まあお訳古今集 恋はいちごを添えて参
こんにちは、わりとしぶとい自称作家の あまおう まあお です!
古今集の意訳=いちご訳シリーズ、第参弾ですね。第壱弾と第弐弾はこれね。
いや、ほんとにこれ、人気あるんだかないんだか私も知らないんですけど、一部の方には需要があるらしいので、まあ、とりあえず出してみますね。
そろそろ読書期に戻れるので一度休載してもいいし、特に反響もないから苦情も来なそうなんですが、どうしたもんかなー。
そんな雑なテンションでやっていますが、意訳はちゃんと考えてやっていますよ……!
たしか今回はこの歌からでしたね。今回はすっごい歌が、入っています。みなさんも是非軽率に恋しちゃってくださいね☆
恋歌一
吉野河いはきりとほし行く水の 音には立てじ 恋ひは死ぬとも
吉野河は岩を切り裂いてごうごうと流れている。誰はばかることもなく。僕はそんなことはしないんだ。たとえこの想いで我が身が切り裂けようとも。
#いちご訳
どうした! なんという思い詰め方! こんなん貰ったら割と引いてしまいますが、文学的にはたいへん優れているのが難しいところです。上の岩を「きりとほす」イメージは恋に苦しむ胸の内と重ねていると思いますので、訳出しときました!
#理由を教えてください理由を
恋歌一
たぎつ瀬のなかにも淀はありてふを などわが恋の淵瀬ともなき
激しい水の流れもよく見れば「よどみ」があると言います。さて僕の恋ですが、よどみも早瀬もなくただ一直線、あなたに向かって落ちるばかりなのは、なぜ。
#いちご訳
! めっちゃ好みです。このひと、好き! くらくらしますね、この技巧の冷静さと内容の狂気のギャップ! これは絶対イケメンだ。美しいィー! 掛詞ではなく縁語でまとめ上げました。「など」と「よど」の韻も効いています。あゝエロい!
#せめてお名前だけでも
恋歌一
山高み下ゆく水の したにのみなかれてこひん 恋ひは死ぬとも
高い山の下にも地下水がひそやかに流れる。遠く手の届かないあなたに気づかれることもなく流れ続ける僕の涙みたいだ。ああ恋しくて僕はもう……。
#いちご訳
「なかれて」ですね。流れて、泣かれて。これは素直に身分違いの恋でいいと思います! なんか、分かるなあ~。脈なんかなくても恋ってしちゃうものなんですねえ。共感するなあ~。恋はいつの世も理不尽なんです。ため息……。
#恋するいちごちゃん
恋歌一
思ひいづるときはの山のいはつゝじ 言はねばこそあれ 恋しきものを
常磐山の岩つつじのように、僕も「言わ」ないのです。黙っていてもふとした時にあなたを思い出して、そして、恋しています。
#いちご訳
かわいい歌ですね! 技巧優先とか言う方もいるようですが、確かに「ときは」「いは」の掛詞は目立ちますが、岩つつじのような女性を思っているんじゃないですかね。それを遠くから黙って見ている僕。奥ゆかしくてかわいい感じがしますよ。
#恋してるから全部名歌に見える
恋歌一
人しれず思へばくるし 紅のすゑつむ花の 色にいでなん
あなたはこの思いに気づかない。僕はもう苦しくて耐えられそうにないのです。紅花のように色鮮やかに顔に出してしまいましょうか。
#いちご訳
すゑつむ花は紅花のことだそうです。へえ! 「いでなむ」は「出しましょう」程度の意味なんですが、相手に贈った歌と解釈してちょっと脅してみました。意味的にはそういうことなんでしょう。
いちいち警告するあたりかわいいですね!
#気にせず出し給へ
恋歌一
秋の野の尾花にまじりさく花の 色にやこひん あふよしをなみ
ススキばかりが栄えている秋の野原にぱっと目に止まる鮮やかな花の色。僕も見習ってみようと思います。そうでもしないと僕はあなたに会っていただくすべもないのです。
#いちご訳
この人、変わってる! ええとこのボンなんでしょうか。素直で前向きで明るいのに、他の皆々様を「尾花」僕を「花」と言っている。序詞に字数を取られすぎて最後がやたら詰まって感じるのも、面白い。たぶんこの方、ちょっと変ですね? そうでもない?
