「密航」に散らばるAC機体の正体と狙い_脳深部フロム脳デバイスから直でお届け【アーマード・コア6考察】
神ゲーでした。
神ゲー多くないか昨今。どうした。世界終わるのか。
FF16をクリアしたと思ったら今度はアーマードコアである。「衣」「食」「アーマードコア」の生活を強いられている。どうもウォルターの犬です。社会の犬でもあります。地を這うばかりが我なり。あぁ俺も最初から好感度MAXなコーラル変異波形に養われたい…。
今作は「情報ログ」や「台詞」といった物語を補完する要素が多く存在し、かなり考察のしがいがある。しかしその結果、俺の脳深部フロム脳デバイスが異常に活性化してしまい、いつ肥大化したミールワームのように爆発するか余談を許さない状況だ。
爆発四散して「奇麗な花火ですね」とか言われるのもひとつの人生だが、なるべくこの周回ではそのルートを選びたくないので、こうしてNoteをメモ代わりにしている次第である。お付き合いください。
『行くぞG13!楽しい遠足の始まりだ!』
情報ログとライセンスコード
情報ログはいい。戦場の片隅でパチパチ火花弾ける大破機体から接種できるこの活字群は、欠落しがちなAC6の物語を多分に補完してくれる。
この記事ではそんな情報ログの中でもライセンスコードに注目したい。
ライセンスコードは最初のミッション「密航」以外では登場しない。しかし「密航」では登場するんだからなにか意味があるだろう。この思考プロセスを人はフロム脳と呼ぶ。
だが、まずは「密航」で最終的に621が手に入れるライセンス:レイヴンの正体について語らせてくれ。
『レイヴン』。それは意志の表象。
…どういう意味?
ルビコンにおいて、レイヴンとは特別な存在だ。彼は4人組ハクティビスト集団「ブランチ」の一員として知られている。
ハクティビストは「ハッカー」と「アクティビスト」を組み合わせた造語で、政治的主張をするために電磁的攻撃を行う集団を指す。AnonymousとかWikileaksとかが現実でも有名だろう。
確認した限りではブランチの政治的主張は明文化されてはいない。しかし、何らかの意図があっての行動だろう、ということは匂わされている。この彼らの「政治的主張」が「意志の表象」の「意志」の部分に該当する。
ブランチの名は英語のBranch:鳥の止まり木から来ており、その鳥というのが他でもない、レイヴンだ。ブランチはレイヴンのための組織、という訳。つまり、彼らの「政治的主張=意志」の根源はレイヴンなのだ。
そしてこのレイヴンというのは特定個人を指すものではない。むしろ逆で、「選び戦う者」=政治的主張をする人間をレイヴンという称号で呼ぶのだ。
意志が象として表れたもの。その称号がレイヴンだ。
要するにバンドのボーカルみたいなもので、一人目のボーカルが倒れても、どこからともなく第二第三のレイヴンが現れてきて、政治主張強めバンド「ブランチ」を再結成する。
そんなレイヴンは「コーラル再反応」の証拠情報を星外にリークし、企業がルビコン3に介入する契機を与えた人物でもある。その為か、封鎖機構からは優先排除対象として指定されている。
ブランチは他にも封鎖機構の「ステーション31」襲撃も敢行しており、惑星封鎖機構とは全面的に対立しているということで間違いなさそうだ。
ブランチやレイヴンの「政治的主張」とは一体なんだったのか。その考察はこの記事の最後段で触れている。
汚染市街に沈む『レイヴン』
さて、話をライセンスコードに戻そう。
ライセンスコードから確認できるレイヴンの機体構成は下記の通り。
基本的にRaDの探査AC用のパーツで構成されている。頭部だけブランチ改造のカスタムパーツだ。この機体構成は、621が多重ダム防衛だったり旧宇宙港防衛だったりで戦闘したあのレイヴンの機体構成とまったく一緒である。
いくらレイヴンなる称号が幾人もの傭兵達に受け継がれてきたと言っても、機体構成まで引き継ぐだろうか。このレイヴンは621が戦ったあのレイヴンと全く同じ人物なのではないか。そしてこのレイヴンは、封鎖機構の情報をリークしたあのレイヴンと同じ人物なのではないか。
旧宇宙港に現れた背景が薄い新人レイヴンを621がボコボコにしたとかいう珍奇なストーリーより、封鎖機構から狙われているあの伝説的傭兵レイヴンが、旧宇宙港に集う封鎖機構も企業戦力も全て滅した上で621と戦い、可能性を感じて未来を託した、という方が展開としてドラマチックではないか。
俺はそうだと信じている。
で、あれば。こいつは汚染市街で何をしているのか。
状況を探るために周辺のライセンスも見てみよう。
BAWS製旧型AC『トーマス・カーク』
