本気で関係人口増やす気あるの?~地域公共交通のインターフェースに思うこと
僕がさまざまな地域を体験し、なおかつ当地や近隣地の地域活性(主にビジネスや学びの関係人口増)に取り組んでいる上で最近「おやっ」と思ったことを率直に綴ります。
上記(および以下)の画像を見てください。旧型の路線バスと、新型の路線バスの行先表示の比較です。僕は、最近のこの変化をみて「おやっ」「うむむ」と思いました。
新型はフルカラーLED(LCD?)搭載、カラフルで視認性が大幅に改善されている……と思いきや、日本語(漢字)しか表示されていない!
(アニメーションして、日本語と英語が交互に表示される訳ではありません。ちなみに)
これ運営会社の人も、地域住民の皆さんも違和感を覚えなかったのでしょうか?
(僕(地域の経営者です)は見た瞬間、違和感ありまくりでした)
見たところ、英語表示を入れるスペースがないわけではありません。むしろ、下部の妙に空いている空間が気になるくらいです。
表示機器の仕様による制約かと思いきや、そうでもなさそうです。
以下は、東京・横浜・豊橋など他都市を走る最新(おそらく)の路線バスの画像です。
いずれもキチンと英語併記されていますね。おそらくデフォルトで(あるいは設定変更で)で英語併記できるのではないでしょうか?
なのにこの事業者は、最新型のクルマなのになぜわざわざデグレードさせたのでしょうか?
いまどき、公共交通機関や公共施設の表記に日本語しか書いていないってユニバーサルデザインの観点でもどうなのでしょう……
事業者や地域行政が、意図的に外国籍の方やインバウンド客の利用を促進したくないと思っているならば話は別です(ブレない姿勢を尊敬します)。
とはいえ、漢字オンリーの表記は、日本国内の利用者にとっても不親切に感じます。読み方が分からない!
当地はわりと難読地名が多いのです。他都市から来た観光客やビジネス客が読めずに難儀するシーンも多々見ています(僕も体感しています)。
せっかくの良いスポットも、結構誤読されまくっていますよ。
英字が併記されていれば、初心者や一見さんも正しく地名を読むことが出来ますね。
また、難読なインターフェースは偶然のお客さんとの出会いも阻害します。
僕もそうなのですが海外出張や海外旅行中に、町でなんとなく見かけた標識やバスの行先など(の英語表記)でその土地に興味を持ち、調べ、そして訪れることがあります。
旅慣れた人なら(インバウンド客、国内旅行客問わず)、同じような行動をとる人は少なくないでしょう。
「この先に、公園があるんだ!気になるな」
「えっ、お城とミュージアムがあるの?」
「この地名、聞いたことがある!行ってみようかしら」
このように。
出張で当地を訪れたビジネス客が、次回は(または翌日に)観光客の顔でその地を訪れる。観光客が予定を変更して、その地に行く。そんなきっかけにも十分なり得ます。
ましてや路線バスは駅前や町中を縦横無尽に走っていますから、他都市の人たちが車体に表示された地名を見るチャンスも多い。こんな良い広告手段はないのです。
なのに行先表示をわざわざ日本語オンリー、漢字オンリーに戻すのは、なんとも理解しがたいのです。
そもそも読めなかったり、読み方が分からない土地に、誰が興味関心を持つでしょうか? 訪れる動機づけが行われるでしょうか?
いや、地域交通を地域住民以外になるべく使って欲しくないなら話は別ですよ。でも、関係人口を増やしたい、利用者を増やしたいのであれば言っていることとやっていることがちぐはぐですよね。
加えて、いまどき公共交通機関の表示がデカデカと日本語だけって、正直恥ずかしいと言いますか、知的レベル低そうな地域に見えて正直悲しいです。
(そのような地域の運営事業者や観光事業者は、幹部や社員にサービスデザイン教育、行動デザイン教育のような人材育成に投資していないのかしら……)
(地域の経営者や関係人口増やしたい皆さんももっと声あげませんか?)
当地は国内外の観光客だけではなく、他都市からのビジネスエグゼクティブをはじめとする出張者や学習に訪れる人も確実に増えています。
僕(たち)も当地の企業経営者として、地域の仲間たちとともにビジネスや学習やワーケーションで訪れる人を頑張って増やしています。
その際、出来る限り地域の観光スポットなどもご案内するようにしていますが、特段アテンドや案内をしなくても前後の時間でゲストが自力で行動し、地域に少しでも多くの時間とお金を落としていただけるよう動線を組んで欲しい、都市デザインして欲しい。地域の交通事業者や行政にはそれを大いに期待します。
また、地域の自分たちだけでやろうとせずに、なるべく他都市からの訪問者や移住者など当事者に話を聞いた方が良いと思います(まさに越境思考)。
なぜなら地域ネイティブの人たちは往々にして……
・地元愛が強すぎて慣れた不便に気づかない
・そもそも自都市への訪問者体験や、訪問者をアテンドする体験がない
ことがあるからです。
デザイナーさんやクリエイターさんなど、行動設計や動線設計に長けたプロに入ってもらうのもありでしょう。
ほかにも、高くても良いからビジネスエグゼクティブ向けの高付加価値の移動手段やラウンジ、ワークスペースなどを提供して欲しい(カフェなど一般観光客の雑踏と混在ではほんとうに申し訳なくてですね……)。そしてそのような高収益サービスで得た収益を原資に、地域交通に関わる人たちの待遇を改善したり育成に投資して、より良いサービスおよび訪問者への良い地域体験を提供できるようにして欲しいなど、言いたいことはたくさんありますが、今回はこの辺で。
引き続き、僕たちは当地により多くのビジネスや学びの訪問者が訪れ、地域のファンになっていただくよう尽力します。