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「養生訓」(著・貝原益軒)

からだ

人間のからだは父母をもとにし、天地を始まりとしたものである。
天地・父母の恵みを受けて生まれ、また養われた自分のからだであるから、
自分だけの所有物ではない。・・・・・

およそ人間のからだは、弱く脆く儚い。
風前の灯火の消えやすいようなものだ。危ないことだ。
いつも慎んでからだを大事にしたい。
まして内外からからだを攻める敵が多いのだから、気をつけなければならぬ。
まず飲食の欲、好色の欲、睡眠の欲、また怒・悲・憂をもってからだを攻めてくる。
これらはみな自分のからだの内から起こって攻めてくる欲だから内敵である。
なかでも飲食・好色は内欲から外敵を引き入れてくる。
もっとも恐るべきものだ。
風・寒・暑・湿はからだの外から入ってきて私たちを攻めるものだから外敵である。
人間のからだは金石ではない。壊れやすい。
ましてこんなに内外に敵を受けるのだから、内の慎みと外に対する防御がなくては、多くの敵に勝てない。まことに危ない。
これだから人々は長寿を保てないのだ。

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