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農業が教えてくれること

私の実家は100年続いてきた農家

時代とともにその農業という生業も変化をして
事業承継や
高齢化
少子化などが影響して
農業に携わる人たちがどんどん減っていっている

私の実家もそんな問題を抱えながら
なんとか地域のつながりや
いろんな方の手助けで続けることができている

実家の農業の経営の立て直しに

協力できないかと
私に出来ることはなんだろうと考えた

体力のない私が一人増えたところで
人手不足は解消しない

そんな時感じたのは
作業療法士として
社会的に障害を持っていると言われている人たちの
可能性や出来ること

認知症で常に妄想に支配され

日中夜逆転し
不穏状態の方が

草引きは黙々と続け
作業中は笑顔を見せてくれる

アルコール依存症で
家族にも見放され
一人になってしまい
他者とのトラブルも絶えない

でも野菜や花を育てることを楽しみ
いろんな人に喜ばれるからと

土に触れ続ける人

自然の中の営みは
時に災害により
思うようにいかないことも多い

草引きだって抜いても抜いても
また生えてくる

そんな自然にとったら当たり前のことに
人間は翻弄される

だからこそ
人間のやろうとすることなんて
自然には敵わなくて

身をまかし
その恩恵を受けることにありがたさを感じる

人間は完全じゃないと手をあげた途端に
自然に身をまかすことができて

素直にその恩恵を受け取れるんじゃないかと思う

中途半端にいろんなことができてしまうと
さも自分のおかげで何もかもが成り立っている錯覚に陥る

障害を持って初めて
自分ではどうしようもないできないことを認め
人にも自然にも身を任せることができる

見た目の健康はあくまで
見た目であって

本質的な健康や豊かさは

自分の力ではどうしようもないことを知って
初めて感じることができるような気がする

生きづらさを抱える人たちは

藁をもつかむ状態であるがゆえに
それを素直に受け取り

自然の中に身を任せた時

本当に穏やかな表情を見せてくれる

一緒に汗をかき
泥だらけになり
なんでもない挨拶を交わす

そんな当たり前の
人としての関わりをさせてくれる仕事

そんなことを農業という仕事は教えてくれる

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