
agariパフェ日記13:もちもち三色団子が入った「イチゴと紅八朔のパフェ」
暦の上では春だけど、暖かかったり寒かったりで気温は安定しない。
でも、agariのパフェにはすでに春が来た。
テーマはひな祭り。そこから派生して、和菓子をイメージした和のパフェになっている。
緑茶や白小豆、グラスの中に忍ばせた小さな三色団子や、クリームの上にかぶせた真っ白な求肥。
苺好きの人、和菓子好きの人だけでなく、私のようなもっちり好きにもたまらない一品。

このビジュアルは何をイメージしたのか
今にも花が咲きそうな、ぷっくり膨らむつぼみのよう。
でも、テーマがひな祭りということは、ぼんぼりのイメージか!
そうと気付いたら、もうぼんぼりにしか見えない。
「わかっているけど一応聞くね」くらいのテンションでジョナさんに確認したら、ぼんぼりじゃなかった!あっさり否定された。
これは、京都の和菓子屋さんで以前販売されていた『初桜』というお菓子をイメージしたという。
つぼみのようなピンクの茶巾に、白い水玉のあられが乗っている様子があまりにも可愛くて、ジョナサンの心を射止めた。

「そうだ 京都、行こう」のブログより
これを模して、パフェのクリーム部分にも白い水玉がついている。
見えにくいかもしれないけど、味は後からしっかり効いてきますよ。
心にひな祭りの歌を流しつつ、早速食べていきましょう!
今までで一番の苺大福
グラス平面には、花びらのように並ぶ薄切りの苺。
その上には、オーツミルクと自家製苺ジャムで作ったアイス。そのアイスをキレイに覆っているのが、苺生クリーム。
クリームの上には、雪が降り積もったみたいな真っ白な求肥。
求肥の上には紅八朔ピールと苺生クリームが乗り、その上に丸っとした苺が鎮座する。
さぁ、ここで大事なポイント。
いつもの私なら、最初にトップの苺を取って食べる。
「まずは素材の味を楽しもう」とか言って。
いや、実のところ、今回もトップの苺を真っ先に食べてしまった。

でも、一番のおすすめは、トップの苺を求肥で包んでいただく。
これがもう最高!!最上級の苺大福。
求肥のもっちり感に包まれたジューシーな苺。苺から溢れる甘酸っぱさ、苺生クリームのあまいコク、遅れてやってくる紅八朔ピールのほろ苦さ。このバランスが完璧すぎる。
あんこ入りの王道ではないものの、今まで食べた苺大福カテゴリーの中で一番おいしいと言って過言ではない。少なくとも私はとてもとても好みだった。
とはいえ、私はトップの苺を食べちゃったから、薄切り苺を引き抜いて代用したんだけど。
それでも十分美味しいから、丸々苺の食感を感じられたらもっと美味しい。間違いない。

”苺のヘタを取ってから、求肥で包む”
皆さんには是非、この正攻法で至福の苺大福を楽しんでいただきたい。
この苺生クリームを食べずして春は感じられない
生クリームはフレッシュ苺から作ったジャムがたっぷり入っている。甘さと酸味とコクが相まって、これだけでスイーツとして成り立つ美味しさ。
ここに、ホワイトチョコでできた水玉と緑色のタイムが飾られている。このホワイトチョコが、ジョナサンの心を射止めた水玉あられ。
パッと見は目立たないけれど、食べたときの存在感たるや。しっかりと深い甘みを放つ。これが、タイムの苦味や渋みと良い対比になって、波のように味の変化をもたらしてくれる。

この中に隠れているのが、苺と紅八朔ピールとオーツミルクのアイス。甘酸っぱさの後からほろ苦さが追いかけてくる。かわいい見た目なのに大人っぽさも合わせ持つあの子、的な。
さっぱりしているので、生クリームやフレッシュな苺ともピッタリ。
その下には白小豆。上品な甘さながら少し舌に残る食感が独特で、存在感がすごい。
白小豆の地に足をつけた安定感のおかげで、パフェの和風感がぐっと強まる。やっぱり小豆は日本におけるお菓子文化の立役者だと感じざるを得ない。

