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●2020年10月の日記 【上旬】

10月1日(木)

仕事中ポーズを固定すると目線も固定されるので(絵画モデルの仕事をしている)窓の端を2時間見つめていた。窓は明るくなったり暗くなったりした。

昨晩はほとんど眠れなかった。コーヒーのおかげで仕事中は意識をはっきりと保てた。行き帰りの電車で眠った。

とても疲れていたから自分の作ったあたたかい食事しか摂りたくないと思いつめてきのこ汁を煮た。よい豚肉も入れた。具だくさんでおいしかった。今日は作ってよかったほうのやつ。疲れているときに調理をすると疲れている人間が作った食物の味になりがっかりすることが多い。今日のは献立的に疲れた人間にしか出せない深みが出せたんじゃないかと思う。

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(好きなパッケージ)


10月2日(金)

子どもと幼稚園に行って遊び帰りにぎょうざの満洲で昼食をとった。今日も今日とて3割うまい。

午後は友だち親子と待ち合わせて庭園へ。池のある庭園を走りまわる子どもを早足で追いながら、でも車や自転車の往来のある街中よりはずっと自由にしてやれるので気分がよかった。ちょっとの間でも「だめ!」とかそれに類する言葉を発する回数が減るだけで心はおだやかになる。売店でばら味のシューアイスを買って食べたらかなりばらだった。

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10月3日(土)

子どもの昼寝につきあって、というのは嘘で完全にわたし主導で眠りこけて気づけば子どももそれに付き合ってくれていた。

15時ごろになってむくりと起き上がり、水をかけると食べられるようになる冷凍の蕎麦を納豆と食べた。

ここのところ週末は毎度こんな調子だ。家から一歩も出なかった。

10月4日(日)

わたしと布団で眠りたい子ども VS 焼きそばを作って食べたいわたし の闘いが勃発。わたしは一度はじめた作業を中断するのがとても苦手でこういうとき意地になってしまう。子どもに泣かれながら調理した焼きそばはそういう背景がもろに反映された味になり、でも夫の手でなだめられた子どもも食卓について目をとろんとさせながらいくらか食べていた。夫による食事の介助はとてもやさしい。

10月5日(月)

ヒールのある靴を履いて仕事に行った。わたしは背が高く手足が長めの作りだからヒールのある靴を履くとすらりとタテに長くなってさまになる、のに歩くのが壊滅的に下手くそで10分の道を20分かかったしデパートを通り抜けるとき鏡に映った歩くわたしは不格好なロボットだった。ヒールのある靴を履いて歩いちゃ駄目な人間、オーケー覚えた。いいかげん覚えたぞ。どうしてもヒールのある靴履かなきゃいけない場所にいくときはリュックに入れて背負っていく。

仕事先ではハロウィンの仮装をして花屋で買ったかぼちゃをひざにのせた。これが仕事なの何度考えても面白い。仕事だからまじめなんだけど、まじめならまじめなだけ面白い。

10月6日(火)

今日の仕事は神奈川。おれこの仕事が終わったらグリーン車に乗って帰るんだ。って心に決めたら日中をうきうきして過ごせた。仕事先ではミズイロのワンピースを着て花の前に座って気持ちよかった。コスモス。造花。

帰りは心に誓ったとおりグリーン車に乗った。ドトールのレタスドックを持ち込んで食べた。ドトールのレタスドック260円で買える温かい食べ物の中でいちばん美味いのでは。
グリーン車での移動は心が穏やかになる。グリーン車のサブスクリプション1500円/月くらいであったらいいな。肌ツヤよくなりそう。

家について鍵をまわすとドアを開けるまえから子どもが玄関に駆けてくるでんでんでんでんいう足音がきこえてうれしくなった。今日の保育園への迎えは夫が行ってくれてふたりは先に家に着いていた。

有給を取得し丸一日会社関連の通知を絶っていた夫は明らかに顔色がよかった。洗濯物を干して昼は映画を観にいって買い出しをして夕飯の支度をしてくれたから忙しかったはずだがいきいきしていた。作ってくれたレモン味のパスタが美味しかった。

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10月7日(水)

東京に来ている友だちと会って昼ごはん。友だちが予約してくれたフレンチの店、一品一品美味しいうえに量が多くて食いしんぼうにはたまらなかった。ワインも飲んでべろべろになった。

帰るとき雨が降っていたからビームスで高い折りたたみ傘を買った。そんなに好みの柄でもなかったんだけど。へんな傘を買う酔っぱらい。

保育園の迎えのとき、マスクのおかげで呼気の酒くささがばれなくて便利だなあ〜としみじみ思った。

10月8日(木)