BAWSの旧型ACである。コア理論まんまの精神でアリーナランク26位にまで昇りつめたカーク先輩に尊敬の念を感じざるを得ない。出来るか?お前に。俺はやってみたら出来た(そしてさらに上にドルマヤン先輩がいた)。
このトーマス・カークなる男、独立傭兵らしい。BAWSは誰とも取引する。相手がルビコニアンでもルビコニアンでなくてもだ。故に所属は不明だが、全身BAWSで固めるのは若干の匂わせを感じる。ただ個人的には解放戦線の線ではなく、企業としてのBAWSに関連の深い傭兵なのだと思っている。理由は後述する。
この機体が横たわる場所も些か不思議ではある。落下したグリッドのような見た目をしている。そしてそのグリッド機材はまさに今、火を噴いており、半世紀前のアイビスの火で云々されたわけではなさそうなのだ。
だがまぁ「密航」に限らず他のミッションでも汚染市街は常に燃えており、グリッド機材が燃えているのも単にそのほうがそれっぽいからというメタ的な理由かもしれず、なんとも言えない。グリッドについては一旦忘れても良さそうだ。
レッドガン部隊『G7ハークラー』
レッドガン部隊のライセンスコードもある。
レッドガン隊員のコードネームについては興味深い考察がある。
この方によると、G7のハークラーもパキスタン・インドに流れる川から来ているらしい。紀元前に干上がって今は存在しないのだとか。
G7の機体は基本的にベイラムのヘッド・コアと、その系列企業大豊の腕脚で構成されている。如何にもベイラム専属AC部隊、レッドガン然とした機体である。ベイラム上層部もさぞご満悦だろう。
登録番号はRb27。Rb18のトーマス・カークやRb23のレイヴンより後にルビコンに到達したようだ。生死は不明だが、アリーナにも登場しなかったことからも欠番になったと捉えて良さそう。
アーキバス系列『モンキー・ゴード』
モンキー・ゴードとはガガーリンが飛ぶ前に宇宙を飛んでいた猿である。
このゴードはパラシュート事故により帰らぬ猿となった。しかし彼の犠牲があったから、ガガーリンは宇宙飛行できたのである。メタ的にもアーキバスの本命ヴェスパー部隊が来る前にルビコン入りして検証をしていた哀れな猿ということなんだろうか。
機体はシュナイダー系のヘッドコアにアーキバスの腕脚で構成されている。
汚染市街で彼らは何をしていたのか
この面々が同じ目的で集っていたのか。その問いには明確な答えはない。
しかし、戦場に残る解放戦線の会話から少し状況がわかるかもしれない。
「大豊とシュナイダーに動きがある」
そう語る解放戦線兵士はモンキー・ゴードの機体を見張るように位置取る。トーマス・カークやハークラーの機体周辺にも解放戦線の兵士が屯する。
彼らは大破された機体から企業の動きを探っているようだ。まさに今我々が行っているように。そして、その大破された機体の周辺を、封鎖機構のSGも巡回している。これは何を意味するのか。
*ここからは完全に妄想になるので注意が必要だ。慎重に進め。
レイヴンの目的とルビコンの解放者
汚染市街に散らばるACや輸送ヘリの残骸。巡回するサブジェクト・ガード。状況証拠的には封鎖機構による大規模な襲撃作戦があったと考えるのが妥当ではないだろうか。レイヴンら熟練のAC乗りが解放戦線のMTにやられるとは考えづらい。まして、その戦果をもって封鎖機構のシステムがレイヴンは死んだと思っていたなんて妙な話だ。封鎖機構自身の作戦でレイヴンが撃破されたのなら納得がいく。
企業に情報をリークしたレイヴン。彼はその後も企業と接触し、トーマス・カークやG7ハークラー、モンキー・ゴード等と連携していた。しかし機体の輸送中、突如現れた封鎖機構のサブジェクト・ガードに輸送ヘリがやられ、高所から落下した影響で機体が大破した。そんなところではないか。傭兵たちの近くにも輸送ヘリの残骸が散らばっている。彼らも輸送中に撃墜されたか、脱出できたが力及ばずに大破したかなんではないか。
ではレイヴンは何故企業戦力と一緒にいたのか。彼の目的は何か。
それはエンディング「ルビコンの解放者」や三周目で明らかになるように、封鎖機構や星外企業に対抗してルビコンを真に「自由」にするためだったんではないか。つまり「ルビコニアンによる民族自決」そのための「惑星封鎖打破」と「抑圧的な星外企業支配からの解放」なんじゃないか。
実はG7ハークラーと同じ構成の機体が、ウォッチポイント・デルタでも確認されている。
ここで言及されている「独立傭兵の通信記録」、内容は以下の通りだ。
時系列的にはBAWS第2工廠に強制監査部隊が入る前の話だろう。
ハークラーと同じ構成の機体がブランチに連絡を取っている。「密航」のハークラーもブランチと距離が近かったと思ってもそこまで不自然な推理ではないのではないか。
もう少し踏み込もう。本作には多数の企業が出てくる。
