影鏡問答

物語の主人公のような
劇的なことは何もない
それでも平凡で一般的には
良い生き方をしてきた

幼いころの無数の夢が
叶ったとは言い難いけど
現実を見据えた幸せを
享受できていると思ってた

鏡に映った私の影が
夢の世界で何かを問い掛ける
暗い暗い深い深いその瞳は
私をどう見ているの
朝の陽ざしにかき消されて
答えは今日も出ない

憧れた漫画キャラのような
素敵な出会いではないけれど
それでも普通に幸せと呼べる
恋、生き方をしてきた

諦めてきたこともあった
妥協してきたこともあった
それでもこれらの選択は
間違ってないと思ってる

鏡に映った私の影よ
夢の世界で何を言いたいんだ
痛い痛い不快不快その視線は
私に何を求めるの
朝の陽ざしがかき消すまで
いいよ、語り明かそう

「それでいいの」と影が言う
混ざって濁った昏い色
かつて"胸の奥底"(ここ)に押し込んだ
後悔と贖罪の忘れ物
こんなはずじゃなかった人生を
夢見る純粋なもう一人の私

鏡に映った私の影が
夢の世界で今を問い掛ける
深い暗い痛い辛いその姿で
「なんで私を捨てたのか」
朝の陽ざしが来る前に
今日はちゃんと答えよう

鏡に映った私の影よ
夢の世界に閉じ込めてごめんね
君に全部渡し逃げたその"重荷(おもい)"を
これから共に背負うから
朝の陽ざしが来た後も
君と生きていこう

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