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おばあちゃんのおひざもと 祝100歳
おばあちゃん、100歳のお誕生日、心からおめでとうございます。
アメリカのロサンゼルスから太平洋を越えて千葉の曽呂へ 漁師の家庭から山寺一人住職の嫁に 大家族から核家族へ
20代前半の若き女性にとって、このあまりにも大きなギャップは、日本へ到着当初、どれほどの戸惑いと困難をもたらしたことか、想像に難くありません。今こうしておばあちゃんから聞いた、たくさんのお話を記憶を辿りながらしたためて見て、改めて深く感動しました。いつも一生懸命頑張って、忍耐、孤独、不安、そんな苦労をたくさん経て、昔はねえ、とあっけらかんと語ってくれたおばあちゃん。今100歳になって穏やかな日々をベッドで過ごしている姿に神々しさを覚えます。多くの波乱に振り回されながらも、辛抱し、できる限りを尽くし、必死で通過してきて、そうして今年見事に100歳を迎えたんですね。偉業だと思います。
私がおばあちゃんの口から直接聞いたこのお話は、単なるおばあちゃんの思い出話ではありません。測り知れない人生の教えを含んでいます。それを忘れたくなくて、一冊の本にしました。枕元に送るね。
おばあちゃんの柔らかくてあったかいお膝に座って感じた気持ち良さ。お世話してもらっている時の安心感。お布団を並べて隣で眠る幸せ感。肩たたきや指圧マッサージをする度に、「ああ、いい気持ちだ」って言うあの表情。毎日疲れてたんだよね。テキパキと台所を切り盛りして、いつもおいしい手料理がテーブルに並ぶあの魅力。毎日の新聞と分厚い新刊本を次々と読破していく飽くなき知的パワー。一人で黙々と裏で鎌を砥石でキュッキュと研いでから、草を刈って畑仕事に精を出す姿。「いただきます」と目を閉じて両手を合わせる美しい合掌。
私はずっとおばあちゃんを見て育ってきました。おばあちゃんに育てられた私たち家族は本当に幸せです。
おばあちゃん、本当に立派に生きたね。真に尊い姿を間近で見せて頂きました。 深く感謝しています。
一世紀を丸々生きたおばあちゃん。家族の一員として、心からその全人生を祝福させて下さい。
100歳、万歳!
九拝
孫娘 天野瀬捺
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かるた小説 ーおばあちゃんのおひざもとー
大正3年、1914年にアメリカに生を受け、22歳までに3度も船で太平洋を横断し日本とアメリカを行き来したおばあちゃん。ロサンゼルスの大都会…
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