先程の通信記録では「メリニットとタキガワには特段の野心はなさそう」とある。ファーロンは中立を気取っているとも。逆に、残ったVCPLには野心があるということだ。
エルカノが開発を主導したラスティのためのAC「オルトゥス」。左腕にはVCPLの兵器が使われている(そして、後に技術提供に合意したファーロンの部品も)。
「抑圧的な星外企業支配からの解放」つまり「ルビコンのアーキバス、及びベイラムからの解放」はルビコン経済の二大財閥以外への解放も意味する。ルビコン土着企業はもとより、アーキバスやベイラムとは関係のないVCPLやファーロンにも旨味がある話だ。
実際、ルビコンの解放者エンドでは封鎖は打破され、アーキバスの目論見も破綻した。残ったのは扱いに困るコーラルと、喜びに湧くルビコニアンだ。動乱後、経済は回復するだろうし、コーラルの問題が片付けばルビコンには大きな可能性が残されている。予め解放戦線に恩を売っておいたVCPLやファーロンの製品は販路が拡大するかもしれない。通信における「野心」とはこのことではないだろうか。
しかし疑問も残る。
その理論(ルビコン企業主導の対星外企業連盟論)で行くと、オルトゥスにベイラムの兵装が使われているのはおかしいじゃないか、という意見だ。
だが、BO-044 HUXLEYの説明にはこうある。
「制御部品にはアーキバス系列企業の技術も入っている」と。これはアイスワーム撃破後にショップに追加されるアイテムで、アイスワーム戦は本作で唯一、企業勢力が共同した作戦だった。
ここで一つ自論を展開したい。それは「アーキバスもベイラムも一枚板ではなかった」というものだ。「星外企業勤めの中にも現状のパワーバランスをひっくり返し、一旗揚げたい奴が居たに違いない」そう捉えておけば諸々の矛盾は解決する。
思えば、そういう表現は作中そこかしこに存在する。例えばフラットウェルだ。彼は昔、シュナイダーにスパイとして潜伏していたが、そこで人事部門にコネまで作ってから解放戦線に戻っている。この時点で、シュナイダーには解放戦線に親和的な勢力がいることを示している。
そしてラスティ。彼はヴェスパーにまでなっているが、その機体スティールヘイズの構成は独特だ。シュナイダーが開発したNACHTREIHERをベースに、ファーロンのFCS、BAWSとエルカノが共同で開発したジェネレーターを積み左腕と右肩にはVCPLの兵器を積んでいる。シュナイダー出身のヴェスパーであるという表現以外にも、アーキバス製品のかわりにVCPLやファーロンのパーツを利用することでアーキバスへの姿勢を暗示したり、BAWSパーツは解放戦線側のスパイであるということの隠喩だったりするのではないか。
ヴェスパー部隊では唯一オキーフも同様にBAWSパーツを用いている。二人の関係性もそこから見いだせるものがあるだろう。
つまり何が言いたいのかというと、G7ハークラーとその類似機体は上述のヴェスパー部隊におけるラスティのような、ベイラム内部の不穏分子を表現しているんじゃないだろうか、ということだ。
そう考えるとオルトゥスがベイラムパーツを利用しているのも、ハークラーに似た機体が4人組とコンタクト取っているのも、ハークラー自身が密航でレイヴン近くで撃墜されていることにも一定の意味が見いだせる。
モンキー・ゴードにも同じことが言える。トーマス・カークはBAWSの手先だった、ということになるだろう。
現地法人が本社企業を追放するとかそういうシンプルな話ではなく、もう少し複雑な社内派閥やら会社という枠を超えた利害一致とかそういう軸で話が動いていそうである。
全員仲良く味方という世界観でもなく複雑な利害関係を含みながらそれでも前に進むルビコン3、そんな未来を求めた戦いを、ラスティやブランチは行っていたんじゃないだろうか。
その計画全貌を封鎖機構が認知していた訳ではないだろうが、そんな企みを抱える不法侵入勢力が集まっていた場にSGが居合わし襲撃した。そんな顛末だと思えば納得がいく。
「ルビコンの解放者」、それは「惑星封鎖」と「星外企業による搾取」からルビコンを「解放した者」を指すんじゃないか。
しかし果たして…真相は定かではない。
全ては消えゆく余燼にすぎない
否。断じて否である。まだ俺の中には消えゆく前の余燼が燻っている。火を点けなければならない。お前のフロム脳に。燃え残った全てに。ライセンスコードと機体構成だけでここまで妄想をふくらませるアーマードコア。罪な産物だ。だが、もっともっと味わい尽くす必要がある。こんなものではないだろう。まだまだ考察は尽きない。俺の考察だけではない。火種はお前の中にある。お前の妄想を、背景を聞かせてくれ、戦友。決着はそれからだ。