子猿のゆううつ、楽園の出口(1)
わたしの通っていた小さな幼稚園には小さな園庭があった。たいして多くもない園児たちを集合させることもできないほどだったから、園庭というより個人宅の庭くらいの趣だった。それもそのはずで、その小規模な幼稚園は実際、園長一家の自宅の1階部分だった。
2階の住居スペースと1階の幼稚園とは、外階段ではなく普通に屋内の階段でつながっていたから、屋内遊びをしているときなどに園長の娘たちが降りてくることがあって、そのたびに驚かされた。彼女たちは小学校に通っていたが、園の開いている平日昼間