心の傷
「身体の傷よりは心の傷が更に多くの治療を要す」
体の傷はすぐに消えるが、
心に負った傷が消えるには長い時間が必要である。
私はこの言葉から東京裁判にかかわったパル判事が、
昭和二十五年に原爆の傷跡の残る広島を訪れたときの話を思い出した。
そのときパル判事は、
東京裁判の日本に与えた心の傷は広島の復興よりも長い時間を要するだろういう趣旨の話をした。
それはその通りで、
日本はいまだにその傷を引きずっているのである。
〈渡部昇一〉
♠️ 金があれば勇気は失せる (日本の諺)
すべての事柄が金銭で解決するとは限らない。が、
ほとんどのことは “金“ によってなんとなくうまく治る。逆に、
金銭に関わり合う利害関係の中からは激しい対立が生まれ、
憎しみが醸成される。
大部分の人々にとって “金“ は万能と言ってよい。
「なぜ働くのか」と尋ねられて、
名誉のためと言える人が何人いるだろうか。
むろんそういう人もいるだろう。しかし、
そういう人は生活に困らない人ではあるまいか。
誰でもまず最低生活を送るためのお金を得るべく働く。
名誉や生きがい、
奉仕などが目的で働くのは生活がある程度安定してからだろう。
“金“ があると、人間誰でもそれを守ろうとする。
守りからは積極的な勇気、冒険は生まれてこない。
ー『座右の銘』研究会ー
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