見出し画像

それぞれの詩を織り合わせた創作第1号ー靑ヰ埠頭『カベルネ』


後輩であるtatsuki ikegaya君と
「靑ヰ埠頭」(アオイフトウ)
というユニットを組んだ。

それに際して、6/30(日)
自分のソロライブにてタツキ君をゲストに招き、我々が一番最初に作ったオリジナル曲『カベルネ』を披露した。



ジャンルで言えば「フォークトロニカ」になるだろうか。タツキ君がビートを鳴らし、僕がギターを弾いて歌う、と言った編成だ。

この日、タツキ君と共演するに当たり、
Acoustic Ver.として実験的に初披露した。

スタジオで音を鳴らして合わせたのもたったの一度きり。とっても新鮮な体験だった。


今回はタツキ君と「靑ヰ埠頭」を組んだキッカケと、初のオリジナル曲『カベルネ』についてつらつらと書いていこうと思う。




2021年某日。
タツキ君と共演したとあるライブ終演後。

彼が色々な人とコラボして曲を作ってることを知った僕は、「何それ面白そう!」と真っ先に首を突っ込んだ。

タツキ君とは多少の好みの差異はあれど、amazarashiや凛として時雨など、好きな音楽の共通点が多かった。

お互いのオリジナル曲もリスペクトしていた上に、真ッ冬を組んだばかりで人と音楽をやる楽しさを実感していた時期でもあった。


まず、作詞作曲の分担をどうしようか。

話しているうちに、「折角なら作詞も二人でやりたいね」ということになり、

「"春"をテーマにして4〜5行の詩を送り合って、そこから掻い摘んで曲にしてみよう」

という方針になった。

真ッ冬でも作詞は全て僕なので、一つのテーマに対して意見を出し合うのは中々楽しかった。お互い詩が好きなのもあって、あっという間に10編ほどの詩が溜まった。

よし、まだ全体像が見えてこないけど作詞作業は一旦終わり。さて、次は作曲をどうするか………。

作詞において共通点があると言っても、作曲やギタープレイのスタイルはまるで違う。

僕はと言えば、真ッ冬では基本的にキーボードがリードを弾いているので、コード弾きのバッキングに徹している。対してタツキ君はソロギターよろしくハイフレットを駆使しながら常にテクニカルだ。

なので、作曲はタツキ君に任せよかなぁとのほほんと考えていたのだが、意外にも伴奏を先に思いついたのは僕だった。

もちろんタツキ君のようなテクニカルなことは出来ないが、僕なりに「ソロギターってこんな感じ?」と何となく作ったのが『カベルネ』のフレーズだ。

その証拠に、この曲ではリードを意識したにも関わらず1〜3フレット(3カポ)しか使わない上に、全編グリップフォームで完結する。まるで「ソロギター入門編」みたいな曲だ。

ちょっと簡単すぎかなぁシンプルすぎかなぁ………と不安だったが、タツキ君に聴かせたところ「これはこれで良き!」とゴーサインが出たので、曲の構想が決まった。


ここで少し戻って作詞のお話。
伴奏をベースに、お互いに作った約10編の詩を曲に当てこんでみる。詩を抜粋してメロ毎に並べ替えたのは僕だ。



夏が終わって少し肌寒くなった時期だったから、10月ごろだろうか。

ビートも何もない、ギター伴奏だけのまっさらな『カベルネ』が完成した。





靑ヰ埠頭『カベルネ』
作詞 : Shin Mizumoto / tatsuki ikegaya
作曲 : Shin Mizumoto


幽霊団地  ゴミ収集車
庭に滴る緑は枯れ木の死体
或る町の風に混じった
軽快な音楽と潰れたゴミの匂い
後ろめたさに白い靴を汚して
誰も居ない場所へ
誰も居ない場所へ  (tatsuki ikegaya)

春を信じていました
青と白の入り混じった
燃えるようなオレンジが間もなく
微熱の様に拡がって
甘い  暖かい  夜が消えていく
春を信じていました
春を信じていました……  (Shin Mizumoto)

取り繕ったり
威勢を張ったり
黙ってみたり
喚いてみたり
まったく人生とは愉快だ
これっぽちも笑えねぇ  (tatsuki ikegaya)

吐き気を覚える程の郷愁
極めて日常的な残酷
心何処にもあらずが故の立ち往生
アスファルトに桜の点描画  (tatsuki ikegaya)

何度目の春を駆け出したろう
一度は手放した花びらの匂い
手付かずの時代をひたすら呪った
深呼吸をしたくらいじゃ
俺たちの肺は潰れない  (Shin Mizumoto)

取り繕ったり  威勢を張ったり
黙ってみたり  喚いてみたり
まったく人生とは愉快だ
まったく人生とは愉快だ  (tatsuki ikegaya)






お互いに詩を送り合って、改めてタツキ君の詩の世界には敵わないなぁと思う。

僕も5編ほど詩を作ったが、曲の雰囲気も踏まえてタツキ君の詞を主にフォーカスして並べ替えた。

僕が担当したのは1番Aメロとサビ。

僕が「春」という土台を重んじる一方、タツキ君の視点は多角的で、次々と情景が浮かぶ。

特に僕がお気に入りなのは

「アスファルトに  桜の点描画」の歌詞。

この歌詞にはほんっっとにシビれた。


だからこそ、この一節はサビ前の一番の盛り上がりに配置しようと決めていた。


僕の作詞は小説がベースにあるので文脈は常に意識しているが、悪く言えばどうも説明的だ。その分、この曲においては彼の詞の世界をいい具合に補足できたように思う。



春を信じていました…………


すでに夏が到来していたあの日、僕らが「春」の言葉を編んだのは、僕にとっては真ッ冬との対比、はたまた僕らに対する「旅立ち」の様な意味合いもあったのもしれない。


長らくソロで活動してきて、
真ッ冬、靑ヰ埠頭……………

こうして色々な人と関わりながら音楽を作れるとは、


まったく、人生とは愉快だ。







現在、靑ヰ埠頭ではオリジナルが4曲。


冒頭の動画でも触れている通り、まだまだライブは少ないものの、音源制作が着々と進んでいる。

4曲のうち2曲はタツキ君が作った曲だが、当然ギターを弾くのは僕だ。彼のテクリカルなフレーズに時々小指が千切れそうになりながら、コツコツと練習している(白目)。

いつか完成した音源を引っ提げて、表舞台でお披露目したい。


今後の活動やライブ情報については、
Shin Mizumoto、tatsuki ikegayaのSNSにて随時更新して参ります。


今後とも、応援よろしくお願いします🙇‍♂️









最後に、tatsuki ikegaya君の宣伝を少しだけ。

今年の12月6日〜8日にかけて、
彼の同日発売のソロアルバム『黄色い窓』を引っ提げて「個展」が開催される。

場所は静岡市は鷹匠にある
アート&スペース あまねく
(静岡市鷹匠2-10-25 2F)


こちら完全な予約制のため、上記のインスタグラムから個展の詳細をご確認ください。

彼はミックス、マスタリングを自ら手掛けるだけでなく、ビデオ撮影や写真撮影、さらにはアナログ絵も描いている。上記の『黄色い窓』のフライヤーやアルバムジャケットも彼自身が創ったものだ。

そんなマルチな彼が、「個展」を開く。

きっと彼が多方面で表現してきたものが詰め込まれた素敵な空間が待っていることだろう。


既に予約を済ませている僕は、今から楽しみだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?