心が震える
先日、パリのオルセー美術館で開催されている「Paris 1874」を観に行ってきました。
印象派生誕150年を記念した展覧会です。
7時少し前出発のTGVに乗り込み、しばらくの後、「車両の不具合により、高速運転ができないため、パリへの到着が一時間半遅れる」とのアナウンス。9時前に到着するはずが、10時20分着に変更された。
事前購入しておいた美術館のチケットの予約入館時間は10:00。間に合わないね。
チケットには、「予約日時に来館できない場合は、失効」と明記されてあり、目の前が暗くなった。
でも、悪あがきはしてみようと、巡回してきた車掌さんに、遅延証明書のようなものをお願いした。
駅に着き、乗り換えのためだろう、走り出した乗客達をよそに、「5分10分早く着いたところで、状況は変わらないだろう」と、急ぐことなく、目的地に向かった。
オルセー美術館に到着したのは10時40分ほど。「チケットあり」の列には10人ほど並んでいた。係の人にチケット&証明書を提示し、説明したものの、証明書をチラッと見ただけで、「あー、いいよ、いいよ、入って」と素っ気ない返事。
「フランス人がゆるい人たちでよかったー」
前述が長引いたが、展覧会自体は、それは感動するものだった。
「心が震える」とは、こう言うものなのだと、体感した次第。
私は、絵画鑑賞が好きと言っても、偏りはあるし、詳しくもない。
それでも、150年前に描かれた絵画が自分の目の前にあることを奇跡と感じ、それを現した画家達が実在したのだと、当たり前のことに喜びを感じた。
印象派の名の由来となった、モネの「印象 日の出」(最初の写真)を観たのは二回目。
「また会えたね」と呟いた。「私はたった2回しか観ていないけれど、あなたは、これまでにどれだけ多くの人達に観てもらったの?」と心の中で問いかけた。
たっぷりと絵画の世界に浸れた、幸せな時間だった。会場を離れた後も、しばらくふわふわとしていた私を待っていたのは、帰りのTGVの遅延の知らせ。がっくり。現実に引き戻された瞬間。
家に戻った今は、展覧会の余韻に浸りつつ、家事をこなす。
また絵画や画家たちの息吹を感じたいなぁと思いながら・・・。