と、ここで現れるのが苺や紅八朔。甘さの中から姿を見せるフレッシュなフルーツが口の中を爽やかにしてくれる。
村田農園さんの苺は、今年も甘みと酸味のバランスが素晴らしくよい。単体でも最高の美味しさ。紅八朔は山椒でマリネされている。八朔の甘酸っぱさからふわっと香るピリリ山椒。この発想がすごい。ほんと天才。
ここのゾーン、春の喜びがすべて詰まっている。
もちもちなアナタはだぁれ
お団子はどこかなぁ、どの色から食べようかなぁと探す。
白はプレーン、緑は緑茶、ピンクは苺の味。
お水の代わりに絹ごし豆腐で作られているので、滑らかでもっちり。
パフェを食べながら三色団子を探すのが、宝探しみたいで嬉しい。

このお団子は生クリームと合わせようかな、やっぱりアイスかな。いや、小豆かな。
お団子とパーツの組み合わせを考えるのも楽しい。
さらに緑茶のケーキ。パフェのパーツとして食べても、その香り高い茶葉を感じるほど、ほろ苦さが心地よい。
と、ここで、何者かが口の中に登場する。三色団子を食べたつもりはないのに、口の中にもっちりと幸せをもたらしてくる。
なんなの?アナタは誰なの?頭が混乱する。
なんとなんと、求肥を小さく切ったものが、ところどころに忍ばされていた。
思わぬサプライズすぎる!アイスを食べたつもりなのにもちもちして、生クリームをすくったつもりなのにもちもちして、緑茶ケーキを口にしたつもりがまたもちもちが付いてくる。
でも会いたいときには出会えない。

あぁ、前もこんなことあったなぁ。
アメリパフェのローストチェリーや、金柑パフェの生チョコだっけか。
もう一回食べたい!と思うのに会えなくて、会えない!と思うと口に飛び込んでくる。
でも、こういうプチドッキリは最高。口にしたものが想像を超えていたときの幸せホルモンは格別なのだ。
最後はお茶の風味でしっぽりと
そんな余韻に浸っていると、カリカリガリガリのクランブルが食感と香りで目を覚ましてくれる。
さて、このクランブルの正式名称言いますよ。
白みそカシューナッツ
オーツクランブルグラノーラ
緑茶山椒チョコがけ
長いね、すごいね。
もう、しつこいぐらい言っていますけどね。単品売りしても十分なクオリティ。塩っぱさと香ばしさとピリッと感と甘みがぐっと詰まっている。

底には、さっぱりと香ばしい釜炒り茶のゼリー。奥底から最後の砦のように登場する紅八朔ピールのほろ苦い甘みが、このゼリーを、このパフェを極上にする。
日本人の身体は、お茶で落ち着くようになっているんだなぁ。
このパフェに込めた想い
一説によると、三色団子の色にはこんな意味合いがあるらしい。
ピンクは桜の「春」、白は雪の「冬」、緑は新緑の「夏」。
秋がないのは、「飽きない味」で食べ続けてもらえるように。
三色団子をパフェに入れたのは、これからも食べ飽きないパフェ作りに励みたい、との気持ちが込められている。
日本には、色や形を通じて平和な世界になるように願いを込めた食べ物がたくさんある。ジョナさんは、その気持ちを伝えつないでいきたくてパフェを作っている。
だとしたら、私たち食べる側にできることは、それをおいしくいただいて、心に宿った小さな幸せのカケラを大切にすること。それを周りの人にお裾分けすること。
そうして”美味しい”が循環していけば、少しずつ光が増えて世界は明るくなっていくのだろう。
皆の心に灯りをともしてくれるパフェ。
やっぱりこのパフェは、ぼんぼりの役割も果たしている気がする!

[Photo : Masayuki Nakano]
パフェバーagari
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土日祝 11:00-18:00 (L.O 17:00)
水木定休(時々不定休あり)
予約推奨、営業日時の詳細はinstagramにて
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*イチゴと紅八朔のパフェ*
提供期間:2025/2/21-3/25