渡部昇一流『四書五経』の解釈
31、知者と仁者 ②
🐢知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。(『論語』雍也第六)
知者は本を読んでも話をしても刺激を受けて、楽しいことが多いはずである。
一方、「仁者は寿(いのちなが)し」は孔子の観察の結果であろう。
江戸時代の儒者には長命の人が少なくなかった。
確かに佐藤一斎などは八十歳を過ぎてから『言志耊録』を書いている。
あの頃の人の年齢を「現代で言えばどのくらいになるか」と計るには0,7で割ればいいと言われるので、当時八十と言えば今なら百歳以上の長生きである。
当時の儒者は徳が高かったので、
普通の人よりイライラすることが少なかったのかもしれない。