スクラムマスターとしてまず何から始めるか
こんにちは。天野です。
最近社内で、「スクラムマスターに興味あるけど何から始めたら良いのかわからない」という意見を聞きました。この疑問は、その素朴さとは裏腹に非常に答えづらい質問だと感じます。なぜなら、それを考えて実行し続けることがスクラムマスターの仕事そのものだからです。
とはいえ、「それを考えるのがスクラムマスターの仕事だ」と言ってしまうと、いつものめんどくさい人になってしまうので、スクラムマスターになって最初の1年くらいで取り組むと良さそうな活動を真面目に考えてみます。
スクラム/アジャイルを学ぶ
最初は基本的な知識をインプットする必要があるでしょう。スクラムとは何か、アジャイルとの違い、大事にしていること、メリットとデメリットといった情報は、当たり前に感じられるものも多いですが、すべての土台になる重要なものです。スクラムのマスターという役割ですから、基本的な知識がないと始まりません。
素晴らしい書籍がたくさんあるので、個人的によくおすすめする書籍を何冊か紹介しておきます。
こういった書籍を何冊か読むことで、基本的な知識が得られます。
スクラムマスターについて学ぶ
スクラム/アジャイルについてインプットするのと並行して、スクラムマスターについても学ぶと良いと思います。役割について理解を深めることで、自分が実際にやるとなったらどうかと想像を膨らませることができます。もしそれがワクワクするイメージなら、きっとスクラムマスターに挑戦する価値があると思います。
下記のような書籍は、スクラムマスターの具体的な役割を理解するのにおすすめです。
なお、この段階(学習初期)で認定スクラムマスター研修を受講される方もいますが、個人的にはあまりおすすめしません。ある程度実践して、疑問が色々湧いてからの方が、有意義な研修になると思います。
スクラムマスターとしてチームで活動を始める
スクラムでは、知識は経験から生まれます。同じように、スクラムマスターとして効果的に振る舞うための知識は、現場で経験することで培われます。鶏と卵のような話ですが、スクラムマスターとして実践から学ぶためには、スクラムマスターとして活動する必要があります。
「私はスクラムマスターです」と宣言し、チームにおいてスクラムマスターのアイデンティティを確立することで、スクラムマスターとして成長するための実践の道が開かれると考えています。
また、スクラムマスターはチームがないと成立しない役割なので、スクラムマスターとして活動できるようなチーム環境を整えることも重要です。組織によっては、チーム環境を整える難易度が果てしなく高かったりします。
実践とインプットを継続して現場対応力を高める
スクラムマスターとしてチームで活動を始めたら、毎日うまくいかないことや分からないことだらけだと思います。ですが、その課題だらけの状況は、スクラムマスターとして成長するには最高の環境です。
チームにうまく伝えられなかった概念を学び直して説明する練習をしたり、スプリントレビューのファシリテーションのやり方を工夫したり、レトロスペクティブで言いづらい問題を議論する準備をするといった活動が、経験にもとづく知識として蓄積され、現場対応力につながります。
実践における苦手意識や問題意識を起点にして、インプットを継続します。ファシリテーション・コーチング・システム思考・サーバントリーダーシップ・自己組織化チーム・組織などなど、関連する分野を含めると、学ぶべきことは無限に存在します。
実践とインプットの両輪を回し続けることで、学びを深めていきましょう。
実践者と繋がる・コミュニティに参加する
インプットだけでなく実践も必要なことは述べた通りです。さらに、1人だけ・1つの組織だけでの実践には限界があることを付け加えます。
外に出て、多様なバックグラウンドを持つ実践者とつながり意見を交換することで、自分の知識を相対化し、より実践的な学びを得ることができます。また、コミュニティに参加することは、単に社外の知見を得る以上の意味を持ちます。
スクラムマスターにとってのアウトカムのひとつは、組織の中に健全なコミュニティを構築することと言えます。ですから、健全なコミュニティに参加してそこから学ぶことは、スクラムマスターとして成果を出すために不可欠です。
スクラム/アジャイル界隈は熱量の高いコミュニティが多く、RSGTをはじめとするカンファレンスも各地で定期的に開催されているので、ぜひ足を運んでみてください。
スクラムフェス仙台でも参加をお待ちしています!
コーチ/メンターを持つ
スクラムマスターの重要なスキルのひとつにコーチングがありますが、自分がコーチとして振る舞うだけなく、自分自身の学びをサポートしてくれるコーチ/メンターを持つことも重要です。
定期的なセッションで活動を振り返り、成功と失敗の両方から謙虚に学び、自分自身の幅を広げ続けましょう。学ぶことの重要性を伝える役割なので、誰よりも学ぶことを楽しみ、規範として示したいと思っています。
コーチ/メンターの見つけ方は、まずは社内やコミュニティの身近な信頼できる人にカジュアルにお願いをしてみるのが良いと思います。関係性が重要なので、一方的に知っている人にいきなりお願いするのはあまり現実的ではありません。
旅は続く
スクラムマスターとして、こんな活動から始めてみたら良いんじゃないかというアイデアを思いつくまま書いてみました。
終わりのない学びと実践の旅を、一歩踏み出す参考になれば嬉しいです。よければ一緒に楽しみましょう!
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ありがとうございます。書籍代に使ったり、僕の周りの人が少し幸せになる使い道を考えたいと思います。