
スクラップするより築き上げる方が「格上」と思い込んでいた
あちこちで起こっている、ビルドアンドビルド(build and build)
支援の現場はたいていどこでも、人と人、人と組織とがつながり、その中で仕事をしている。
そして、どこも忙しい。そしてどんどん忙しくなる。
マンパワー不足はある。
でもそれだけでない気がする。なんでだろう??
先日、多忙を極める現場の人がひとり、ふいに口にした。
〝ビルドアンドビルドなんですよねえ。〟
ビルドアンドビルド(build and build)。作って作る。建ててさらに建てる。
古くなったものを新しいものに置き換えるとき、スクラップアンドビルド(scrap and build )という言い方をする。
それが、ビルドアンドビルドとなると、スクラップ、つまり細かく解体することなしに、ひたすら作りつづけるということになる。
なるほど。確かにそうかもしれない。
あそこではこうやってる。こちらではこんな取り組みをしている。
それがかつてなら隣町や同じ県内での話しが、いまや全国の小さな取り組みがあっという間に知れ渡る。
うちでもやってみたほうがいい、と取り入れようという動きにつながる。
それがいまやさらに世界中から、〝よさそう〟なものやノウハウが輸入される。
でも…
何か新たなものを取り入れるとき、それまであったもの、取り組んでいたものはどうなる??
誰しもキャパシティというものがある。
だから、何か新しいことを取り入れたいなら、それまでの中からその分減らさなくては。きちんと取捨選択しなくてはならない、
そのためには一旦外に出して、机の上に並べて、スクラップする作業も必要。
なのに、あれもこれもと新たなものを取り入れる。そしてやるべきことが増える。確かにやった感は味わいやすいかもしれないが…。
世の中は、取り入れれば今の状況がよくなりそうな魅力的なもので溢れに溢れているのだ。
私の生活もビルドビルドになっていた
翻って自分事。
色んなことをきちんとそのつどスクラップアンドビルド、つまり取捨選択出来てないというのは、私の毎日のほんのささいなことの中にもあるように思う。
恵まれていることに、ひとたびネットでググれば、YouTubeをみれば、その道に長けた人がよいアドバイスやお役立ち情報をくれる。
たった○分!簡単!
怠け者の私は、〝たった○分〟に弱い(笑)。
例えば…
私はここしばらく体を動かすことはできていないけれど、その前は、少し痩せなくちゃ、と思うたび、〝たった○分〟系の動画を見つけてチャレンジしていた。
そこそこ続くから、結果も出るのだけど、だんだん欲が出て、その次のステップとして〝たった○分〟を増やしてやるうちに、やることがビルドアンドビルド。
つまり、どんどん積み重なって、何かのきっかけで全部がダメになる。
そんなパターンがたまにあった。
積み重ねて、積み重ねて…どれも良さそうでやるけれど、そのうちたくさんあったはずのスキマ時間なんてなくなって、次第に息切れしてきて、いつのまにか全てスクラップされてしまうのだ。
数分のエクササイズですらそんな状況だった…
他のことに関しても、あれこれやって、自然淘汰されて残っていくものもあるが、始めたからなんとなくそのまま続けていることもある。
人は流れのままにしていると、なんでも蓄えて、増やしていって、バブル化する傾向にあるのかもしれない。
ってこれは私だけかもしれないけれど…。
時には手間暇かけたスクラップも大切
いつからか、スクラップなんて簡単ですぐ出来る。
そんなイメージが勝手に私の中で付いていた気がする。
捨てるなんて簡単。
壊すなんて簡単。
新しいものを取り入れて築き上げるほうが偉いという、自分の中の格付け。
確かに、よくよく考えた上での新たなものや工夫は価値があるだろう。
だけど、
すでに手にしている、既存のものだって、それを選んだときには、その大切さややりたい、ほしいという素直な気持ちに向き合って、その末に取り入れたものもあるはず。
その時の思いがあるほど、または長く習慣としてきたものほど、手放すのはそう簡単ではない。
ということは、捨てたりやめたり、といった逆の選択をするときにも、それ相応の手間暇がかかることはあるだろうと思う。
取り入れるときに大事と思ったものほど、丁寧な別れの儀式が必要なのかもしれない。
捨てること。外に出すこと。この場合もある意味アウトプットだろう。
それらを時に手間暇かけて丁寧に扱う。
そうして過去の自分の思いも癒されて、しっかりビルドbuild して 新しいものを建てていける気がする。