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喫茶店で読書|エッセイ(全文無料)

 2025年1月上旬
 久しぶりに喫茶店でゆったり読書した。

 正月休み、まだまだぐうたらが続いていたある日のこと。ふと思い立って、読みたい文庫本を1冊、目が合った万年筆を1本、気に入りのノートを1冊持って喫茶店へ行ってみた。
 腹が減っていたというのもあったが、喫茶店でおいしいコーヒーをいれてもらって、本を読むのも悪くないと思ったからだった。
 ちなみに万年筆とノートを持ったのは、いついかなる時も何か思いついたら書き留めておこうという意気込みのあらわれである。

 さて入店し、少し迷って、クラブハウスサンドイッチとアイスコーヒーのセットを頼んだ。焼いたサンドイッチは久しぶりだ。わくわくしながら、文庫本を開いて、待った。
 この日は寝坊も寝坊、大寝坊で午後3時、初めてのめしとなるサンドイッチをほおばる。うまい、うまい、アイスコーヒーもうまい。
 一食分の量としてはやや控えめだが、年末年始の暴飲暴食、とりわけ暴飲で弱った胃にはちょうどよかった。

 持った文庫本はもともと好きだった作家の短編集である。一方で、これまで関心を持ってこなかった人の作品も読もうと思って、去年、数冊仕入れた。仕入れただけでまだ読めていないが、今年はそれを読む楽しみもある。と、手もとの本を上の空にしながら、別の本のことを考えたりもした。

 この日の席は、ちょっと陰に隠れたような席で、ひっそりとした気分を楽しむことができた。次に来るときもこんな席だといいな。

 この正月は、ミュージカル映画のDVDをよく見た。たとえば昨年末、オスカーハマースタイン2世の名を、あるミュージカルナンバーの歌詞をきっかけとして知った。ブロードウェイミュージカルの基礎を作った偉大な劇作家であるとのこと。ちょっと調べたらそのように出てきた。その映画化された『ショウボート』のDVDを見て、大泣きした。特にアイリーンダンと父親との劇場における再会シーンとか、あとはまあ、ラストとか。
 歌も、歌詞の一つ一つにとにかく感心しながら夢中で聞いた。いつの日か、少しでもいい、ハマースタイン2世に近づけるといいな。あんな作詞や作劇が、できたらいいなあ…

 もうすぐ正月休みも終わってしまう。

 コーヒーお替りください。

 ところで、万年筆とノートの出番はなかった。メモの準備を万端整えたところで、都合よくアイディアなど浮かぶわけがない。それでも何か書き留めることがあればと思ったが、この日はなんにもなかった。ただ好きな万年筆を持って、ともに出かけたというだけ。

 短編を2編ほど読んだ。

 たまにはこうして過ごすのも悪くないと思った。


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