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おいしく炊けるから、玄米を常食できる(有元葉子さんの「玄米 私の楽しみ方」)
台所で「ああ、有元葉子さんに叱られる」と思うことがあります。
今日は疲れたし、とスーパーマーケットでお惣菜を買ってしまったとき。
手順を全て確認せず、レシピを上から読んで行き当たりばったりに調理しているとき。
ぬか漬けをかき混ぜるのを3日以上サボっているとき。
食後、洗い物を見て見ぬふりをして、ダラダラすごしているとき。
料理も暮らし方も洗練されている有元葉子さんは、自分にとって良心の象徴。
台所の守り神のような存在なのかもしれません。
有元葉子さんのレシピ本を、一体何冊持っていることでしょう。
どの本にも共通しているのが、料理やライフスタイルに対する凛とした姿勢です。
レシピは、使う材料は少なくても、ひとつずつの材料をよりよく調理するためのこだわりがあります。
生け花の「水揚げ」のように青菜を吸水させる、逆に数時間日に干す、鉄のフライパンを使う、などなど。
昨今の「もっと簡単に」「誰が作ってもおいしくできる」が主流となっているレシピ本の中にあって、読者に高いレベルを求めてきます。
レシピの余白から「できますよね、信じてますよ」と、いう有元さんの声が聞こえてくるようです。
その手順を省略し、自分流に低レベルのアレンジをする瞬間の罪悪感。
多少簡略化しても美味しいのですから、レシピ通り作ったら、どれほど美味しいのでしょう。
いつの日か、有元さん通りのレシピを身に付けたいのもです。
さて、今回ご紹介する「玄米 私の楽しみ方 」。
玄米ごはんをベースに、「玄米のとなりにあったら美味しいもの」が、提案されています。
和風の常備菜のほか、ニンニクを利かせたほうれん草のおかず、ラムチョップ、素焼き野菜など、洒落ていて滋味深いレシピの数々。
冒頭に、有元さんお勧めの「カムカム鍋」という、圧力鍋で使う玄米専用の内鍋が紹介されています。
洗った玄米を水加減してカムカム鍋を圧力鍋に入れ、外鍋にも水を注いで、蒸し炊き、のような炊き方をします。
この鍋で炊くと、誰が食べても美味しい玄米が食べられるとのこと。
玄米を食べたいと思いつつ、上手に炊けない悩みを抱えた者にとっては、憧れの鍋です。
うちの圧力鍋で直接炊くと、焦げてしまったり、柔らか過ぎたり安定しないのです。
この本を読んで「カムカム鍋、欲しいなぁ」と、思いました。
でも、うちの圧力鍋は浅いため、一番小さいサイズでも高さが足りません。
かといって、カムカム鍋を使うために圧力鍋を新調するのも、気が引けます。
ならば、カムカム鍋の炊き方を、うちにある道具でできないか?と思いつきました。
おみそ汁を作るために使っている片手鍋。
持ち手をドライバーで外したら、内鍋にピッタリのサイズ感でした。
内鍋に水加減した玄米を入れて、圧力鍋にセット。(玄米と水は同量)
内鍋の半分ほどの高さまで圧力鍋に水を注いで、重りが動いてから1時間弱、弱火で炊いてみました。
こうして、簡易内鍋方式を採用したら、いつも上手に炊き上がるようになりました。
うちでは玄米をわたししか食べないので、3合ずつ炊いて、180〜190gずつジップロックコンテナ5個に分け、冷凍しています。
玄米の安定は、心の安定。
お昼に、玄米ごはんとスープジャー弁当を食べると決め、お昼にそわそわしなくなりました。
有元さん的な玄米の楽しみ方は、まだ遥か遠いものの、自分の身の丈にあった玄米生活を見つけられたかもしれません。