#気になるので返歌はしたい
恋歌一
わがそのの梅のほつえに鶯の ねになきぬべき恋もするかな
僕の庭にも春がきましたよ。梅の高い枝にのぼって鶯が声のかぎり、恋を泣き叫んでおります。まるで僕みたいですね。
#いちご訳
ほつえ、は上の方の枝です。これを訳していて鶯の悲鳴が、と書いてしまったので、私もとうとう極まったなあと思って昨日は急遽オフにしました。心境によっておだやかにも、悲痛にも解釈できる歌。さて、あなたは?
#みんな恋してる
恋歌一
あしひきの山郭公 わがごとや 君に恋ひつゝいねがてにする
こんな時間にホトトギスが鳴いている。お前も僕と同じなのかな。あのひとのことばかり考えて、眠れないんだ……。
#いちご訳
かわいい! ホトトギスも詠み手もかわいくてあらせられますね! ホトトギスは夜も鳴くそうです。いねがてにす、は「寝ぬ」「かつ」打ち消し連用「に」サ変「す」なんだそうですが、難しいので「いねがてにす」で覚えた方がよさそうですね。
#眠れないほど
恋歌一
夏なれば宿にふすぶる蚊遣火の いつまでわが身したもえをせん
夏になるといつも家の中がとろとろ燃える蚊取り線香に燻されてしまうの。ねえ、わたし、いつまで黙って燃えていればいいのかしらね。
#いちご訳
えろい……! 凄まじい色気を感じたので、女性とみました。宿は自宅だと思いますので、来ないひとを待っている歌なんでしょう。陰気な色気、ぞくぞくしますね!
ふすぶる。したもえ。
こんなの貰ってしまったら、そりゃあふらっと行ってしまいますよ!
#飛んで火に入る夏の虫
恋歌一
恋せじと御手洗河にせしみそぎ 神はうけずぞなりにけらしも
こんな恋は許されない。それで御手洗河にみそぎをしに来たわけだが、見ろ、俺の恋はまだ死んでいないぞ。神はどうやら、俺たちの願いを聞き入れなかったとみえる。
#いちご訳
伊勢でみた! これ、伊勢でみた! 六十五段ですね。私の本だと「神はうけずもなりにけるかな」でした。その方が業平様っぽいですね。個人的にはこちらの「けらし」の方が語感は好きです。業平様の作ではなさそうですが、伊勢らしい歌。伊勢の業平様ほんといいんですよ!
#どうにもとまらない
恋歌一
あはれてふ言だになくは 何をかは恋のみだれの束ね緒にせん
あはれという言葉さえなくなってしまったら、僕はどうやってこの心を落ち着かせたらいいのか分かりません。あなたを思って乱れ乱れるこの思い……ああ、あはれ。
#いちご訳
残念なお知らせですが、あはれという言葉は廃れました! というわけで、あなたはその三文字で済んだところが、私は何千字、何万字を費やすことになったのです。
あはれてふ言もなければ 幾万の言の葉重ねて 恋を束ねむ
#お粗末様でございます
今回はなかなか名歌揃いですね。特にこの中でも「たぎつ瀬の」には本当にやられてしまって、下手な返歌を作ってしばらく恋するいちごちゃん状態でした。
一時はどうなることかと危ぶまれましたが、まあ今は無事です。
みなさんも、お好みの歌人は見つかりましたか? 是非是非、勝手に和歌など贈って恋してみてくださいね☆ 私は「たぎつ瀬の」君に十首以上詠みましたよ……!
そんなどこまで正気か分からない自称作家。まだまだツイッターでもフォロワー様大募集中。副業のことしか言わない方とどこからどう見てもエロ系の方以外は軒並みフォローバック!
ついでに、十月入ってすぐ新作の長編出す予定ですが、それまではなんとなくコレ置いておきますね。
私は謎の和歌の人ではないのです。あくまでも作家のつもりなんですがー!! というわけでよろしくお願いしましたよ……☆
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