愛しい人の愛した庭
「会いたいよ。」って泣いた、厚洋さんの遺影におデコをつけて。
今朝は、ゴミ出しの日。早めに掃除も洗濯も済ませて、ゆっくりとゴミを出した帰りに久々に我が家の庭を見て回った。
花の絵を描く事が好きな真愛のために、様々な花を植えてくれた。
その花が春を知らせている。
雪折れの水仙の詩を褒めてくれた事も
沈丁花は、わざわざ白を買ってくれた、「白い花の絵」を描くのが好き。「俺は、真愛の白い花の絵が好きだ。」って言ってくれた時は、「愛してるよ。」って言ってもらった気がした。
小さな盆栽だった梅が今を盛りと咲いている。真愛が盆栽作りと称して、選定したり枝にワイヤーを巻いているのを見て、笑って見てた厚洋さん。「俺がいなくても好きな事ができるように。」って感がけてくれてたのかな?
そら豆が寒さに耐えて大きくなった。そら豆は、真愛が厚洋さんのおつまみ用に毎年育てている。
昨日、喜多さんで偶然にマスターから話を聞いた。「旦那さんは、そら豆が大好きだったね。それもこの寒い時期に出るやつだよ。それを鞘ごと焼いてくれって頼まれてね。どのくらい焼いていいものか悩んだね。」
それを聞いた教え子君が「旦那さんは、何時もカッコ良かったよね。」
そら豆見ながら、厚洋さんの為に一生懸命だった自分を思い出した。
厚洋さんが好きだった夏蜜柑な実が綺麗だ。
真愛は、厚洋さんの為に畑で彼が好きな野菜を作り、厚洋さんは真愛が描きたい花が咲く花木を植え、山野草を育ててくれた。
「愛しい人の為に育てた花々です。」
「愛しい人の愛した庭」
先日、「毎日が発見」と言う雑誌の輝き大賞にこの庭を応募したところ、銀賞を受賞した。
33年間の思い出が詰まった庭。
具合の悪くなった厚洋さんが部屋からも楽しめるように作った庭を1時間も歩いてしまった。
「ほら、藪椿の花が綺麗だぞ。」と手折って帰ってくれ気がして、家に入って泣いた。
「会いたいよ。厚ちゃん。」