「わすれじのレイド・バック」海士町社会福祉協議会事務局長コラム
ヘルパーさんに敬意を表そう
ヘルパーはとてもやりがいのある仕事、でも猛暑の時期は本当に大変だ
空調が効いていない部屋で汗だくになりながら生活支援や入浴介助もする
頭がぼーっとすることもあるだろう
事務所に帰ってきたヘルパーが
「ヘルパー道具一式訪問先に忘れてきたので取ってきます」と言っていた
そんなことあるか?
いや、仕方ない 暑さのせいだ
このヘルパーは腕時計を自宅に3つぐらい持っていると謎の自慢をしていた
「訪問先で外してすぐ無くしちゃうんです」と
うん、仕方ない それも暑さ?のせいだ
エビングハウスの忘却曲線
ドイツの心理学者エビングハウスによれば、覚えたことを20分で42%、1日たつと74%は忘れるらしい
人間は忘れる生き物なのだとわかっていても、物忘れがひどくなったと年を重ねつくづく感じる
県社協からの電話がくる「局長、県社協から電話です」
すると必ず頭によぎる
「何か提出物を出していなかったかな?」
もっと自分に自信を持たないといけないが…
ずばり「○○の提出期限が過ぎています」という電話も多い(いや、たまにあるぐらい)
SNSで「メモ帳に〇月〇日MTGと書いてあるけど、どなたとのミーティングか分からない。私にオファした方教えてください」と非常に失礼な問い合せを公開している輩がいるが、こちとらミーティングそのものを忘れて「やばっ!」と叫ぶこともままある。
ナツイチ
本を読むのが好きだ。夏の読書が特に好き。
「ナツイチ」ってキャッチをみるとつい単行本を買いたくなる。
先月買った伊坂幸太郎の「逆ソクラテス」という小説
読みながら不快感というか不安感というかなんとも表現できない感情になる。
その感情の答えは自宅の本棚を眺めて謎が解けた。
「この本、買うの2回目だ…」
読んだことを忘れて、同じ本を買う事も珍しくない。メルカリといういいシステムで誰かに買ってもらっている。
認知症の方の物忘れ大会は規格外
これからは高齢社会、ゆえに「物忘れ」だらけの社会になると決めている
認知症の人が受付をする「注文を忘れる料理店」にはまったく共感しないが
物忘れを楽しむことができる社会になるといいなと思う
今日、デイサービスの見守りを頼まれ認知症の人たちと1時間ほどお茶を飲んだ。物忘れ自慢大会になって大変盛り上がった。認知症の人の物忘れは規格外で面白すぎる
「この間散歩していたら、どこか分らんところに来てしまって、私は今どこにおる?って畑している人に聞いたら、不思議な顔して車で家まで送ってくれたわ(笑)」
「娘の皿洗いの手伝いしようと思ったけど、娘の隣に立ったら何するか忘れて、猫みたいにただ笑って立ってたわ(笑)娘が邪魔だって怒ること((笑)」
「本当に忘れるがねぇ(笑)」
「忘れるよぉ((笑)」
なんか楽しければいいんじゃないかって思う
日記はえらい
先日ネットフリックスで「アンメット」というとても素晴らしいドラマを見た。記憶が1日しか持たない脳外科医の話で、作中で主治医が「強い感情は忘れません」と言っていた。せっかくなら嬉しいとか楽しいとかの強い感情をたくさん持ちたいものだ。主人公の1日は朝起きて日記を読むことから始まる。どんな気持ちなのだろう。
私も日記をつけ始めて20年ぐらいになる。これを機に昔の日記を読み返してみた。明らかに自分の字体ではあるが、書いてある内容が全く思い出せない。メモ程度に書いてある主語のない文章は特にわからない。
ただ「日記」は本当にオススメ。どうせ忘れるんだから嫌なことは書かなくてもいいというルールにしている。読んでいるだけで面白い。認知症時代は日記ビジネスが盛り上がるのだろう
日本はこれからお盆になる。
先祖から忘れてはいけない大切なものを受け継ぎながら、感謝を忘れずに過ごしたい。心を亡くすほど忙しい日々を忘れて、のんびり「れすれじのレイド・バック」でも聞きながら・・・
引用 サザンオールスターズ わすれじのレイド・バック 1982
海士町社会福祉協議会 事務局長 片桐一彦