるのは避けたいので、できるだけnoteを更新したいです。
長いようで短い妊婦期間、noteの下書きに残っていた初期の言葉を残しておこうと思います。
~妊娠10週目~
お腹がデカくなっている気がする。
それはうすうす気づいていたが、「まだ目立たないから」と鏡の前に立てば、余裕をかまして動いていた。10週目にきて、身体が重いことに気がつく。おへその下あたりがパンっと張った感じ。いるのだ。胎芽から胎児になる一人の人間が。
物心つくころから、「子どもとは、一人の人間としてコミュニケーションを取りたい」と思っていた。「うちの子」「わたしの○○ちゃん」とは言いたくない。一心同体のように感じてはいけないと、そう思えないうちは産みたくないとさえ思っていた。
それは、愛情いっぱいに育ててくれた母への反抗心からかもしれない。「わたしのかわいいアユちゃん」と言われるたびに「お母さんのじゃない!」と思った。我ながら独立心が強い子だったと思う。それでも困った時は頼ってしまうのだけど。
この気持ちが薄れてしまわぬよう、「成長した子どもに送る6ヶ条」を考えてみた。
~妊娠12週目~
バナナの「口腔内アレルギー」になったかもしれない。唇から喉までイガイガする。しばらくすると、頬や首回りに湿疹ができる。1日寝れば治るけれども、胎教に影響があるといけないので控えよう。
4カ月目に入ると流産の可能性が低くなるというけれど、やはり毎日心配だ。胎動もまだ感じないし、つわりもあって食事もろくにとれていないから。でも、精神的な安定を保てられているのは、夫の存在が大きい。
夫は8週目くらいから、毎朝わたしの腹に耳をあてて赤ちゃんが元気かどうかを確かめるようになった。「今日も元気だ」「まだ寝てるね」「はしゃいでいる」と、お腹から聞こえる音で判別する。
正直、「そんなん、わかるんかい!」と思った。まだ親指サイズの子どもの状況がわかるわけがない。ただ、産婦人科に行き、エコーで胎児の状況を見ていると、夫の表現する動きに当てはまる気がして、あながち間違っていないかもと思った。
自分のお腹に耳をそばだてることはできない。だから、彼がうらやましい。でも、今日も元気に成長しているのだなと、安心して一日を過ごすことができるので、「腹の音を聞いてみ!」とお願いしてしまう。
彼は子どもが生まれることを楽しみにしている。そうわかるから、がんばろうと思える。なるようになるかな、と思う。そうやって、2023年を過ごせたらいい。
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妊娠初期のころの文章を読んでみると、「すでにお母さんになろうとしているのだな」と感じました。「赤ちゃんのために、自分はどういう人間であるべきか」と考えていたんだな。「赤ちゃんのために、自分は健康であらねばならない」と必死だったな。2023年は「赤ちゃんのために」が頭の中でぐるぐる回っていたように思います。
これから、毎週検診があり、いつ生まれてもおかしくない時期に突入です。完璧は無理かもしれないけれど、できうる限りのわたしで出産に向き合ってみます。母子ともに無事であることを祈っていてくださいませ!
(記:池田アユリ)