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安心して読めるミステリを!(切望)

 安心してミステリが読みたい。コージーミステリとか日常の謎とかじゃなく、普通の推理小説でいいんだ。女性が足を踏まれていない、安心して読めるミステリが読みたいだけなんだ。

 最近、手持ちのアガサ・クリスティー読んで、やっぱ面白いなーと。評論家が言うように謎解きとしての要素は低いのかもしれない。彼女の推理部分はほぼ「誰が?」で、トリックの巧妙さや論理的解明はそれほどなんだけど、それでも文章の面白さ、特に「ミステリは人間が描かれていない」という批判にも十分に耐えうる人物描写は、100年前のものとは思えないと思う。
 しかしそれはアガサ・クリスティーの文章力だけではなく、女性の置かれている状態が今と変わらないことにも関係しているからだとも思う。
 若い女が都会からやってきた男と恋仲になる。しかし男に結婚する気はなく、女を捨て都会に戻ろうとする。そして女は殺される。今でもよくある話だ。
 他にも妻を虐待する夫、それでも家から逃げられない妻や子どもがたくさん出てくる。その書き方に公平さがある。こういうところが令和を生きる私たちにも響くんだよなと思う。

 しかしミステリの醍醐味である謎の解ける高揚感はないから(なんせ3度は読んでる)、新しいのが読みたくなって図書館へ。

 なにかで面白いって薦められてたのを読んでみたら、60代男性と30代女性が恋人だったり、父は人格者で働き者だったがそれゆえ家庭は父親不在で、母が小人物だったので子どもが歪んだとか引っかかる所が多すぎて、読んでいてけっこう苦痛を感じてしまった。読んだけど。

 ちょっと古いものになると平気で「女性は理論的に物を考えるということができませんからな」とか言ってたりするから、本当に安心して読んでいられないのだ。
 まあこういうのは「昭和だな」と負の歴史だって完全に割り切って読むのだけど、これがここ10年以内に書かれたものだったりすると、マジでうんざりしてしまう。

 だいたいミステリにでてくる女性の描かれ方って、類型できるくらい描かれ方が貧相で、「人間が描かれていない」のだ。

 私の印象ではだいたいこの3パターン、
①サイコパス気味で超切れ者の探偵または犯人
②ドジっ娘ワトソン 
③可哀想な被害者 
でたいてい美少女。③は大人の場合もあるが、殺され役だけでなく、物語において不幸な役回りであることが多く、容疑者にされている場合もあり、探偵が救ってやったりする。

 美少女であることが欠かせないのが特に①で、サラサラ黒髪のロングヘアで色が抜けるように白く、手足が細くて長いってのが定番だ。定番過ぎて、もうこれだけで萎えるから、しばらく出版社はこういう女性だすの禁止にしたらいいと思う。キャラクター原案でこういう設定出してきた時点で、「つまらん! お前の話しはつまらん!!」って言ってやりたい(古い)。

 ②の場合は可愛い系美少女が多く、生活能力の低い男性探偵の世話役を兼ねていたりして、「あー、これも渋柿でしたか」という気持ちにさせられる。

 もうある程度若い女性の書いたものでないと、安心して読めないなって思う。まあアガサ・クリスティーが面白いんだから、女性なら年代は問わないか。男性でも苦痛に感じず読める作者もいるので、男女問わずその人の姿勢によりますね。

 あと女を殺してオブジェにするな。お前は機械伯爵か(古い)(注:銀河鉄道999で主人公の哲郎の母親を狩りで殺して剥製にして屋敷に飾ってた人(人?)ひどい)。

 とにかく私は安心してミステリが読みたいだけなんだ。

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天棚 シノコ|全日本遊ぶと休むは正しいこと協会 会長
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