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成年年齢の18歳引下げについて考えよう②

前回、4月1日の民法改正にあわせて始まる成年年齢の18歳への引下げと、それに伴って未成年者取消権も18歳からは使えなくなりますよ、というお話をしました。




契約取消権、強力!と書きましたが、そもそも「契約」ってどんなものだと皆様はイメージしますか。
マイホーム、車、etc・・・。なんとなく契約という言葉の仰々しさから、大きなお金が動くイメージが強いのではないでしょうか。

私が消費者センター勤務時代、中学から大学まで学校に出前講座に講師として出向いた際、まずは生徒さんにこの契約のイメージを尋ねた後、「コンビニでお菓子を買うのだって契約の一つです。私たちは日々、小さな契約をたくさん重ねて生活しています。」とお伝えしていました。

では、契約が成立するのはいつ?とも尋ねる。
これも生徒さんの学年に応じて選択クイズにしますが、正解は「買います」「売ります」の意思が合った時。コンビニなら、レジへ商品を持っていき、店員が「〇〇円です」と言った時なんですね。
お金を支払って商品を受け取った時、という思い違いが多いです。

さらに、うちに帰って「やっぱり要らないや」と思った時、「返品できる/できない どっち?」と尋ねて、「できないのが原則ですよ」という説明をしていました。

契約は、結んだ以上はその目的(=商品の売買なら、売主は代金を受け取り、買主の手元に商品がきちんと渡った状態)が達成されるよう、当事者はお互いに義務を持ちます。
「契約をやめたい」は、原則「契約やめましょう」の合意をまた取り合う必要がある。

「今、みなさんがお店で返品できているのは、お店のサービスであって、あくまでもオプションですよ!そもそも、最初から『うちは返品できません』と言えるんですから。安易に『いざとなったら返品すればいいや』と思っての契約は危険ですよ」ともお伝えしていました。

そうした契約解除のうち、皆様もよくご存じの「クーリング・オフ」。
契約してからの一定期間は、消費者側から一方的に契約を解除できる制度ですが、これも契約をやめられない原則に対し、法律がもたらしてくれた「オプション」のひとつです。

「オプション」だからこそ、使える範囲はけっこう制限が設けられています。
なんでもかんでも「クーリング・オフ、OKです。」となったら、お商売をする側にしたら、例えば返品されたものが再販売できないリスクが生じますからね。正常の商取引に過剰にブレーキをかけないように配慮されてます。

さらに、消費者にとってありがたいオプション機能のクーリング・オフも、契約を解除できることと支払った代金が返金できることは別物と思った方が良い、ということも口を酸っぱくしてお伝えしていました。

売主と連絡が取れなくなったら、というか、最近は相手がそもそもよくわからないというネット取引なども多いため、返金交渉にも至れないこともあります。
そうなると、契約は解除できたけど、お金は戻ってこず・・・という残念な結果になります。

こうした契約解除に関するイタい経験も、私も含めた中高年になれば大なり小なり経験して、なにかを契約する前に「これはヤバそうだぞ」というセンサーが働くようになってきます。

しかしこの「ヤバいぞセンサー」がまだまだ未熟な未成年者を契約取消権で保護している、というわけでした。
しかも、私たち大人が20歳になりたての頃に比べて、ネット社会の進展など契約にまつわる仕組みはとんでもなく複雑になっています。そして新しい悪質な商法が生まれるスピードも加速しています。

「今どきの若い者はなっていない」と言うのは簡単だけれども、ますますトラップが複雑化して増加している世の中、「法の保護が外れたらあとは自己責任で」とあっさり片付けられないのではないでしょうか。

そんなわけで、保護が外れる前と後、そのフォローとなるお役立ち情報の発信で、私なりにできる貢献を引き続き行ってまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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