キャッシュレス生活の反省と店員の配慮に感謝
近所にあるお店は大抵キャッシュレス決済に対応しているため、ふらっと外に出るときは、財布を持ち歩くことがなくなっていた。
その日は、散歩がてら自宅から少し離れたスーパーへ買い物に行くことにした。外に出る前に日差しが強いことに気づき、日焼け止めを塗るかどうか一瞬迷ったものの、結局その手間を省いてそのまま出かけることにした。
スーパーに到着し、普段通り買い物を始め、必要なものを次々とカゴに入れていった。そして、レジに並び自分の番が来たところで、財布を持ってきていないことに気づき、急に焦り始めた。
普段からキャッシュレス派で、財布を持ち歩かないことが多い。ただ、このスーパーは現金かクレジットカード決済のみだったため、QRコード決済やタッチ決済は使えない。そのことはわかっていたはずだが、どうやら、いつも通りスマホだけを持って家を出てきたらしい。
おずおずとレジを担当していた店員さんに事情を説明すると、「30分以内に戻ってこられるのであれば、カゴの中身を保留しておきます」との申し出をいただいた。
ありがたい提案ではあったが、家まで戻るには30分では到底足りないため、一旦諦めて、改めて買い物に来ることも頭によぎった。しかし、ふと「コンビニATMならスマホを使って現金を引き出せるのではないか」と思いつき、スマホだけは持っていたため、店員さんに保留をお願いし、近くのコンビニまで急ぐことにした。
とはいえ、コンビニもそれなりに距離があり、強い日差しの下を足早に向かうのは少々しんどかったが、自宅に戻るよりはマシだと自分に言い聞かせて歩き続けた。
コンビニに到着し、すぐさまATMへ向かい、ネット銀行のスマホアプリを使って無事に現金を引き出すことができた。なんとなく便利そうだからネット銀行を開設していたが、ふだん現金を持ち歩かない自分でもこうした場面でキャッシュカードなしで現金を引き出せることの柔軟さに改めて便利さを実感した。
再びスーパーに戻ると、幸いなことに先ほど対応してくれた店員が再びレジに立っていたので、その列に並び直した。自分の番が来て、先ほど保留していただいた者であることを伝えると、店員は冷凍食品だけを別のカゴに選り分け、冷凍棚に置いてくれていたという。
普段財布を持ち歩かずスマホによるキャッシュレス決済でイキリ倒しているこんな人間に対しても、店員さんは嫌な顔ひとつせず、冷凍食品が溶けないように配慮して細やかな対応をしていただいたことに心から感謝だった。
店員さんに促されそのカゴを取って、無事に精算を終えることができた。最後に店員さんに丁寧にお礼を伝え、ようやく帰路についた。
帰り道では、これからはスマホカバーにある申し訳程度のポケットにクレジットカードを1枚忍ばせておこうと振り返り、スマホでのキャッシュレス生活に対する過信を反省した。
結局、いつも以上に日差しの強い中を歩くことになってしまって、「日焼け止めを塗っておけばよかった」と少し後悔した。