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夢をみさせたのは大人たちのせい。

大学を卒業したら、今までの我慢や勉強の努力は報われると思っていた。
大学生の私は二十歳を超えても、大人になった気がしなくて
社会人になったら、親の元を離れて、自分の責任で選んで、決めて
ようやく”大人”になれる気がした。


「就職活動をするにあたり、業界や職種を絞ると就活の本に書いてありますが、地元に残りたいと思っているなら、”ある求人”をかたっぱしから受けなさい。」

スーツ姿の中年の男性が、大学のホールに集まった大学生に煽るように言った。

10年前、私が就活生だったころ就活セミナーでこの言葉を言われて違和感を感じ、思いっきり疑った。

だって、大学1年生の時のキャリア講座では「大学1年生の時から、興味のある仕事を見つけて、今のうちから資格を取るなり戦略を立てることが大事です」と言われたからだ。

私は真面目に簿記の資格をとったし、就活の面接で話せるネタになるような
短期留学やアルバイトにも力を入れてきた。

そんな「地元で働けるのなら何でもやります」というやり方は、相手(会社)に失礼じゃないか?

そんな疑問はすぐに消えた

実際地方都市の求人は驚くほど少なく、地元の就活のイベントはいつも同じ、健康食品の通販会社や化粧品会社が陣取っていた。

暇をもてあます就活生たちは、いつものブースに流れこむしかなく、お昼過ぎには、イベント会場から人がどんどん減っていった。

地元の就活は必ず知り合いにあい、中学や高校以来からの同級生にも偶然という出会う。
ちょっとした同窓会のようだった。

それが楽しいと最初は思ったが、私の活動範囲は子供の時から変わらないし、この先もきっと同じ顔ぶれで生きていくのかと思うと、自分の残りの人生が難なく予想がついてしまう。

なんて退屈なんだろう。

気持ちがモヤついたまま
大学では面接対策が始まった。

「はい。私は地元に貢献をしたく、貴社の行っている〜活動が・・・」
「大学時代、バイトリーダをしていました・・・」

勢いよく声をだす姿に、何かの劇団のオーディションみたいだと思った。

個性を大事にと教えられてきのに
黒い髪と黒いスーツに限定をされ
面接は、就活本にあるような定型文を繰り返し発言をし
履歴書の志望動機欄は、5行程度と無難なことを書くのに終わってしまう。

子供の頃から将来のため勉強が大事と言われてきた。

就活前の大学時代は勉強よりも結婚相手を探す時期だと言われた。

大学1年生の時その変化に私は戸惑った。

女性も働く時代、男女平等なんていわれてるけど

そんなの、東京といくつかの大都市だけだった。

「もし彼氏が地元に就職をしたら、諦めて地元に残るでしょ?」
そう簡単に言ってきた、男子同級生
「女の子は旦那さんの仕事に合わせなきゃ行けないから、
そんな働く必要無いわよ。
すぐ仕事辞めないといけないし」
口を揃えてお節介をいう家族や、近所のおばさんたち。

地方で生まれた女たちはどうすればよかったの?

一番の怒りは、なぜ大人たちは私たちに夢をみさせたの?

なぜ「将来の夢を持つことは大事です」と中学の先生は私に言ったのか。
なぜ「将来の夢を絵に描きましょう」と小学校の先生は夢を見させたのか。

中学時代塾に行っている人はクラスの全員だった。
あんなに努力をしなくても良かったんじゃ無い?


私は地元の就活に違和感を感じ

私は隣の政令指定都市で就活を始めた。

週に3回は高速バスで移動をし、時には夜行バスで大阪までいった。
大学で学んでいた会計の知識を活かせるよう、金融系と会計ソフトに力を入れているIT系に絞って就活を進めた。

   

#エッセイ   #就活 #地方 #上京 #地方学生  


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