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[小説] ぼくの作品紹介
今回は、過去に書いた小説を5つ紹介したいと思います。小説の冒頭の文章も載せているので、面白そうだと思った作品があれば、ぜひ読んでみてください。
1. 『かくれんぼ』
最近書いた短編小説です。小学3年生の主人公”僕”がかくれんぼを通して成長する物語です。10分くらいで読めると思います。
音が聞こえなくなってから、どれくらい経つだろう。
遠くの方から聞こえた「みーつけた」の声も、今は聞こえなくなった。辺りはしんとしていた。それが余計に僕を混乱させた。
ドク・ドク・ドク。
心臓の鼓動は、やたらと大きく鳴っていた。胸に手を当てると、ますますそのテンポは速くなる。
ドクッ・ドクッ・ドクッ。
周囲はまっ暗だった。
まるで暗闇は、この世の全ての光を吸収したかのように、僕を包み込んでいた。目は開いているに、目を閉じているような錯覚さえおぼえた。
試しに目を閉じてみる。
けれども、世界は何ひとつ変わらなかった。一点の明かりのない暗闇が、僕の身体からだを包み込むのを抵抗するので精一杯だった。
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2. 『ありがとうカフェ』
町にひっそりとたたずむ不思議なカフェのお話です。10分くらいで読めると思います。時間がある時に、ゆっくり読んでみてください。できれば、コーヒーを片手に。
ある日の夕方、近所を散歩していると、見慣れないお店を見つけた。そこは、赤いレンガ造りの高級店のような店構えをしていた。窓を覗いても、薄暗くて中の様子がほとんど見えない。看板には、「ありがとうカフェ」とだけ書かれている。僕は、その店の重たいドアを押した。
中に入ると、僕の想像はあっという間に裏切られた。店の外観とは対照的に、少し古びた内装をしていた。カフェというよりは昔ながらの喫茶店のようなアットホームな雰囲気がそこには漂っていた。
客は2、3人が点々といるだけで、店内に流れるジャズの音源がやたらと大きく聞こえた。新鮮なコーヒーの香りが店内を包みこみ、僕は匂いにつられた小動物のように匂いの住処すみかへと近づいていく。気づいた頃には、僕はカウンターに座っていた。
不思議なことに、あたりを見渡しても、店員らしき人の姿はなかった。僕は、机の上に置かれたメニューを手に取ると、背後から「チリーン」という音がした。店のドアベルの音だ。どうやらお客さんがひとり帰ったらしい。
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3. 『仮面』
ある国では、国民がみな仮面をつけることが義務付けられていた。そんな特殊な世界のお話です。主人公のM氏にまるでドラマのような大きな出来事が起こります。その出来事とは!?
5分くらいで読めると思います。
人の素顔を見ることはできないのか。仮面の奥には何が見えるのか。私は、時々考えてしまう。そんなとき、むかし母から聞いた話を思い出す。
「お母さんが若かった頃はね、仮面なんて付けてなかったの。ちゃんと顔を見てお話ができたわ」
「仮面を外すと、みんな顔は違うの?」
私は夢中になって話をつづけた。
「みんな顔は違うわ。それでも、化粧をしないといけなかったの。だから、見た目で人を判断するのは、今も昔も変わらないのよ」
この国では、仮面を付けることが義務付けられていた。学校へ行く時も、会社へ行く時も、買い物へ行く時でさえ、みんな仮面を付けていた。家族以外の素顔を見ることはなかった。
どんな種類の仮面を付けても問題はなかった。ファッションが好きな人はおしゃれな仮面を付けるし、アニメが好きな人はキャラクターの絵が描かれた仮面を好んでいた。なかには、奇抜な仮面を選ぶ人もいた。
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4. 『猛獣と通勤電車』
ある日、イベント制作会社で働いている主人公の"僕"は、目を覚ますと牢屋に閉じ込められていました。いったいそこは、何なのか!?
3分くらいで読めると思います。
通勤電車。そこは、いつも満員できゅうくつな場所だ。片手でつり革を握り、左右の足で重心を交互に切り替える。聞きなれたアナウンスや窓から広がるあの光景。日常のありふれたひと時だったが、もうないと思おうとどこかさびしい。
あの牢屋に入るまでは、毎日電車で通勤していた。だから、電車を降りると、いつもの駅があり、いつもの道があった。僕は、いつもここを通って会社へと足を運ぶ。そこには親しい同僚がいて、怒りっぽい上司がいた。楽しいこともあり、つらいこともあった。でも、今思えばそれも悪くはない。
僕は、目を覚ますと牢屋の中にいた。そこは、灰色のコンクリートの地面で、せまい部屋だった。3月と4月のはざまの春風が背中に吹きつけていた。スースーとすきま風が聞こえてくる。あたりはまだ暗い。自分だけがぽつんとそこにいた。孤独だ。しかしそれ以上に、頭が追いつかなかった。
「これは夢だろうか?」
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5. 『白紙の小説』
1分で読める小説です。僕は勝手に「ミニ小説」と呼んでいます。短いので、手軽に読めます。
わたしが初めて白紙の小説を見たとき、びっくりして言葉も出ませんでした。だって、あまりにも可笑おかしいんですもの。
少女はそう話すと、おじいさんの方へ顔を向けた。おじいさんは、「まぁ、それはびっくりですね。世の中はお嬢様が思っているよりずっと広いですから、そんな本があっても不思議じゃありません」と言った。
「でもね」
少女はつづけた。
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雨宮 大和です。最後まで文章を読んでくださり、ありがとうございます。まだ読んでいない作品があれば、ぜひ読んでみてください。
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