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オランダに見て、来て、経験した、ミライのはたらき方

「Ze is vrij (ゼイ イス フレイ)」

もう20年以上前のことになる。仕事でオランダとかかわりあいになるようになったのは・・・

オランダ人と仕事をするとき、一番、わかりにくオランダ語の文章がこの、「Ze is vrij (ゼイ イス フレイ)」だった。

当時のオランダ人は、英語が話せる人がまだまだ少なく、電話や応対にでたオランダ人の英語はとても、たどたどしかった。

英語から類推すると、「She is free」ということである。つまり、「彼女は自由です」という意味。「Free」という英語は日本人になじみがある。「フリー」というと、日本語としてすっかり定着している。「自由」とか「無料」という意味だ。ただし、用法には気を付けなくてはいけない。

米国で、「Drug-Free」という看板や標識、スローガンやポスターをみたら、「薬物から解放された」。つまり、「薬物禁止」意味である。

「Alcohol-Free」といういうと、「ノン・アルコール」という意味である。

「『Ze is vrij』というのは、『She is available(彼女は応対できる)』という意味ですか?」と私は、念のため、応対にでたオランダ人にきいてみた。

すると、そのオランダ人は、慌てた声で、こう答えた。

「Nee, Nee (ネーネー)Ze is op vakantie(ゼー イス オップ ヴァカンティ)<いいえ。彼女は休暇中です>」

(ああ、やっぱり・・・!)

こうして、最初に覚えた、重要なオランダ語、またはビジネスオランダ語は、この次の2文だ。

「Ze is vrij (ゼイ イス フレイ)<彼女は休みです>」

「Ze is op vakantie(ゼー イス オップ ヴァカンティ)<彼女は休暇中です>」

とにかく、オランダ人はよく休む。有給休暇は通常、25日から30日はあり、病欠は有給扱いで最長2年間ある。

次に、重要ビジネスオランダ語必須単語が、「病欠」だ。

「Zij is ziek(ゼーイスジィーク)<彼女は病欠です>」

法律で2年間の病欠が保障されている。もちろん、有給である。ただし、2日以上の病欠は家庭医の診断書が必要だ。

「家庭医」はオランダのホームドクター制度で、主治医のことだ。オランダ語では「huisart(ハウスアーツ)」という。

もう一つ、重要なビジネスオランダ語で、語学学校では習わないオランダ語が、「Thuiswerk(タウスヴエルク)(自宅勤務、リモートワーク)」である。

「Ze is thuiswerk vandag(ゼー イス タウスヴェルク ホンダーハ)<彼女は、本日、自宅勤務です>

(オランダ人は、よく休むな・・・)

と当時、東京に働いていたときはそう思っていた・・・

毎回、オランダ人と仕事をするときは、正直、私はかなりイラついていた・・・

それから、20年以上がたった・・・

今、私は、オランダで働いている。

このオランダ的働き方を、評価するようになったのは、オランダで働き始めてからだ。

「Thuiswerk(タウスヴエルク)(自宅勤務、リモートワーク)」は、結婚をして、子供をもつ働く女性には、大変合理的な働き方だ。

オランダで働き始めた私は、まず、子供達を保育園に連れて行って、会社にいった。ただ、子供に熱があったり、水疱瘡にかかったときは、自宅勤務を申請することができた。当時は、様々な英語やオランダ語の資料やウエブサイトを日本語に翻訳や、電話で通訳することだった。また、ウエブサイトの日本語版を作成することだった。小さな会社だったので、経理もしていたが、記帳ソフトは、クラウドだった。自宅勤務でも、PCさえあれば、サクサクと記帳することができた。クラウドを通して、社員の共通のフォルダーにアクセスし、書類のチェックや経費の決済を申請したり、承認したり、進捗状況のチェックもできた。勤務時間や出張の記帳、休暇の申請も、人事向けのクラウドに記帳やアップすればよかった。PCと携帯、プリンターやファクシミリがあれば、「Thuiswerk(タウスヴエルク)(自宅勤務、リモートワーク)」は、通勤時間を節約でき、実に効率のいい仕事の形態であった。

東京で働いていた頃は、毎朝・毎晩の東京の満員電車で通勤していた。満員電車は、本当に体に悪い。当時、毎朝、パリッとしたビジネスマンの父親に、小学生の女の子が、恐らく父親であろうそのビジネスマンにしがみつきながら、通勤・通学をしていたのを、みたことがある。25年前は、「イクメン」」という日本語がない時代だった。小さな女の子を連れて、満員電車にのる、あのお父さんは、本当に大変だったと思う。

今、2020年に入って新型ウイルスのニュースが多い。すでに週1の勤務で、ネット動画会議に移行している会社もあるようだ。接客業や医療従事者は、なかなか難しいが、会計や経理、法務サービス、クライアントサービスなど電話やメール、ネットのSNSビデオ会議ですませられる職種であれば、自宅勤務。週に1、2回の出勤というのが日本で定着するのではないだろうか。

20年前以上は、正直、イラつくオランダ人の働き方は、実は、少子高齢化する国に対応可能で、まじめに働く労働者に優しく、また共働き夫婦や、子供が小さい保護者にも、効率よく働けるミライの働き方であった。

日本でも、オランダのように、クラウドやネット、SNS会議を通して効率よく仕事をする、自宅勤務が当たり前になるのだろうか。

北緯52度、9,000キロ離れているオランダから、近いミライの日本のはたらき方をみている・・・そんな気分になった・・・

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