転職を考える時は最も変革に近い場所にいる
コミュニティで話したり他社の支援をしていると、現職での変革に行き詰まりを感じ転職を検討するという話題がよく登場します。現状に埋もれることなく転職という手段を取れるのは素晴らしいと思います。皆が転職という選択をもっと取るようになれば、人材流動性が高まり、相対的により良い組織に人が集まり、良くない組織は存続が難しくなります。そういう意味では、転職は素晴らしいです。
しかし、実際に転職に関する相談を受けると私は「もう少し今の環境で頑張った方が良いと思います」と答えることが多いです。なぜこのような主張になるのか、考えてみました。
行き詰まっている時は信頼貯金が一番高まっている時でもある
転職を検討する時は現状の仕事や人間関係に行き詰まりを感じ、「これ以上この会社でできることはない」と考える人が多いと思います。スクラムマスターが転職を検討する時は特にこのケースに当てはまることが多いと感じています。
転職を検討している時は悲観的になり自信を失っていることも多いのですが、彼/彼女たちにはこれまで組織の中でコツコツと積み上げてきた信頼貯金があります。
信頼を築くには相手が期待を裏切らないという経験の積み重ねが必要です。日常の小さな約束を守る、誠実な態度を示すといった一貫した肯定的な行動の積み重ねが、相手に「この人なら大丈夫」という安心感を与え、信頼残高が増えていきます。
信頼があるというのは「きっとあの人なら大丈夫」と思われるということで、根拠のないことができるということです。つまり、転職を考えるほど行き詰まった状況は、ほぼ最も信頼貯金の残高が高い時であり、最も根拠のないことができる時でもあります。
当然ながら転職をすると組織の信頼貯金はゼロにリセットされるので、せっかくなら信頼貯金を全部使い切ってみるのはどうでしょうか。
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ありがとうございます。書籍代に使ったり、僕の周りの人が少し幸せになる使い道を考えたいと思います。