すごく雨だ。
子どもが傘を自分でさして登園するという。うーん、はじめての試みだがそれも楽しそう。
ふたりそれぞれに傘をさし車通りの少ない道を歩いてみた。自分の傘がうれしくてしかたない子どもはなかなか進まず、水たまりを見つけるたびに足をひたす。長靴はまだない。スニーカーがぐちょぐちょだ。
満面の笑みで傘を掲げ、全身ずぶぬれで登園した子ども(しかも遅刻)に保育士のみなさんは「傘かっこいいねえ」と声をかけてくれる。すぐに着替えも用意してくれる。ありがたい。ていうかごめんなさい。ここまでずぶ濡れになると思わなかったんです……。

それで仕事のあとKEYUCAに寄って子ども用のレインコートを買った。ポンチョと迷ってそでのあるほうのにした。

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KEYUCA キッズレインコート

大きめのフードがついているところがよい。透明だからかぶっても前がみえるね。

10月9日(金)

まだ雨。
きのう買ったレインコートをここぞとばかりに子どもに着せる。ざあざあ降りのなかをちょこまかと駆ける子どもは予想以上にうれしそう。そして予想以上に速い。ついていくのに焦ってわたしがちょっと濡れた。

行きつけの美容室で髪を切ってもらった。子ども同伴でも広いキッズスペースがあるから退屈せずに待っていてもらえる。とはいえ0さいや1さいのときにはとても離れて遊ぶことはできなかったから、今回はじめてキッズスペースで遊ぶ子どもを見たかもしれない。わたしが髪を剪定されるあいだ美容師さんにプラレールのありかをたずねるなどしていた。冷静だ。成長している。

ところでわたしは髪の多い女であり、髪の多い人間であることは、自分が髪の多い人間であることをつねに突きつけられて生きることだ。
なかなか頭皮に辿りつかないシャンプー。終わらないドライヤー。折れる櫛の歯。髪の多さからは逃れられない。
ここの美容室の信頼できるのは、美容師さん自らが髪の多い一族のひとりなのだ。わたしの髪の悩みを決して軽んじたりしないし、多毛への理解が半端でない。今日も毛先に適度な重みが残しつつ毛を梳いてくれた(大量の毛がまとまりを保つためにはある程度の自重が必要なのだ。梳きすぎると毛は横へ横へとふくらみ最後は爆発する)。適切な扱いを受けたわたしの頭髪は鏡のなかで人並みのボリュームにまで落ち着いて見えた。感激したのも束の間、理解の深すぎる美容師さんによる「でも1週間もすると増えちゃうんですよね〜」との予言が不吉だった。

それにしても、多毛(わたし)と多毛(夫)が結ばれて生まれたわたしたちの子ども。どうなるんだろう。一族の苦労を受け継がせてしまうのだとしたら申し訳ない気持ちでいっぱいだ。隔世遺伝(夫の父・猫っ毛)に期待したいところだが、のぞみは薄いだろう。子どもは生まれたそのときから髪をしっかり生やしていて頭皮を見たことがない。もし多毛で悩むことがあればサポートは惜しまないつもりだ。

10月10日(土)

雨がつよい。晴れる日を夢見て洗たく物をためこんでいたがもう限界。部屋干しだ部屋干し。

子どもにタックルされたり乗られたりしながらもめげずにソファでkodomoeという育児系雑誌をぱらぱらめくっていた昼さがり。「子どものごはん乗り切りQ&A」というページにいやされた。

Q.少食で全然食べてくれません……。
A.お腹がすいていない時間に食事をしているのかもしれません。
たくさん運動させて規則正しい生活を。おやつの時間が食事の時間と近くないか、食べさせすぎていないかチェックを。お腹が空けば子どもは自然と食べません!

(kodomoe 2020年10月号 p.14)

ふふふ。食べません!。うふふ。

子どもと暮らして意外だったことのひとつに「びっくりするほどごはん食べない」がある。わたしの子どもは食べるほうだとおもうけどそれでも思ってたより全然食べない。子どもってごはん並べたら「わーい!」って飛んでくるのだと思っていた。実際そうなるのはよほど好きなお菓子のときだけ。周りの子どもたちを見てもだいたいそんな感じ。みんな食が細いというより、座ってごはん食べるよりやりたいことが山ほどあるらしい。食べません!ふふっ。


9月下旬 | 10月中旬



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