マガジンのカバー画像

素数日

111
いつの頃からか覚えていないが、厚洋さんが逝ってからの日数を数えるようになった。このnoteをを始めたのは、一年以上経ってからのこと。 命日だけではなく、記念日も思い出していたが、…
運営しているクリエイター

2022年5月の記事一覧

みどりの日

みどりの日

 暖かくなったので、雨戸を入れないで寝る。すると朝早くから
「起きろー🌞」
と、4時50分にお日様に起こされた。
 夜型人間の真愛には、まだまだ眠い時刻である。朝日を背にして寝たが肩が痛くて、寝返りを打つと
「いい加減に起きなさい☀️」
と、お日様が言う。
(遮光カーテンは、冬に使おうと思っていたが、今日こそ、遮光カーテンを入れないと、夏至まで悩まされるぞ。)と思って、起きることにした。
 雨戸

もっとみる
結婚記念日

結婚記念日

 4月29日は、結婚記念日であった。
 2017年4月28日。
“厚洋さんが《むらこし》に行こうって、連れて行ってくれた。明日が結婚記念日って覚えていてくれたんだ。”
 翌、29日
 “厚洋さんがスイカを買ってきてくれた。
 一年目と同じだねと言って笑った。”
と、彼が買ってくれた3年日記に書かれている。
 2018年の記念日には、その年の9月に最愛の旦那様が亡くなるとも知らずに祝っている。
 2

もっとみる
旦那様は心理学者? 私は…。

旦那様は心理学者? 私は…。

 真愛は妄想性パーソナリティ障害。
 今までも(私は精神障害かもしれない。)と思ったことがある。
 結婚する前からだ。
 抱きしめてもらった厚洋さんの腕が、真愛の前に付き合っていた人も抱いたのだと思うと切なくて、悔しくで消毒用アルコールでごしごしと拭いたことがある。
「真愛が一番。
 済んだこと。今はお前だろう。」
と言ってくれても、独占欲の強い真愛はパニックになった。
 真愛を見て困った厚洋さん

もっとみる
1348日 愛しい人に

1348日 愛しい人に

 木苺の実がオレンジ色にぷっくりと実った。
 厚洋さんが大好きな食べ物だ。
 彼は、売られているものより、自然の中で実ったものが好きだった。
 当然、小さな庭にびっくりグミの木を植えて、その実を摘みながら食べるのが好きだった。
 真愛も田舎育ちで貧しかったから、野山にある実は嬉しいおやつだった。
 学校帰りに、グミの実をたくさん取って、ポケットに入れて帰り、スカートをシミだらけにして母に叱られた。

もっとみる