【ゲーム雑談】『幻月のパンドオラ』に見るゲームの楽しみ方
先日『幻月のパンドオラ』というエロゲの感想をアップしたのですが、内容は作品テーマにフォーカスしたものとしました。なのでヒロインの可愛らしさやブランド他作品とのクロスオーバーに関しては一切触れていません。
何ならセンターヒロインの真姫にもほぼ触れずスクショもゼロという...w
パンドオラをエロゲ感想の一発目としたのは、本作がゲームとの向き合い方について深く表現しているためだったりします。
プレイしたのは齢三十を過ぎた頃だったのですが、その上でなお考えさせられる部分があった次第で。軽い作品紹介も兼ねて、ゲーム方面から見る本作の所感を文章に起こしてみることにしました。
■『幻月のパンドオラ』とは
2009年にブランド「Q-X」からリリースされた成人向けゲームです。テキストを下3行に表示し、上部に登場人物の立ち絵やスチルを表示する、いわゆる美少女ゲームのテンプレートで構成された作品です。
平凡な暮らしをしていた学生・相坂文樹が人生に刺激を与えるための手段を探していたところ、電芸部というゲームをプレイ/制作する部活を目にして入部。部室内にはなぜか温泉が湧いており、なんやかんやあって魔人と契約のような何かをすることに。
以後、文樹は魔人から欲望を心の中に溜め込んでいる人間を見つけ、魔界の機器を使ってゲームをプレイし、彼女達から上質な欲望の塊を抽出して送るように命じられる、的なお話です。
18禁エロゲなので当然ながらエッチいシーンが満載です。
■uni先輩に惚れました
攻略できる3人のヒロインのうち、ゲームジャンキーとして書かれているのが甘泉uni。彼女や主人公・文樹には、ゲームを本気で愛する人であればつい同意/反論したくなるような言動が散見されるのです。こんな感じ。
エロゲに限った話ではないのですが、ゲームへの造詣に深い登場人物の多くは作品の細かい設定を羅列したり、あまりゲームをしない一般人に向けたような紹介を早口でまくしたてる的なキャラ付けが多くみられます。
まぁuniにもそのようなシーンはあるのですが、加えてゲームに対して真剣に取り組むことを良しとする主張を随所に見せます。
中途半端にゲームをプレイするのは罪だと云わんばかりの熱量。彼女ほどではないにせよ、ある程度真剣に向き合っているつもりの身としては、実に共感できる主張です。
ゲームの性質にもよりますが、名作と評される高難易度のゲームは、真剣に取り組んで初めて本当の面白さを味わえるよう調整されていることが少なくありません。
その手の作品で攻略を見てプレイしてしまうと作業となってしまい、何が面白いのかわからない、なんてことにもなりかねません。
もちろんゲームはユーザーと開発者が真剣勝負するような作品ばかりではありません。
ですが、まずはある程度プレイして「このゲームを作った人は何を楽しませようとしているのだろう」と考えることは、ゲームを楽しむ上で非常に大切です。
面白さを模索した上で面白いと思えなかったらプレイを止めてもいいし、攻略を楽しむゲームでアンチョコを見て終わらせてもいいとも思うんです。楽しくないなら無理することはありません。
だが最初から他の誰かが用意した攻略法(=楽しみ方)だけを見てプレイするのは、せっかくの楽しいゲームが勿体ないのではないか。
uniの熱きパッションからは、そのようなゲームに対する姿勢を読み取ることができました。だから私はパンドオラが大好きなのです。
■真剣に向き合うだけがゲームじゃない
ここまでだけだと一見さんお断り的な「修行僧のみがゲームをする資格がある!」みたいな書き方ですが、一方でパンドオラは文樹の視線を通して、ライトユーザーに対するゲームの楽しみ方も提示しています。
例えば、簡単なゲームに躓いてしまいゲームの才能がないと嘆く真姫に対する文樹の提案。
ボタンを押したらゲームが反応して、成功したら気持ち良い。コンピュータゲームをプレイする上で最も初期に体験する、最も大切な経験です。
その1つ1つを積み重ねて徐々に上手くなって、そうしたら他のゲームもプレイしてみて、また新たな体験を得て。
ゲームの楽しみ方は人それぞれ。作り手や対戦相手との真剣勝負を求める人もいれば、触って楽しくなれるからプレイするだけの人もいます。
みんなが話題にするから流行に乗り遅れないようにプレイするのだって立派なゲーム体験です。
その上で本当にコンピュータゲームという娯楽が好きなのであれば、楽しみ方に先入観を持つことなく、どうやったらこのゲームは楽しめるのか、常に考えてゲームに向き合う姿勢はとても大事だと思うのです。
もちろん楽しみ方は1つだけではありません。同じゲームでも数通りの楽しみ方が用意されていることもあります。
楽しさを見つける努力を怠らない姿勢こそ、私はゲームを真剣に向き合っているのだと考えます。
当noteに書く感想も、見つけた楽しさをを沢山書いていけたら嬉しいですね。私はあまり視野の広くないプレイヤーなので難しいですが、がんばります...!
■隠れた良作なので宣伝
私のゲームポリシーを文章化するのにパンドオラはとても良い題材だったためエロゲ感想の第1号として書くことにしました。
まぁErogamescapeに書いたパンドオラの感想がuni先輩に寄りすぎてて、感想になっていなかったのも理由ですが。アレも嫌いじゃないけど別視点で書き直したかったのよ……
ということでゲームガチ勢でエロゲに抵抗の無い方であれば、『幻月のパンドオラ』はプレイして損はない作品です。FANZAやDLSiteのセール時は500円でも買えた気がするので、気になる方はぜひぜひ。
お話の後半はゲームから離れてコミュニケーションや幸せの模索を促す、ややお説教色の強い作品ではありますが、そちらも人によっては楽しめるかと思いますので。uni先輩の魅力に気付けてもらえたら嬉しいです。